【連載】植草一秀の「知られざる真実」

【連載】知られざる真実/2024年7月2日 (火)つばさの党弾圧の基本構造

植草一秀

東京都知事選立候補者が56名に達したが都知事就任を目指して真剣に立候補していないと見られる候補者も多い。

特定勢力が大量の候補者を立候補させて、ポスター掲示板のスペースを営利目的で利用する行動も伝えられている。

本来の目的、制度の趣旨に反するもので賛同できない。

しかし、法規制違反でなければ取り締まることは難しい。

法令遵守が求められるが法令に反していなければ摘発することは難しい。

政見放送の内容が適正でないとの声も聞かれる。

しかし、法令違反でなければ摘発することは難しい。

望ましくない行動が確認できるなら、そのような行動を排除するためのルール変更が必要になる。

問題が生じぬようにルール変更を検討するべきだろう。

メディアが流布する情報には「このような行動はけしからん」とするものが多い。

しかし、問題行動を非難するなら、より重大な問題に対する対応に光を当てるべきだろう。

はるかに重大な問題が放置されているときに、その重大問題に言及せずに些少な政治行動を非難するのは本末転倒だ。

はるかに重大な問題は政治腐敗問題。

政治資金規正法の根幹を踏みにじる重大犯罪が表面化した。

政治資金収支を意図的に、かつ組織的に収支報告書に記載せず、裏金を創作していた問題。

 

自民党の巨大組織犯罪だ。

裏金不正議員は85名。

1000万円で線を引くと、この水準を超えた者が21名確認されている。

21名の刑事責任を追及することが当然だ。

ところが、日本の警察、検察は重大犯罪の大半を無罪放免にした。

政治権力の犯罪は取り締まらない。

これが日本の刑事司法の基本。

逆に、小池3選を危うくする学歴詐称疑惑を追及したつばさの党幹部3名に対しては逮捕・勾留を繰り返し、身柄拘束を続けている。

「現代版特高警察」が跋扈する。

小池3選の障害になるからつばさの党幹部3名を逮捕・勾留し続けている。

森友事件も同じ。

国有財産をタダ同然の破格値で払い下げて国家に巨大な損失を与えた財務省の犯罪は無罪放免にされた。

虚偽公文書を大量に作成した巨大犯罪も無罪放免にされた。

その一方で、安倍晋三夫妻の深い関与を明らかにした籠池泰典氏夫妻は逮捕・勾留され実刑が執行された。

自民党の巨大裏金犯罪は氷山の一角のみをかすかに摘発しただけだ。

 

この問題を通じて、改めて浮き彫りにされたのが「政策活動費」。

政治資金規正法は政治家個人への寄附を禁止している(21条の2)。

ところが、政党が行う寄附を例外として認めている(21条の2の2項)。

この制度を利用して実行されているのが「政策活動費」。

自民党では幹事長に毎年10億円の政策活動費が寄附され、その使途が一切公開されない。

政治活動の公明と公正を確保するにはこの「政治資金の闇」を排除することが必要不可欠。

政治資金規正法改正で最低限必要だったのが政策活動費廃止または使途全面公開。

しかし、実行された法改定では10年後の黒塗り領収書公開しか定められなかった。

裏金制度を維持する法改定が強行された。

このような対応を示す国会が選挙掲示板の不正利用や、政見放送の中身を批判する資格がないことは明白。

やるべきことをやらずに、些末な問題だけを取り上げることは本末転倒の極致。

このザル法制定を推進したのが自公維だ。

都知事選で東京都の主権者は自公維にNOの意思を表示するべきだ。

 

気鋭の政治学者・政治思想家である白井聡氏との共著が7月1日にアマゾンにて先行販売開始された。

『沈む日本 4つの大罪
経済、政治、外交、メディアの大嘘にダマされるな!』
(ビジネス社)
81xvgue4y6l_sy466__20240702205101
https://x.gd/3proI

ぜひご高覧賜りたい。

 

– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –

スリーネーションズリサーチ株式会社
http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html

メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
http://foomii.com/00050

– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –

※ISF会員登録およびご支援のお願いのチラシ作成しました。ダウンロードはこちらまで。
ISF会員登録のご案内

「独立言論フォーラム(ISF)ご支援のお願い」

植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

ご支援ください。

ISFは市民による独立メディアです。広告に頼らずにすべて市民からの寄付金によって運営されています。皆さまからのご支援をよろしくお願いします!

Most Popular

Recommend

Recommend Movie

columnist

執筆者

一覧へ