【連載】ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 メールマガジン
ノーモア沖縄戦

メールマガジン第228号:【ZENKOユース平和参加団in沖縄 ―対話で平和を広げよう―】

ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会

2月10~12日に「ZENKOユース平和参加団in沖縄」を実施しました。高校生2人を含む10~30代の若者メンバーを中心に13人で沖縄を訪問し、過去の沖縄戦、辺野古新基地建設の現場、普天間・嘉手納基地などを見て学び、平和とは何かを考えました。

◎「沖縄戦」を繰り返すな
1日目は南部戦跡をまわり、沖縄戦の実相を学びました。糸数アブチラガマでは、住民や軍人が戦火から逃れるため真っ暗なガマの中で過ごした数カ月に思いをめぐらせました。命を落とした人も多くいましたが、滴り落ちる水滴や井戸などの「水」により命を永らえたことを知り、普段何気なく飲んでいる水の大切さを実感しました。
南部の熊野鉱山では1年前に訪れた時から状況が一変していました。森が伐採され、山が崩され採石が行われています。沖縄戦で亡くなった人の遺骨混じる土砂を、再び戦争のための辺野古新基地建設に使われようとしていますが、人道上絶対に許されることではありません。
2日目は辺野古新基地建設の現場を訪れました。浜テントではヘリ基地反対協議会の浦島悦子さんから辺野古での基地建設反対運動について説明を受けました。浦島さんもおばぁたちから「戦争の悲惨さは子や孫には体験させたくない」、「海は命の恩人。それを基地に売るなんてとんでもない」と繰り返し聞かされてきました。その背中を見て現在も反対運動に立っています。また、ジュゴンが生きられない環境は私たちも生きられない。そのためにジュゴンが生きられる環境を取り戻したいと語られました。この平和への思いを私たち若者が引き継いでいかなければいけないと思いました。
米軍キャンプ・シュワブゲート前では、辺野古弾薬庫の新増設工事、美謝川の切り替え工事など、光景は全く変わっています。瀬嵩の浜から見ると、フロートに囲われて、土砂運搬船が停泊し、監視船が往来しています。辺野古代執行で1月10日以降、海中への石材の投入など大浦湾側で埋め立て工事が強行されています。
しかし、グラスボートで見た大浦湾は、青サンゴ、テーブルサンゴなどが棲息し、イソギンチャクにはクマノミが共生するなど生態系豊かな自然が残っています。大浦湾の海に足を入れ、砂浜に絵をかき、貝殻を拾いました。エイサーも踊りました。全身で感じたこの美しい自然を守りたい―参加者の共通の強い思いです。

◎命を脅かす軍事基地
最終日は普天間基地、嘉手納基地などを訪れました。米国国防長官が“世界一危険な基地”と言った普天間基地は未だ返還期限すら示されていません。米軍ヘリの窓枠が落ちた普天間第二小学校は運動場のフェンス越しに普天間基地が隣接しています。サッカーをしていた子どもたちのすぐ隣に基地があり、命を脅かしている状況が続いています。嘉手町はその8割が基地で占領されています。戦後79年経っても米軍基地が沖縄に集中する状況は変わっていません。
また自衛隊基地の強化も進んでいます。うるま市の陸自勝連分屯地ではミサイル配備が計画されています。
沖縄県内の嘉手納、普天間、ホワイトビーチの3か所は国連軍基地でもあり、朝鮮半島で再び戦火が交われば、全県-全国が戦場となる危険性があります。沖縄戦や基地の実態を知ることで、戦争を防ぎ平和をつくるためには軍事力ではなく対話が重要、と参加者は肌で実感しました。

◎平和の思いを対話で実現しよう
夜は交流会を行い、参加者は感じたこと、平和への思いを語りあいました。1日目は、初めてガマに入った高校生は「じめじめしていて、酸素が薄く、息苦しく感じた。それが何か月も続き、苦しかったと思う。私だったら諦めてしまうかもしれないのに、生き延びた人は生きる希望を持っていたから生き抜いたのだろう。命について考えることが出来た」と当時の状況に思いを馳せました。30代の青年は、「ガマの中こそ戦争のリアルだ。政治家こそガマに入り、戦争を知るべきだ」と、政府の言う「戦争」の空虚さを語りました。
「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」の新垣邦雄さん、「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」の神谷美由希さんも交えた2日目の交流会では、「私たちがどのような行動ができるのか」を話し合いました。
20代の女性は「沖縄で知ったことを友人に伝えたい。でも政治のことを友人や周りの人に話をしても、あまり聞いてもらえなかった」と自身の経験を語ります。これに対し「日本では、政治について日常ではあまり語られないが、海外では当たり前に議論になる。政治がもっと身近なものであると伝えていくことが重要ではないか」との意見が寄せられます。
また「知っている人に伝えることも重要だが、それが難しい場合はSNSを利用しての発信も重要である。SNSなら匿名でも発信できる」と多様な表現で発信していくことの重要性が語られました。
今なお7割の米軍基地が集中する沖縄ですが、神谷美由希さんは「沖縄の底力を信じている。一人でも多くの人が沖縄の現状を知ることで、全国へ平和への思いが広がり、変わるのではないか」と語りました。
最後に紙にそれぞれの決意を書き、発表しました。「平和について考えることを身近にする」、「一歩一歩だけれども今の出来事を伝える事!」「平和の大切さを知っていきたい」「出来るだけ友達と話をする努力をする」「できる支援を。そのためのアンテナを張り続ける」「平和、政治についてそばにいる人と話してみること。リアルな対話を増やすこと」「今回学んだことを友達にはなす」「今の沖縄の現状を友達に伝えていきたい」など対話で平和をつくる思いが溢れていました。

田中拓真・ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)

 

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