与那覇けい子さん詩集：沖縄の朝
琉球・沖縄通信夜を 乗り越え
朝が きた
心のなかに
ぶら下がる おもり
黒い塊を 抱えて
今日が 始まる
昨日の重さに よろめきながら
小さな一歩を 踏み出す
地球の片隅にのっかる 島々に
大海に縮こまる ちっぽけな島々に
こぼれ落ちた 太陽のかけらは
日々
強さを 増していく
「要らない」と叫んだのに
「もう要らない」と叫び続けたのに
また、いつのまにか
重い武器を ぶら下げられ
よろめきながら 歩き始める
ほこりの溜まった 街のすみずみを
光が 突き刺していく
見えてきた
あそこにも
ほら
ここにも
黒い塊が・・
あの日
目の前の海の青を 黒く埋めて
戦争がやってきた
この 塊が 溶けていくには
この 重さから 解き放たれるには
もっと 光が・・
もっと 朝が・・
「選挙に 負けた」
朝が 来た
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与那覇恵子
独立言論フォーラム・理事。沖縄県那覇市生まれ。２０１９年に名桜大学（語学教育専攻）を退官、専門は英語科教育。現在は非常勤講師の傍ら通訳・翻訳を副業とする。著書は「沖縄の怒り」（評論集）井上摩耶詩集「Small World」（英訳本）など。「沖縄から見えるもの」（詩集）で第３３回「福田正夫賞」受賞。日本ペンクラブ会員。文芸誌「南瞑」会員。東アジア共同体琉球・沖縄研究会共同代表。
