モディ政治の光と影 グローバル・サウスの盟主インドの実相◉浜田和幸(紙の爆弾2024年8・9月号掲載)
社会・経済政治#アダニ・エンタープライズ #BRICS外相会議 #ビル・ゲイツ #グローバル・サウス#宇宙開発 #独裁とモディ疲れ #アメリカ #中国 #水問題
世界はすでに米国を見限っている
かつて一世を風靡した「ノストラダムスの大予言」より、はるかに速いスピードで世界の流れは変わってきています。このフランス人医師にして占星術師が1555年に書き残した予言では、「2024年には中国が第3次世界大戦の口火を切る」とされていました。
それだけ、中国が国際社会に影響力を行使するようになるとの見立てだったと思われます。
確かに、このところ中国の技術力や軍事力はアメリカを凌駕する勢いを見せています。
去る6月14日からイタリアで開催されたG7首脳会議でも、「中国やロシアの脅威にどう共同で対処するか」が大きなテーマになったほどです。
言い換えれば、第二次世界大戦後、そして冷戦を経て誕生した「アメリカ一強の時代」に挑戦しているのが中国というわけです。その観点からすれば、ノストラダムスの未来予知能力は確かなものだったといえそうです。
実は、アメリカが牽引してきたG7の政治・経済・軍事力は低下する一方と言っても過言ではありません。
その象徴的な出来事が、ウクライナ戦争で実施された欧米諸国によるロシアへの経済制裁の思わぬ大失敗でしょう。
ロシアはまったく影響を受けていないどころか、逆にウクライナ戦争以前と比べ、格段の経済成長を実現しているからです。
今やロシアはドイツを抜き、世界第5位の、そして欧州最大の経済大国となっています。
一方、ロシアへの経済制裁に加わったイギリスに至っては過去300年で最悪の経済不振に陥っているではありませんか。
IMF(国際通貨基金)はロシアの2024年の経済成長率を2.6%と予測し、昨年の見通しの倍へと上方修正しているほど。イギリスのフィナンシャル・タイムズ紙も欧米の予測の誤りを指摘しています。
要は、G7の国々は政治的な思惑やアメリカへの配慮からか、ロシアや中国に対しては冷静さを失い、感情的な“上から目線”に囚われているようです。その結果、「圧力をかければロシアも中国も言うことを聞くはずだ」といった希望的観測の虜になっているように思えてなりません。
日本の岸田文雄政権もアメリカへの忖度があるせいか、プーチン大統領に対する非難を強め、ロシアとの貿易通商を制限すれば、彼らを停戦交渉のテーブルに着かせることになるはずだと思い込んでいるようです。「プーチンのロシアは苦境に追い込まれている。経済が疲弊し、国民の不満も高まっている。あと一歩でプーチンは敗北を認めるだろう」。
そんな根拠なき楽観論から、いまだに抜け出せないでいるのがG7の指導者なのです。
現実はその逆で、ロシア経済の復活は目覚ましく、G7首脳会議とほぼ同時期にロシアで開催されたBRICS外相会議では「アメリカはすでに頼りにならない」と、バイデン政権と距離を置く動きが顕著です。
いわゆる「グローバル・サウス」諸国もBRICS加盟に舵を切るようになってきました。
岸田首相はそうした国際関係の地殻変動に関心が薄いようです。
世界銀行の最新のデータは衝撃的なものでした。2024年のロシアの経済力は5.95兆ドルで、日本の5.87兆ドルを抜いています。
しかも、ロシアには統計に表れない地下経済が39%もあるのですが、日本には10%しか潜在力がないとされています。ロシアは日本を抑える経済力を秘めているわけです。
中国を越えるインド
さらに侮れないのが、BRICS諸国の潜在力でしょう。
その意味でも、グローバル・サウスの中心的役割を果たそうと積極的に動いているインドに注目する必要があります。
国連の最新の人口統計予測によれば、この4月末、「インドの人口は中国を凌駕した」と報告されました。2024年末のインドの人口は14億2900万人で、中国は14億2600万人と予測されています。
このままでいけば、インドの人口は2063年には17億人を突破するといわれます。インドで最も人口の多いのは首都のニューデリーで、3000万人を超えています。
しかも、インドの特徴は若年層の大きさです。中国では人口の15%弱が65歳以上で、この比率は年々増加しています。日本同様、高齢化が急速に進んでいるわけです。
一方のインドは女性が平均して6人の子どもを出産してきました。
やはり人口の多さは経済力にも影響します。
インド国立銀行の予測によれば、GDP(国内総生産)ですでにイギリスを抜いており、ドイツや日本をも間もなく追い抜き、29年にはアメリカ、中国に次いで世界第3位の経済大国に躍り出るとのこと。
今後10年以内に、インドのGDPは現在の3.4兆ドルから8.5兆ドルに急増すると見られています。
ちなみに、今年の経済成長率は7%と予測されています。
そうしたインドの未来に期待し、アップルを筆頭に欧米の企業は、この人口超大国への投資と工場進出の動きを加速中です。
マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏も頻繁にインドを訪問
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国際未来科学研究所代表、元参議院議員