【連載】百々峰だより(寺島隆吉)

百々峰だより(2024/07/19) 『翻訳NEWS』素材情報20240719――「トランプ暗殺未遂事件」から私たちは何を学べばよいのか

寺島隆吉

写真説明:ルーズベルト大統領へのクーデターを阻止した、スメドレー・バトラー将軍

 

国際教育(2024/07/19)
民族浄化作戦
超正統派ユダヤ人
アメリカ先住民の抹殺・皆殺し
JFK(ジョン・F・ケネディ)の暗殺
FDR(フランクリン・デラノ・ルーズベルト、米国大統領)
スメドレー・バトラー(Smedley D. Butler、FDRにたいするクーデター計画を阻止)
フィデル・カストロ(Fidel Castro、キューバ元首、)

ルーズベルト大統領へのクーデターを阻止した、スメドレー・バトラー将軍
スメドレー・バトラー将軍 フィデル・カストロ
CIAによる638回にも及ぶ暗殺計画を、生き延びたフィデル・カストロ(元キューバ元首)

「翻訳グループ」の皆さん、Cc:研究所の皆さん


元大統領トランプ氏の暗殺未遂事件で世界中が騒然としています。しかし元々アメリカは暗殺大国でした。
というよりも、先住民をほとんど殺し尽くして、「民族浄化」のうえでつくりあげたのがアメリカという国でした。
その大先輩の「偉業」を受け継いで、しかもその大先輩の「指導」と「援助」で、いまパレスチナでも「民族浄化作戦」が展開されています。
ですから、そういう観点からすると、元大統領トランプ氏の暗殺未遂事件はたいしたことのない事件かも知れません。
何しろ左派・リベラルと言われる人たちからも、大手メディアも、「トランプ殺せ」の大合唱でしたから。
つまりトランプ暗殺未遂の「下手人」は二人いたのです。ひとりは実際に銃を撃った若者で、もうひとりは周りで「殺せ殺せ」とわめいていたメディアや民主党議員たち。


それでもリンカーンの暗殺やJFK(ジョン・F・ケネディ)の暗殺は、大統領の暗殺という意味では、アメリカ国民の大事件だったに違いありません。
今度の事件では元大統領であり、来たるべき大統領選挙では再び大統領になる可能性がある人物の暗殺未遂でしたから、世界が騒然としたのも無理はありません。
というのは、今度の事件でトランプ氏が次期大統領になることは、ほぼ確定したからです。これは同時にウクライナ戦争もトランプ当選で「終戦」になることも、ほぼ確定しましたから、その意味でも世界は騒然としたに違いありません。
トランプ氏は以前から、「私が大統領になったら、その翌日にウクライナ戦争を終止させてみせる」と豪語していましたから、この暗殺未遂事件で真っ青になったのは、ゼレンスキー大統領であり、NATO指導者だったことでしょう。
ぜひともトランプ氏に、その凄腕を発揮してほしいものです。

とはいえ、トランプ氏は、初めて大統領に立候補したとき、「CIA解体」「NATO解体」「JFK(ジョン・F・ケネディ)暗殺事件の調査報告書の公開」などを公約としていたにもかかわらず、そのどれも実現しませんでした。
ですから、今度の選挙で大統領になったとしても、やはり”Deep state“の圧力で腰砕けになり、ウクライナ戦争についても、プーチン政権が解体するまで戦争を続ける、と言わざるを得ないようになる可能性もあります。


それはともかく、かつてニューディール政策を掲げて米国民の希望の星となっていたフランクリン・ルーズベルト大統領も、ウォール街の意向に逆らったため暗殺の対象となりました。
JPモルガンなどの金融資本は、当時アメリカ国民の間で人気の高かったスメドレー・バトラー将軍にクーデター計画をもちかけたが、逆にバトラー将軍につぶされてしまいました。
ですから、フランクリン・ルーズベルト大統領も、暗殺未遂で生き延びたとも言えます。他方、キューバのカストロ首相はCIAによる638回もの暗殺から逃れています。何が違ったのか。

しかし不思議なことにウィキペディアでさえ、ルーズベルト大統領の暗殺計画にふれていません。最近CIAがウィキペディアの内容にも口を出して検閲していると言われていますから、さもありなんと思いました。
しかし今回の素材情報には、このことを詳細に紹介したマシュー・エレット(Matthew Ehret)の論考も入れてあります。
この論考の初出は2022年ですが、現在の事態をすでに予言していたかのような異色の論考です。誰かぜひ挑戦してほしいと思います。

*Why Assume There Will be a 2024 Election? America’s 1934 “Bankers’ Coup Plot” Revisited(なぜ2024年の選挙を想定するのか?アメリカの1934年「金融界によるクーデター計画」再考)
https://www.globalresearch.ca/2024-election-america-1934-bankers-coup-plot-revisited/5862580
Global Research, July 15, 2024 By Matthew Ehret


さてトランプ暗殺未遂ですが、一部には自作自演だという説も出されているようです。
しかしバイデン大統領との公開討論会で勝利し、トランプ株が上がる一方だったときに、わざわざ自作自演までして自分の命を危険にさらす必要は全くありませんでした。
これはトランプ暗殺を仕組んだのは民主党バイデン側ではないかと疑われるのを避けるための、世論操作だと思われても仕方がないでしょう。これは「イラン下手人説」についても同じです。
確かに、イラン革命防衛隊の精鋭部隊「コッズ部隊」のトップ、カセム・ソレイマニ司令官が2020年1月3日、イラク・バグダッドで米軍の空爆によって死亡しました。この暗殺を命じたのは当時の大統領トランプ氏でしたから、そのような言い訳もなりたつでしょう。
とはいえ、いまイランは新しい大統領選挙を終えたばかりで、改革派で元保健相のマスード・ペゼシュキアン氏(69)が当選し、新しい方向に歩み出そうとしているところですから、わざわざトランプ暗殺にまで手を出すゆとりはないでしょう。
だから、これもトランプ暗殺を仕組んだのは民主党バイデン側ではないかと疑われるのを避けるための、世論操作だとしか考えられません。


いずれにしても現在のアメリカ情勢は、この国に未来がないことを明確に示しているようです。なにしろトランプ氏にしろバイデン氏にしろ極めて高齢者なのに、彼らに代わる有望な候補者がいないのですから。
日本人の中にはトランプ氏が当選すればアメリカは変わると信じている人たちもいます。確かにウクライナ紛争は終わるかも知れませんが、トランプ氏もイラン高官をバクダッドで暗殺しても平気な人物です。

連日のように残虐な「民族浄化作戦」を遂行しているイスラエルについても、トランプ氏は絶対の支持者です。世界の世論を敵に回してもイスラエルの首都をエルサレムと認め、大使館をエルサレムに移動したのも、トランプ氏でした。
アメリカが親ロシアになっても、中国敵視政策は変わりません。ところが今や世界の多くの国がBRICSに加盟を求めています。今まで親米でアメリカの言いなりなっていたサウジアラビアですらBRICS志向です。このように世界の流れは明らかに変わりつつあります。


にもかかわらず、我が岸田政権は忠実なアメリカの家来として、中国包囲網を強化するために沖縄の島々に軍事基地をつくり、いざ中国戦となると、ゼレンスキー大統領と同じく、「cannon fodder(砲弾の餌食、使い捨ての兵士)」になる道を突き進んでいます。
ウクライナを援助して戦争を長引かせ、ウクライナ国民に「無駄死に」を強いています。かつての沖縄戦と同じです。嘆かわしい限りです。今この記事を書いている最中に、夫を徴兵された婦人が、キエフで抗議の焼身自殺をしたというニュースが飛び込んで来ました。
ウクライナの人々を救うためにも、国家ぐるみで「暗殺リスト」をつくり臓器売買や捕虜虐待などで腐敗している「ゼレンスキー独裁政権」を援助してはならないのです。最近では化学兵器も使い始めたとの報道も届きました。
何度も言います。ガザの「民族浄化作戦」とウクライナの「特攻隊作戦」「無駄死に作戦」をやめさせましょう。

– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –

★ISF(独立言論フォーラム)「市民記者」募集のお知らせ:来たれ!真実探究&戦争廃絶の志のある仲間たち

☆ISF主催公開シンポジウム:日米合同委員会の存在と対米従属 からの脱却を問う

☆ISF主催トーク茶話会:エマニュエル・パストリッチさんを囲んでのトーク茶話会のご案内

☆ISF主催トーク茶話会:安部芳裕さんを囲んでのトーク茶話会のご案内

☆ISF主催トーク茶話会:浜田和幸さんを囲んでのトーク茶話会のご案内

※ISF会員登録およびご支援のお願いのチラシ作成しました。ダウンロードはこちらまで。
ISF会員登録のご案内

「独立言論フォーラム(ISF)ご支援のお願い」

寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

ご支援ください。

ISFは市民による独立メディアです。広告に頼らずにすべて市民からの寄付金によって運営されています。皆さまからのご支援をよろしくお願いします!

Most Popular

Recommend

Recommend Movie

columnist

執筆者

一覧へ