【連載】社会学作家・秋嶋亮の「リアリティ・オブ・ジャパン」

秋嶋亮(社会学作家)連載ブログ/10:人間は自分が見たいものしか見ない生き物であること

秋嶋亮

都知事選挙は日本という国の暗愚を象徴的に、また集約的に表していたのではないだろうか。

小池百合子の悪政は言うまでもないが(都議会での答弁拒否率が76%という横暴ぶりであり、公約を殆ど果たさず、学歴詐称報道を抑えるため電通やマスコミ各社にカネをばら撒くなどして1兆円の財政予算を霧消させ、地下鉄や水道などのインフラを外資に売り飛ばす等、やりたい放題なのだが)、対抗馬である蓮舫もこれに匹敵する酷さなのである。

蓮舫はかつて「改憲に賛成」とアンケートに回答した改憲論者であり、立民の議員として軍需産業の国有化法や武器輸出法を始め戦争法案の成立に加担してきたことを先に述べたが(NTT法改正など自民党の売国法案にも協力してきたことを前回記したが)、彼女の最大の罪過はコロナワクチンの接種を与党に働きかけ巨大薬禍を引き起こしたことだろう。 コロナワクチンによる被害は、過去45年間の全ワクチンの被害(予防接種健康被害救済制度を適用した151人の死亡者数)を僅か3年で上回ったというが、これですら(実際の被害の数千分の1という)矮小化された数字なのだ。

2021年1月から今年3月までの超過死亡は51万人を超えており、これがコロナワクチンの接種時期と一致することから「共変関係(集団接種と超過死亡の相関)」は明らかだろう。つまりこの薬禍は驚天動地の制度犯罪なのである。 だから本来であれば蓮舫はワクチンを積極的に推進した立場として説明責任を果たさなくてはならない(都知事選に出馬した時点で被害者と遺族に釈明しなくてはならない)。ところが彼女は薬害を黙殺し、「無いこと」として片付け、有権者と対話関係を結ぼうとしなかったのだ。

これは自民党の模倣的同型化とでも言うべき態度戦略であり、彼女もまた公共的な倫理の回路を持たない人物である証しなのである。にもかかわらず、反ワクチンの人々が熱狂的に彼女を支持し(改憲や原発や民営化などに反対する人々までもが彼女を信奉し)、巨大な自己撞着の群れと化していたのだ。

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秋嶋亮 秋嶋亮

☆秋嶋亮(あきしまりょう:響堂雪乃より改名) 全国紙系媒体の編集長を退任し社会学作家に転向。ブログ・マガジン「独りファシズム Ver.0.3」http://alisonn.blog106.fc2.com/ を主宰し、グローバリゼーションをテーマに精力的な情報発信を続けている。主著として『独りファシズム―つまり生命は資本に翻弄され続けるのか?―』(ヒカルランド)、『略奪者のロジック―支配を構造化する210の言葉たち―』(三五館)、『終末社会学用語辞典』(共著、白馬社)、『植民地化する日本、帝国化する世界』(共著、ヒカルランド)、『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―15歳から始める生き残るための社会学』(白馬社)、『放射能が降る都市で叛逆もせず眠り続けるのか』(共著、白馬社)、『北朝鮮のミサイルはなぜ日本に落ちないのか―国民は両建構造(ヤラセ)に騙されている―』(白馬社)『続・ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―16歳から始める思考者になるための社会学』(白馬社)、『略奪者のロジック 超集編―ディストピア化する日本を究明する201の言葉たち―』(白馬社)、『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへOUTBREAK―17歳から始める反抗者になるための社会学』(白馬社)、『無思考国家―だからニホンは滅び行く国になった―』(白馬社)、などがある。

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