ウクライナ情勢シンポ㊦ 市民記者桑原亘之介さんのブログ
本記事は、2024年9月30日に開催されました、ISF主催公開シンポジウム「ウクライナ情勢の深刻化と 第三次世界大戦の危機」に出席された 桑原亘之介氏ブログ「ウクライナ情勢シンポ㊦」の転載原稿です。
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ISF独立言論フォーラムが主催する「ウクライナ情勢の深刻化と第三次世界大戦の危機」と題する公開シンポジウムが2024年9月30日(月)、全国家電会館(東京都文京区湯島3ー6ー1)で開かれたのに出席した。
登壇者は以下の5人:鳩山友紀夫元総理大臣、元外務省国際情報局長・孫崎享さん、一水会代表の木村三浩さん、青山学院大学の羽場久美子名誉教授、立命館大学の安斎育郎名誉教授。
上ではウクライナ、ガザ、台湾を巡る問題についてレポートしたが、下では石破茂新政権の外交安保とりわけ対米関係の見通しと米大統領選の影響についての話をお伝えする。
石破自民党総裁は同10月1日に内閣総理大臣となる運びとなっているが、彼が主張している日米地位協定の見直しや核持ち込み容認などについて発言が相次いだのをまずは紹介する。
石破茂自民党総裁
一水会の木村代表は石破氏が唱えている2つに賛成だという。「そうやって日本が自分の頭で考えて対米従属を変えてゆくということには大いに賛成だし、主権を守ることに賛成です」。
「石破さんはバーターでグアムに自衛隊を置くとか言っているけれど、バーターで何かやることがないと出来ないと思っているのではないか。地位協定にしても、バーターではなく、日本の警察などが(何かあった時に)立ち入りが出来るように、せめてドイツ、イタリア並みにしてほしい」。
羽場名誉教授は厳しい見方をしている。「日米地位協定の改定は出来ないと思います。従属的な地位協定をせめてドイツ、イタリア並みにすることです」。「アジアを戦争状態においておきたい理由に米韓軍事同盟、日米同盟が理由になってしまっています」とも指摘した。
日本は最大の貿易相手にミサイルを撃ち込まんとしているが、日本はまず「アジアと結び、グローバルサウスと結び、政府ではなく自治体が国益でなく国民益で動くことが最大の利益だと思っています」。
高市2位は日本右傾化の表れ
ただ心配もあるという。
木村代表は「地位協定の見直しなどやってもらいたいのですが、その前に潰されるんじゃないかって心配なんです」という。
羽場名誉教授は「腐敗にまみれた自民党だが、倒されるのを恐れているからこそ手ごわい。石破政権は生き残りのために総力をあげて選挙を戦うでしょう。哀れな日本人はまた入れてしまうんでしょう」と話した。
一方、総裁選で2位になった高市早苗氏についても発言があった。
一つは高市氏がもし勝って総理大臣になっていたら靖国参拝をしていただろうということで「その場合、日中、日韓関係は壊滅的なダメージを受けていただろう」という。
「途中から麻生(太郎副総裁)さんが高市さんを指示しましたが、背後にはアメリカの意向があったのでしょう」という見方。
それに「負けはしたものの高市さんは相当の票を獲得しました。これはいかに日本が右傾化しているかということを示しています」。
日中関係を壊した立憲党の野田新代表
そして、孫崎さんは「世界と日本をみていて思うのは、日本では体制に反抗する人が本当に少なくなりました。60年代にあれだけの人々は、就職に不利になると分かっていても、何万人も(日米安保条約改定反対デモに)参加した。今は基本的に学生運動はない」という。
その理由として孫崎さんは「小中高大を通じて体制の考え方を取り入れる教育がすばらしく行われている」からだとした。
鳩山元首相は石破氏とは同じ選挙で初当選した同期なのだという。
また立憲民主党の野田佳彦新代表に関しては「(普天間米軍基地の移転先としてそれを)辺野古に戻したということについてはアメリカが喜ぶと思ったのですが、私にとっては最大の屈辱です」。
「私が日米関係を壊して野田君がそれを修正したということでいいのかなと・・・私に言わせれば、日中関係を壊したのは誰なのでしょうか」と鳩山元首相が話すと拍手が会場から起こった。
野田氏は首相時代に石原慎太郎東京都知事の提言によって日中が帰属をめぐって対立する尖閣諸島を国有化して、対中関係を悪化させた。
怖い状況にある米大統領選をめぐる情勢
一方、この秋に行われる米大統領選挙についても発言があった。
ウクライナ、ガザなどでの戦争について、もしハリス氏が勝ったとしたら何も変わらないだろうという。一方、トランプ氏が勝利したらどうなるか。
鳩山元首相は「トランプ再選を期待せざるを得ません。戦争を終わらせることができるのはアメリカしかおらず、トランプしかいない」という。
だからこそ、トランプ氏は軍産複合体にとっては厄介のようだ。
トランプ米共和党大統領候補
トランプの前回の政権時代後半には彼のやりたいことが出来なくなっていたと孫崎さん。対北朝鮮関係の改善についてもボルトン大統領補佐官(安全保障担当)が「部下なのに反対したんです」。
「ボルトンの後ろには軍産複合体がありました」。
また欧州でも米軍基地をいくつか閉鎖しようとしたが、次の政権に任せようということに軍がしたんですと孫崎さん。
すでに選挙キャンペーン中にトランプ氏は二度暗殺未遂にあっている。孫崎さんは「怖いのは彼らは何でもやることです」。
2度目の暗殺未遂ですが、犯人は長い間ウクライナにいて米国に来たごろつきで、暗殺未遂現場のフロリダのゴルフ場に朝から15時間もずっといたが、「トランプがいつどこにいるかという情報がトランプ周辺から漏れていたということです。怖い状況になっている」と孫崎さんは述べた。
官僚に忖度、ネトウヨに敗北
そして日本のメディア状況への批判というよりむしろ諦めの声も聞こえた。まず、官僚とメディアが一体化しているとの指摘がなされた。
「記者たちは官僚から情報をもらいたいために、彼らが情報をくれなくなるようなことをしません。忖度です」
「ネトウヨ(ネット右翼)の存在がメディアに影響していると思う。跳梁跋扈しているネトウヨは批判なんかすると反発して面倒。それにメディアが負けてきちゃった。東京新聞も朝日新聞もバッシングされて負けてきちゃったという側面があると思います」
新聞は社会の木鐸なんていうのは幻影だったのか。
そんなことすら思ってしまう今日の「マスゴミ」だ。
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