【連載】知られざる真実/2024年7月4日 (木)小池3選悪夢の創設者
映画・書籍の紹介・批評メディア批評&事件検証政治メディアが仕組む選挙の構図が明らかになると興ざめする。
東京都知事選では小池百合子氏を落選させることが焦点。
学歴詐称疑惑と金権腐敗疑惑の二つの重大問題がある。
学歴詐称疑惑はまったく解消されていない。
小池氏サイドが実行したのはエジプト政府に働きかけてカイロ大学の卒業認定を獲得することだったのだろう。
実際にカイロ大学を卒業してはいないがカイロ大学に働きかけて卒業したことにしてもらった疑いが強い。
何らかの「工作活動」でカイロ大学が小池氏のカイロ大学卒業を認定しても、小池氏が学歴詐称してきたとの疑いはまったく晴れない。
問題になっているのはカイロ大学が卒業を認定するのかどうかではなく、過去において小池氏がカイロ大学を事実として卒業していたのかどうかである。
小池氏がカイロに滞在していたときに直接生活を共にしていた人物、小池氏の家族に対してカイロでの生活を支えていた人物が、現実の事実に基づいて小池氏はカイロ大学を卒業していないことを証言している。
これらを踏まえて真実を明らかにすることが重要だ。
これまでに公開されているさまざまな証言等に照らして考えると、小池氏は実際にはカイロ大学を卒業しておらず、学歴詐称疑惑が問題視されるようになったのちに、さまざまな政治力を行使してカイロ大学による卒業認定を獲得した可能性が高いと判断される。
この仮説を否定する説明は小池氏からなされておらず、強い疑いはまったく解消されていない。
主要メディアはこの疑惑を追及するべきだが、まったく行わない。
背後には小池氏とメディアの癒着がある。
これが第二の論点の核心でもある。
東京都の事業、行政に極めて疑わしい部分が多い。
東京都が関与する巨大事業に築地再開発と神宮外苑再開発がある。
神宮外苑に関しては土地所有者が明治神宮ならびに独立行政法人日本スポーツ振興センターになっているが、再開発に重大な影響を与える各種建築規制等の取扱いに重大な疑惑がある。
風致地区で15メートルを超える高い建物を建設することができない規制が存在するところ、特別に高さ制限を緩和して、190メートルの高層ビルの建設が可能になる措置が取られた。
また、「公園まちづくり制度」を変則運用して秩父宮ラグビー場を「公園未供用」として公園指定を解除して再開発を可能にした。
さらに、新宿区に働きかけて建国記念文庫の森及び神宮第二球場風致地区を規制が厳しい「A地域」「B地域」から「S丙地域」に指定替えを行った。
他方、築地について小池氏は「築地は守る、豊洲は活かす」と述べ、仲卸が築地に復帰できる道を残すと明言したが、築地再開発計画では、この公約は守られていない。
築地再開発地に隣接する地域に朝日新聞、日本テレビ、電通の本拠地があり、読売が築地再開発の中核に陣取る。
築地も外苑も事業実施の中核に三井不動産が起用されているが、この三井不動産に東京都幹部が大量天下りしている。
「業と官」、「電(電波産業=メディア)と官」の癒着がくっきりと浮かび上がる。
メディアと深く癒着する小池都政。
メディアは何としても小池氏の3選を実現させたい状況にある。
小池氏を当選させるには何が必要か。
第一は、小池氏の弱点を一切報道しないこと。
最大の弱点は学歴詐称疑惑と業界との癒着。
メディアはこの重大問題に一切触れない。
第二は、小池氏を脅かす対立候補への投票をかすめ取ること。
第三の候補が必要ということだ。
この第三の候補として用意されたのが石丸伸二氏であると見られる。
第三の候補で年齢が若く、斬新なアイデアを示す候補としては、安野たかひろ氏という候補が存在する。
石丸氏と安野氏を並べたときにどちらがより魅力的であるかは意見が分かれるところ。
安野氏と石丸氏は本来、同列に扱われるべき候補者だ。
ところが、メディアは都知事選が始動する前から石丸候補の大宣伝だけをし続けた。
石丸氏は都知事選に落選した後、維新などから衆院総選挙に出馬する可能性があるのではないか。
ここまで仕組まれているという可能性を否定できない。
同時に目論まれていることは蓮舫票を可能な限り減少させて、立憲と共産の共闘に対する攻撃材料に用いる。
メディアが主導する選挙の構図がくっきりと浮かび上がる。
日本の主権者はこうした「仕組まれた選挙」の図式を認識して、これを粉砕する戦術を構築しなければならない。
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植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050