【高橋清隆の文書館】2024年07月02日 武見厚労相はパンデミック条約に想定される「強制措置」の中身答えず

高橋清隆

交渉中のパンデミック条約に強制措置を盛り込む必要性を否定していない武見敬三厚生労働相は2日、想定する強制措置の具体例を記者から求められたが「交渉中であり、予断することは難しい」「どのような規定になるかはこれからの話」などとして明言を避けた。

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隣の記者の質問に答える武見氏(2024.7.2厚労省会見室で筆者撮影)

武見氏は2021年4月に国際保健規則(IHR)やパンデミック条約に強制措置を盛り込む国際潮流について言及していて、6月28日の記者会見では筆者の質問に対し、「必要な強制措置があってもおかしくない」との考えを示している。

今回、ジャーナリストで元国会議員秘書ユーチューバーの藤江成光(まさみつ)氏が、「新たな感染症対策として例えば、どのような強制措置を想定されているのか」と質問した。これに対し武見氏は、「パンデミック条約については作成交渉が行われている最中であり、内容を予断することはなかなか難しい」と述べた。

藤江氏が「1個でいいので、どういうことが想定されていて強制措置があってもおかしくないとしたのか」と再度迫った。武見氏は危険な感染症が将来発生した場合への備えが必要であることを強調した上で、「国際法上どのような規定になるかというのはこれからの話で、少なくとも、インターナショナル・ヘルス・レギュレーションの中では、そうした法的な強制措置については指定されているわけではない」と明言を避けた。

武見氏は藤江氏との問答の中で、「WHOによる国家主権の制限や基本的人権の侵害について懸念を生じさせたり、パンデミックに際して各国の自主的な判断を妨げるような内容については議論は行われていない」「ワクチンの強制接種に関する条文は含まれていない」などと述べ、聞かれもしない懸念を払拭しようと努めた。この言い回しは、6月4日の上川陽子外相の答弁と同じだ。

しかも、「国家主権の制限や基本的人権の侵害について懸念を生じさせる」議論が行われてないというのはうそだ。IHR改正の当初案では、WHOからの勧告(recommendation)についての規定における「拘束力のない」の語句や、原則における「個人の尊厳、人権、基本的自由を十分尊重する」の語句が削除されていた。

「主権国家の政府として」など「主権国家」という言葉が3回も登場した。聞かれもしない語句を繰り返すのは、主権が脅かされる内容が議論されている可能性を示唆する。「ワクチンの強制接種」についても、藤江氏は言及していない。

前回、「強制措置」についてよどみなく自説を披歴した武見氏は、後悔したのかもしれない。今回、挙手した記者の中で筆者だけが当てられず、「大臣、公務の関係で、今日はここまでとさせていただきます」と打ち切られた。

■参考サイト

👆藤江成光チャンネル【記者会見 2024.7.2】

※なお、この記事は「高橋清隆の文書館」2024年7月2日のブログ記事がらの転載であることをお断りします。

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高橋清隆 高橋清隆

反ジャーナリスト。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。元ローカル新聞記者。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&K プレス)、『山本太郎がほえる~野良犬の闘いが始まった』(Amazon O.D.)など。翻訳にデーヴィッド・アイク『答え』第1巻[コロナ詐欺編](ヒカルランド)。2022年3月、メディア廃棄運動を開始。 ブログ『高橋清隆の文書館』http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/

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