【連載】知られざる真実/2024年10月12日 (土)石破内閣を冷静に評価する視点
社会・経済政治衆議院総選挙が10月15日に公示される。
投開票日は10月27日。
自民に逆風が吹いての総選挙。
逆風の主因は二つ。
第一は自民党と統一協会の癒着が明らかにされたこと。
2022年7月8日に安倍晋三元首相が暗殺された。
実行犯は統一協会信者の家族とされている。
ただし、事件経過に不審な点が多く、実行犯は逮捕・起訴された山上徹也被告ではないとの説も存在する。
この事件をきっかけに自民党と統一協会との関りがクローズアップされた。
岸田元首相は自民党と統一協会の関係を断ち切るとしたが両者の関係についての調査を拒絶した。
いまなお、地方議員を含めて多くの自民党議員が統一協会との関係を断ち切れていないとする見方が根強い。
この問題に対する疑念が渦巻いている。
第二は政治とカネ。
政治資金規正法は政治資金収支を公開し、政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われ、もって民主主義の健全な発展に資することを目的に制定された。
政治資金収支公開が法律の根幹である。
多数の自民党議員が政治資金収支を公開せず裏金化していた。
自民党による巨大組織犯罪である。
裏金犯罪行為を実行した議員が85名。
1000万円を超える違法行為を実行した議員が21名存在した。
警察・検察が厳正に摘発するべきだが日本の警察・検察は権力犯罪を適正に取り締まらない。
刑事事件として立件された議員は3名にとどまった。
二つの重大問題の中核に位置したのが自民党安倍派。
岸田元首相は9月総裁選での再選見通しが立たず、首相を辞任した。
選挙の顔を変えてイメージを変え、支持率が上昇したタイミングで総選挙を挙行するシナリオが描かれて9月総裁選が実施された。
総裁選1回目投票で高市早苗氏が1位に躍り出たが決選投票で敗北。
新首相に就任したのは石破茂氏だった。
その石破新体制発足の瞬間から激しい石破氏攻撃が展開されている。
攻撃しているのは三勢力。
第一は日本支配者の米国。
米国は完全服従の日本首相を求める。
小泉純一郎氏、安倍晋三氏、岸田文雄氏はこの系譜に属するが、石破氏は完全服従の姿勢を示さない。
第二は旧安倍派勢力。
自民党総裁選でも旧安倍派は最後まで石破氏を支援しなかった。
石破氏と最も距離があるのが旧安倍派である。
裏金議員の処遇について、当初は全員公認との情報が流布されたが、これに対する世論の反発がすさまじく、石破新総裁は12名に対して公認しない判断を示した。
また、裏金議員に対して比例代表での重複立候補を認めない方針も示した。
この措置に対して世論は「不十分」、旧安倍派議員は「厳しすぎる」との声を上げている。
どのように行動しても必ず批判が生じる。
中庸な選択を示したと言える。
しかし、旧安倍派勢力が石破氏攻撃を激化させていることは間違いない。
第三は財政緩和・金融緩和を求める勢力が石破氏批判を展開している。
これも実は高市支持派と重なる部分が大きい。
高市氏が財政緩和・金融緩和を主張している。
しかし、異常な金融緩和が異常な日本円暴落をもたらした。
日本円暴落は外国資本による日本乗っ取りを助長する亡国の施策。
金融政策を正常化して日本円を防衛することが必要不可欠。
石破攻撃の出所を正確に把握し、石破新体制破壊を目指す情報工作に警戒する必要がある。
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
スリーネーションズリサーチ株式会社
http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
http://foomii.com/00050
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
※ISF会員登録およびご支援のお願いのチラシ作成しました。ダウンロードはこちらまで。
ISF会員登録のご案内
植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050