日本のマスコミがほとんど報じない「ニュース」 №6

日中友好ネット

9月3日、トルコが正式に「BRICS」への加盟申請を表明しました。順調に行けば、今年10月にロシアで開かれるサミット(総会)で承認されます。

「BRICS」は先進国倶楽部=「G7」の対極に位置する、いわゆる第三世界諸国(*一般にはグローバルサウス=新興国と称されている)の国際会議です。

結成当初のブラジル、ロシア、インド、中国にその後南アフリカが加わり、各国の国名の頭文字を取って「BRICS」と称するようになっています。その後 イラン、エジプト、アラブ首長国連邦、エチオピアが加わり、南アフリカのパンドール外相によると、2024年2月4日までに「BRICS」加入への関心を伝えてきた国は34か国に達しています。

その後も、2024年5月28日にはタイ政府、同年6月18日にはマレーシアなどが続々と加盟希望の意向を表明しています。“雪崩を打った”かのような各国の加盟申請の中で、今回のトルコは特段の意味があります。何しろ、トルコはNATOの一員だからです。

「BRICS」がこれまでいわゆる“世界秩序”を一方的に決めていた先進国倶楽部=「G7」に対抗する、第三世界の新たな希望となっていることを示すものです。

世界地図を見ても分かる通り、「BRICS」加盟国は、それぞれ各大陸における代表的な国々を網羅しています。南アメリカではブラジル、アフリカでは南アフリカ、エチオピア、中東ではアラブ首長国連邦、イラン、アジア大陸では言うまでもなく中国と印度、更にはアジアとヨーロッパを跨ぐロシアがあります。

こうした地域的代表性を有するばかりでなく、人口面においても、2024年時点での人口は、インドが約14億人(世界1位)、中国も約14億人(世界2位)、ブラジルが約2億人(世界7位)、ロシアが約1億4,600万人(世界9位)、南アフリカが約6,100万人(世界24位)となっており、5か国合計で32億人以上、世界人口の約41%を占めています。今後もBRICSの加盟国の増加に伴って、BRICS諸国が世界人口の半数以上を占める事はほぼ間違いないでしょう。

それに加えて工業力、資源などにおいても、「G7」と拮抗する存在となっています。経済面でも、購買力平価(PPP)の対世界シェアの動きをみると、G7のシェア低下と「BRICS」の上昇は顕著で、すでに2021年にはシェアが逆転しています。以降もその差は拡大し続け、国際通貨基金 (IMF) では2025年にG7の割合は29.2%な一方、BRICSの割合は33.0%に達すると予測しています。

未だ「G7」がほぼ独占する「通貨支配(特に米ドル」についても、「ウクライナ戦争」以降、確実に揺らぎはじめています。国際的金融制度を私物化してやまない「G7」を目の当たりにして、当然と言えば当然の結果と言えるでしょう。今年10月にロシアで開催されるサミットでは、この「脱ドル支配」と「独自通貨の拡大」が最も重要な議題になると報じられています。

かつて、世界はアメリカを筆頭とする「NATO」と、ソ連を筆頭とする「ワルシャワ条約機構」に二元化されていました。1991年のソ連の解体後は、アメリカの一極覇権となり、「G7」が世界のあらゆるルールを取り決め、第三世界の発言権は皆無と言える状態が続いていました。

アメリカをはじめとする「欧米+ポチ」の傲慢と非道義性による必然的な衰退に伴って、新たな多極化の世界が明確に現れはじめたと言えます。「世界」=「欧米」としか認識できず、「中国崩壊論」や「債務の罠」、最近では「過剰生産」等など、“自己陶酔”に浸り続ける日本では、こうした変化がまったく見えてこないのです。

ますます孤立化する「G7」をはじめとする覇権勢力の孤立化と衰退に比して、「BRICS」は言うに及ばず、「上海協力機構」の拡充、150カ国が参加する「一帯一路」、更にはRCEP(地域的な包括的経済連携協定=ASEAN加盟10カ国にパートナー5カ国/オーストラリア、中国、日本、ニュージーランド、韓国が加盟する世界最大の貿易協定)の発効等などを見れば、世界の趨勢は明らかと言えるでしょう。前号でご紹介した「中国アフリカ協力フォーラム(FOCAC)北京サミット」もその一つと言えます。

日本のマスコミ報道だけを見ていれば、まるで「中国」が「世界?」から孤立しているかのような印象を持つのも無理からぬことですが、「現実」を見れば、誰が世界に開放され、支持を得ているのか、誰が孤立主義に落ちいているのかが明らかではないでしょうか。

2024/9/14  墨面

本記事は日中友好ネット記事からの転載になります。

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