【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2024.10.08 櫻井春彦 : ガザやレバノンで住民虐殺、イランで要人暗殺のイスラエル政府は背後にネオコン

櫻井春彦

ジェフリー・エプスタインなる人物が2019年7月にアメリカで逮捕された。性犯罪の容疑だが、彼が行なっていたことは未成年の女性と有力者を引き合わせ、ふたりの行為を盗撮し、それを利用して後に恫喝の材料に使うということ。

 イツァク・シャミールがイスラエルの首相時代、特別情報顧問にすえていたアリ・ベンメナシェによると、エプスタインはパートナーだったギスレイン・マクスウェル、彼女の父親でミラー・グループを率いていたロバート・マクスウェルと同様、イスラエル軍の情報機関(アマン)のために仕事をしていた。(Zev Shalev, “Blackmailing America,” Narativ, Septemner 26, 2019)

 2005年3月、フロリダの警察を訪れた女性が14歳になる義理の娘のエプスタインによる猥褻な行為について訴えている。13カ月にわたって捜査、家宅捜索も行われたのだが、その時に事件を担当した地方検事がトランプ政権で労働長官を務めたアレキサンダー・アコスタにほかならない。

 アコスタによると、その時にエプスタインは「情報機関に所属している」ので放っておけと言われたとしている。結局、エプシュタインは有罪を認め、懲役18カ月の判決を受けるのだが、刑務所へは入れられていない。

 エプシュタインの自宅から少なからぬ有名人(顧客)の連絡先が書かれた「黒い手帳」が2009年に持ち出された。持ち出した人物は手帳を5万ドルで売ろうとしてエプスタインが行っていた「ビジネス」に関する情報の一部が漏れた。

 かつてFBIに君臨していたJ・エドガー・フーバーも有力者の弱みを握り、政財界に大きな影響力を行使していたと言われている。同じことをイスラエル軍の情報機関も行なっていたわけだが、エプスタインたちだけが行なっているわけでもないはずだ。犯罪組織も同じことをしているだろう。

 こうした恫喝の仕組みを行使する前に、買収工作が行われる。アメとムチで有力者を操るわけだ。イスラエル政府がこうした仕組みを利用してアメリカを操る可能性は高いが、アメリカ側も同じことをしている。イスラエルとアメリカが対立しているなら「刺し合い」になる。

 現在、イスラエルで首相を務めているベンヤミン・ネタニヤフは犯罪捜査の対象になっている。国民に支持されているわけでもない。首相の座を降りたなら、逮捕起訴されると考えている人も少なくないのだ。

 その不安定なネタニヤフ政権の背後にはネオコンのエリオット・エイブラムスとも言われている。この人物をジョー・バイデン大統領は昨年7月3日、ACPD(公共外交諮問委員会)の委員に指名する意向を表明した。

 日本の外務省によると、公共外交とは「広報や文化交流を通じて,民間とも連携しながら,外国の国民や世論に直接働きかける外交活動」。つまり内政干渉の一形態。ネオコンはイスラエルの内政に干渉してネタニヤフを首相とするカルト政権を作り上げた。その象徴的な存在が国家安全保障大臣を務めているイタマル・ベン-グビルだろう。

 ​ジョー・バイデン大統領はハマスがイスラエルへ攻め込んだ後、ベンヤミン・ネタニヤフ首相に対し、「シオニストであるためにユダヤ人である必要はない」と断言、自らがシオニストだと訴えた​。それだけでなく、​上院議員だった1986年6月、ハイデンはイスラエルがアメリカの利権を守る上で重要な存在だと議会で主張​している。

 ハマスの創設にイスラエルが深く関与していることは本ブログでも指摘してきたが、ジャーナリストの​シーモア・ハーシュによると、2009年にネタニヤフが首相へ返り咲いた時、PLOでなくハマスにパレスチナを支配させようとした​。そのため、ネヤニヤフはカタールと協定を結び、カタールはハマスの指導部へ数億ドルを送り始めたという。

 昨年10月7日にハマスを中心とする武装グループがイスラエルを攻撃したが、この攻撃に疑惑の目が向けられているのはそうした背景があるからだ。イスラエルはハマスやヒズボラの内部に情報網を張り巡らせていると言われ、電子的な監視システムも整備されている。事前に攻撃を察知できなかったとする話は胡散臭い。また欧米やイスラエルにはパレスチナからレバノン、さらにシリアにかけての地域を支配したい理由がある。

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※なお、本稿は櫻井ジャーナル2024.09.27XML
「ガザやレバノンで住民虐殺、イランで要人暗殺のイスラエル政府は背後にネオコン」
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