【視点】バイデン氏撤退も「ハリスではトランプと戦えない」=乗松聡子氏 スプートニク(sputnik日本)記事 2024年7月22日, 19:44

乗松聡子

スプートニク特派員は、バイデン大統領の選挙戦撤退が今後の世界情勢に与える影響について、カナダを拠点に活動する「ピース・フィロソフィー・センター」の代表である乗松聡子氏に話を聞いた。

スプートニク:バイデン氏撤退は、米大統領選挙にどのような影響をもたらしますか?

乗松聡子氏:今の状況を見たら、トランプが大変有利ですよね。
バイデンが撤退してもしなくても、トランプが有利な状態になっていたとは思います。
暗殺未遂事件があったでしょう。あれで俄然トランプに有利になったと思うんですよね。
民主党内ではカマラ・ハリスを支持する声が多いと同時に、ただ後継指名されたからではなくて、ちゃんと民主党内でのレースを勝ち抜いた上で立つべきとの声が交錯していると聞いています。
ハリスは副大統領としては非常に人気が低かったですし、何か業績があったようにも見えないです。
彼女はトランプととても戦えないと思いますね。

スプートニク:民主党でトランプと戦える人物はいると思いますか?

乗松聡子氏:私が一番怖かったのは、ヒラリー・クリントンが復活するんじゃないかということでした。
そうなれば外交政策的には最悪のシナリオですけれども、報道など見ていると、ヒラリー・クリントンもハリスを支持しているので、それはないのかなとは思います。
彼女も歳ですけども、トランプと同じぐらいの世代です。まだ不可能ではない年齢なので、出てこようと思えば出てこれると思います。

スプートニク:今の状況だと、やはりトランプに一番チャンスがあると?

乗松聡子氏:そうですね。トランプも殺されなければですよね。常に暗殺のリスクにさらされていると思うので。
私もそれはトランプのファンではないですけれども、テロにで大統領候補が殺されて、そのような方法で大統領が決まってほしくないですからね。
私が一番懸念するのは、報道などを見ても、ガザの問題が論点でなくなってしまっていることです。
つい最近まではアメリカの大学でデモが広がって、今でもやってると思いますけれども、これが大統領選に直接影響すると言われていました。
ですが今、どちらに転んでも、もうガザにとっては絶望的な状況です。

カマラ・ハリスも外交はあまり経験がなくて、基本的にバイデン路線を踏襲すると言われています。
トランプはウクライナ紛争は終わらせるんじゃないかっていう期待はありますけれどね。
そういう意味では、トランプの方が外交政策にプラスの部分はあると思います。
ですが、前任の時代のイスラエルに対する非常に友好的な対応を見ても、トランプがガザのジェノサイドを止めるとは思えません。

つまりガザの問題は争点になり得ないんです。
ここまでの人道問題、殺戮が展開されているのに、もう世界が何もできないでいる。
デモはもう世界中で広まっていますけれども。
ただウクライナについては、トランプが大統領になったら、すぐにでも止めて欲しいと思います。

スプートニク:止められると思いますか?

乗松聡子氏: はい。ただトランプはマイク・ポンペオとかジョン・ボルトンとか、前任の時に非常に問題のあるネオコン(新保守主義)勢力で周りを固めたじゃないですか。
そういう人たちが和平への道を塞ぐような可能性はあるので、問題はトランプが誰を側近に置くかですよね。
彼一人の意思でできるようだったら、彼一人の意思を貫けるようだったら、ウクライナ紛争はすぐにでも終わらせることができるんじゃないでしょうか。
そう期待したいです。

※この記事は、プートニク(UPUTNIK日本)記事 2024年7月22日, 19:44

https://sputniknews.jp/20240424/18265363.html からの転載です。

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乗松聡子 乗松聡子

東京出身、1997年以来カナダ・バンクーバー在住。戦争記憶・歴史的正義・脱植 民地化・反レイシズム等の分野で執筆・講演・教育活動をする「ピース・フィロ ソフィーセンター」(peacephilosophy.com)主宰。「アジア太平洋ジャーナル :ジャパンフォーカス」(apjjf.com)エディター、「平和のための博物館国際ネッ トワーク」(museumsforpeace.org)共同代表。編著書は『沖縄は孤立していない  世界から沖縄への声、声、声』(金曜日、2018年)、Resistant Islands: Okinawa Confronts Japan and the United States (Rowman & Littlefield, 2012/2018)など。

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