【特集】日航機123便墜落事件

日航123便墜落事故:スローニュースの記事について

市民記者:小幡瞭介(おばた りょうすけ)

2024年8月13日、ニュースサイト「スローニュース」が以下の記事を公開した。

【スクープ】日航ジャンボ機墜落39年目の新証言!「エスコートスクランブル要請」はなぜ記録から消されたのか
https://slownews.com/n/nbfc6f5ea8d43

記事には以下の通り書かれている。

≪スローニュースでは昨年、事故当日に航空自衛隊のレーダーサイトで当直司令官を務めていた元自衛官が、緊急事態を受けて前例のない「民間機へのエスコートスクランブル」によって救助をしようと上申していたことを報じた。エスコートスクランブルとは、自衛隊機がスクランブル=緊急発進をして、事故機をエスコートする、つまり、随伴して飛行しながら助言をすることだ。これまでの政府答弁にはなかった新たな証言で、事故機を誘導したり、早期発見したりすることができた可能性が浮かび上がった。
その後の取材で、この「エスコートスクランブル」について、実は事故機と交信していた運輸省の東京航空交通管制部(東京ACC)からも自衛隊に要請が入っていたことが新たに判明した。≫

当該記事によると、事故当日の18時56分、東京航空交通管制部(東京ACC、東京管制部)から航空自衛隊入間基地に「重大な状態にある。パイロットは何か叫んでいるが、よく分からない。エスコート機を上げてもらいたい」との連絡が入ったとのことだ。また、19時00分、「ターゲット、ロスト」と再び東京ACCから入間基地に連絡が入ったとのことである。

実は、私の第三弾目の記事「日航123便墜落事故とさまざまな矛盾」で紹介した『航空ふぉーらむ』第27号(1985年12月発行)にも類似した情報が掲載されているので、以下に紹介する。

『航空ふぉーらむ』第27号には、以下の通り記載されている。

≪すでに18時40分頃から、東京管制部では航空自衛隊および米軍横田ラプコンに対し、救援の航空機を出動させられないかとの調整が始められていた。しかし、このようなエスコート出動の要請は、パイロットの要求があるのならまだしも、管制官が独断で行うのは初めてであった。≫

上記の記述から、東京ACCは自衛隊だけでなく、米軍横田ラプコン(Radar Approach Control レーダー進入管制所)にもエスコート出動を要請していたことがわかる。

『航空ふぉーらむ』第27号には、以下の情報も掲載されている。

≪18時54分。東京管制部のレーダーから日航機の表示が消える。位置は横田の北西三〇三度、三十三マイル(約六十㌔)。同 57分、羽田のレーダーからも機影が消失。≫

この情報と、先述したスローニュースの記事の情報を合わせると、以下のような流れが見えてくる。

18時54分、東京ACCのレーダーから日航機の表示が消えた。その2分後の18時56分に、東京ACCは空自入間基地に「重大な状態にある。パイロットは何か叫んでいるが、よく分からない。エスコート機を上げてもらいたい」と連絡した。その4分後の19時00分に、東京ACCは「ターゲット、ロスト」と再び入間基地に連絡した。

東京ACCが入間基地に「ターゲット、ロスト」と連絡したのは、東京ACCのレーダーから日航機の表示が消えてから6分後だったということになる。

さて、先述したスローニュースの記事には内田惟志氏が作成した時系列表が掲載されている。

当該表、『航空ふぉーらむ』第27号および1985年8月22日付『朝雲』を参考に、新たに時系列表を作成したので以下に掲載する。(『朝雲』については、私の前回の記事でも紹介している。)

18時40分ごろから、東京ACCでは航空自衛隊および米軍横田ラプコンに対し、救援の航空機を出動させられないかとの調整が始められていた。それにもかかわらず、東京ACCが入間基地に「エスコート機を上げてもらいたい」と連絡したのが18時56分になってしまったのは、一体なぜだろうか。不思議である。

読者の方にも、上記の時系列を参考に、事故について考察していただきたい。

ところで、東京ACCが米軍横田ラプコンにエスコート出動を要請したことは、現在あまり知られていない。スローニュースには、今後、このことについても取り上げていただきたい。

また、スローニュースには、警察の冊子『上毛警友』(1985年10号)についても俎上に載せていただきたい。『上毛警友』については、集英社オンライン編集部による青山透子氏への取材記事に詳しく書かれている。

集英社オンライン “日航機墜落事故から39年…元JAL客室乗務員が、今も「事故ではなく事件」と言い切るワケ「レコーダー開示訴訟では裁判長が突然交代するなど、不可解な点だらけです」” 3ページ目
https://shueisha.online/articles/-/251254?page=3

事故の真相が一刻も早く明らかになることを願っている。

【参考文献】
• 佐藤 等/取材協力 宗澤俊郎、Y・A. “【スクープ】日航ジャンボ機墜落39年目の新証言!「エスコートスクランブル要請」はなぜ記録から消されたのか”. スローニュース. 2024-08-13. https://slownews.com/n/nbfc6f5ea8d43 (参照 2024-08-20)

• 佐藤 等. “【御巣鷹山事故】日航機を救うため、墜落前に「エスコートスクランブル」上申の新事実が判明!なぜ却下?当直指令官が初めて証言した”. スローニュース. 2023-08-15. https://slownews.com/n/ndd93b4e5645f(参照 2024-08-20)

• 小幡瞭介. “日航123便墜落事故とさまざまな矛盾(市民記者記事・小幡瞭介)”. ISF独立言論フォーラム. 2024年5月5日公開. https://isfweb.org/post-36982/ (参照 2024-08-20)

• 全運輸省労働組合. 日航123便事故 その時地上では…. 航空ふぉーらむ. 1985. 27. p.6-19.

• ドキュメント. 朝雲. 1985-08-22. p.3.

• 小幡瞭介. “日航123便墜落事故:123便が18時40分ごろレーダーから一時的に消えた可能性について”. ISF独立言論フォーラム. 2024年8月7日公開. https://isfweb.org/post-41293/ (参照 2024-08-20)

• 青山透子、集英社オンライン編集部. “日航機墜落事故から39年…元JAL客室乗務員が、今も「事故ではなく事件」と言い切るワケ「レコーダー開示訴訟では裁判長が突然交代するなど、不可解な点だらけです」”. 集英社オンライン. 2024-08-11. https://shueisha.online/articles/-/251254?page=3 (参照 2024-08-20)

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