【高橋清隆の文書館】2024年08月09日 保険証廃止後も資格は永続、武見氏はマイナ保険証ごり押し

高橋清隆

12月2日から健康保険証が発行されなくなるが、マイナンバーカードを保険証として登録しなくても保険資格は永続する。武見敬三厚生労働相は8日の記者会見で「マイナ保険証を保有しない方々には、申請によらず各保険者において資格確認証を発行する」とこのことを認める一方で、「ぜひマイナ保険証を使っていただきたい」と医療サービスを人質にしたデジタル監視化を推進する立場を鮮明にした。

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記者会見に臨む武見氏(2024.8.8厚労省会見室で筆者撮影)

政府はマイナ保険証の登録を大宣伝しているが、何ら手続きを取らなかったとしても、12月2日以降に保険証の代わりとなる資格確認書が送られてくる。2023年6月の改正マイナンバー法成立に伴う健康保険法改正で付則に「当分の間、職権で被保険者に対し、厚生労働省令で定める事項を記載した書面を交付することができる」旨が盛り込まれた。

国民健康保険の場合、資格確認証が失効する直前ごとに市町村が新たな資格確認書を送付してくる。その期間は「当分の間」だが、厚労省保険局国民健康保険課の担当者は筆者の電話取材に対し、「資格確認書の仕組みは制度化されたものなので、永続的なもの」と答えている。健康保険法に新たに加わった第51条の3には、「被保険者の資格の確認に必要な書面の交付」が明文化されている。

8日の会見で東京新聞の記者が「資格確認書は当面の間は申請がなくても更新され、有効期限は最長5年とのこと。この期間を過ぎても資格確認書は更新でき、制度はその終了の期限を決めずにずっと維持していくということか」と質問した。

武見氏は「最大1年間は、現行の保険証の使用が可能となる。マイナ保険証を保有しない方々には、申請によらず、各保険者において資格確認書を発行する……なお、資格確認書の有効期限は5年以内で各保険者が定められることとしている」と答弁した。

「最大1年間」というのは、市町村が発行する国民健康保険の有効期限が大半の場合、1年間だからだ。「5年以内」というのは、大企業の被用者保険などで最長5年を有効期限としている所があることを踏まえている。

筆者が「当分の間とは何年間か」とただした。武見氏は「まだ決まっておりません」と答えた。

筆者が質問したのは、マイナ登録しないと保険での受診がもうできなくなるかのような誤誘導を政府がしているので、この誤解を解く発言を期待してのこと。
武見氏は申請によらず資格確認証を発行する措置を講じることには言及したものの、「1人でも多くの方にマイナ保険証を使っていただきたい。
利用登録促進の取り組みを進めることが極めて重要」と宣伝した。

東京新聞の記者への答弁でも、「わが国の出遅れた医療制度におけるデジタル化を進め、国民お一人お一人に対してより質の高い医療をこれから提供していただけるためには、必須の課題」などと付け加えた。

世界保健機関(WHO)の日本における代理人としてユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の一貫として医療のデジタルを進めることが、テドロス事務局長や最大出資者のビル・ゲイツ氏に対する点数稼ぎにつながると考えているのだろう。

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保険証廃止の真相を解説する川内氏(右、2024.8.7衆院第1議員会館内で筆者撮影)

保険証廃止の問題に詳しい川内博史衆院議員は、「国民健康保険法など保険診療を規定する法律には、保険料を払っていれば保険診療を受けられることが書かれている。

現行でも、紙の健康保険証がなくても、保険診療は受けられる。
保険診療が受けられるかどうかは、保険料を払っているか否か」と説明する。

その上で、「マイナ保険証がないと保険診療が受けられないなどという刷り込みを政府が今、おやりになってらっしゃるのは、大変な詐欺的行為であると思う」と批判する。

政府はマイナンバーカードを通じた国民監視に向け、なりふり構わぬ誤誘導に躍起だ。
医療機関や薬局などに台本(トークスクリプト)まで配布し、患者に「2024年12月2日に現行の健康保険証の発行が終了します。
まずはぜひ、お早めにマイナンバーカードの作成をお願いいたします」などの呼び掛けを行うよう迫っている。

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マイナ保険証促進トークスクリプト(厚労省ホームページより)

マイナ保険証を持参しない患者には、「ぜひ次回はマイナンバーカードをお持ちください」と声掛けをしたか、マイナカードの利用を促すポスターが掲示されているかなど、利用促進に努めているかのチェックリストも付いている。

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利用促進のためのチェックリスト(厚労省ホームページより)

病院や薬局を支援金で釣っている。マイナ保険証利用者の増え具合によって、1件当たり20円から120円のボーナスが付く。

当初、5~7月を集中月間とし、病院の場合最大20万円、診療所・薬局の場合最大10万円を贈っていた。6月下旬には、これを8月まで延長。
それぞれ40万円・20万円に倍増し、総額217億円の予算を計上した。

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支援金の一覧表(厚労省ホームページより)

支援金を得るには、①窓口での声掛け②ポスター掲示③チラシの配布の3点が条件になっている。③のチラシは、「本年12月2日から現行の健康保険証は発行されなくなります」と冒頭で脅している。

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露骨すぎる誤誘導チラシ(厚労省ホームページより)

4月には、河野太郎デジタル担当相が自民党議員に「通報」を呼び掛ける文書を配布していたことが発覚した。マイナ保険証で受付ができない医療機関を見つけた場合、マイナンバー総合窓口に連絡するよう求める内容。

さらに同月下旬、マイナ保険証の利用率が3%以下の病院・薬局に、厚労省から活用を催促するメールが一斉配信されていることが分かった。

■参考動画

小野瀬氏による厚労省への電話質問

8月8日記者会見での筆者と武見厚労相とのやり取り(8/9挿入)

※なお、この記事は「高橋清隆の文書館」2024年8月9日のブログ記事がらの転載であることをお断りします。

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高橋清隆 高橋清隆

反ジャーナリスト。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。元ローカル新聞記者。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&K プレス)、『山本太郎がほえる~野良犬の闘いが始まった』(Amazon O.D.)など。翻訳にデーヴィッド・アイク『答え』第1巻[コロナ詐欺編](ヒカルランド)。2022年3月、メディア廃棄運動を開始。 ブログ『高橋清隆の文書館』http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/

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