メールマガジン第220号:うるま市石川に陸自訓練場計画 首長は住民の命の声を聞け
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今年は波乱に満ちた年になる予感がした。正月1日の能登半島地震、翌日の日航機と海保機の衝突・炎上。1月10日には辺野古大浦湾側埋め立ての石材投入、遂に沖縄県民の民意を踏みにじる代執行が強行された。
そんな中、希望が持てるニュースがあった。防衛省が今年度中予算案にうるま市石川の東山カントリークラブ跡地一帯の用地を取得する経費を計上した。自衛隊の訓練場として、ヘリの離着陸や地対艦・地対空ミサイル部隊の発射機展開、空包射撃などの訓練をするという。
それに対し、地元の旭区民自治会が臨時総会を開き、区民114人の全会一致で建設計画に反対決議をした。区民の英断にエールを送りたい。ゴルフ場に隣接して住宅地や県立石川青少年の家がある。ここは県内外の青少年が自然とふれあい、集団活動する貴重な場所だ。そのすぐ隣で戦争をする訓練、つまりは人を殺す訓練をするという、それを国はどう青少年に説明するのだろうか。
しかも旭区民は1959年6月30日、米軍ジェト機が墜落した宮森小学校の校区だ。死者18人(児童12人、住民6人)、重軽傷者210人の犠牲者が出た。特に小学2年生の校舎が直撃を受け、火だるまになった子どもたちは、水飲み場まで走り、そのまま次々と息絶えたという。反対決議をした住民には当時の事故体験者もいた。きっとあの悪夢が蘇ったことだろう。
私事だが、私は宮森小学校正門のすぐ前で1951年に生まれた。父がそこで質屋を経営したが、うまくいかず那覇に引っ越した。もし商売がうまくいき、そのままそこに住んでいたら、わたしは8歳、小学2年生だ。そのことを思うとゾッとする。
自衛隊は同じうるま市の勝連分屯地に地対艦ミサイル配備、隣の沖縄市にミサイル弾薬庫建設計画も進めている。うるま市の中村正人市長は、訓練場に対しては「計画の詳細が不明のため」、ミサイル配備に対しては「国防に関する事項だ」として「コメントを控える」と述べている。
国ではなく、住民の代表である首長は、「国防は国の事項だ」と逃げずに、まっ先に「計画の詳細」を国に問いただし、住民の命と生活を守るために、ありとあらゆる手を打つべきだ。それが危険を察知したときに鳴くという「炭鉱のカナリア」のような、悲痛な命の声を発している住民に応える唯一の道だ。
具志堅正己(具志堅農園顧問)
※本稿は沖縄タイムスの論壇(2024年1月30日)に掲載されたものを、具志堅さんの了解を得て転載配信しました。
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