【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2024.10.19/櫻井春彦 : 追い詰められたウクライナ大統領は西側を核戦争で脅した カテゴリ:カテゴリ未分類

櫻井春彦

 ウクライナのウラジミール・ゼレンスキーは自国が核兵器を保有するか、NATOに加盟したいと語った。ゼレンスキーは9月下旬にアメリカを訪問、ジョー・バイデン大統領のほかふたりの大統領候補、つまり民主党のカマラ・ハリスと共和党のドナルド・トランプと会談、その際、トランプにも同じことを伝えたというが、この主張は西側にロシアとの核戦争を求めているのだと理解する人もいる。

 アメリカ/NATOはウクライナを舞台にした戦闘でロシアに負けている。その結果、ウクライナ側兵士の死傷者は増え、武器弾薬が不足している。さすがに「ウクライナは勝っている」という宣伝は無理になり、「ロシアを勝たせてはならない」という主張に変化した。

 そうした状況をイギリスのベン・ウォレス前国防大臣も明らかにしている。​昨年10月1日、テレグラフ紙に寄稿した記事の中でウクライナ兵の平均年齢は40歳を超えていると指摘している​のだ。

 また、​ドイツのボリス・ピストリウス国防相は今年2月、ドイツのウクライナへの砲弾供給を昨年に比べて今年は3から4倍に増やすと述べた​。ウクライナへ十分な弾薬供給を維持するのに苦労しており、同盟国からの軍事援助が減ったことで懸念が高まっているとしていた。EU外相を務めていたジョゼップ・ボレルは1月31日、EUは3月までにウクライナに約束していた砲弾100万発のうち、約半分しか提供できないと述べている。

 しかし、実際のところ、アメリカ/NATOの兵器供給は2022年にロシア軍が軍事介入した直後の段階で不足、ウクライナの戦死者も膨らんでいた。だからこそ、ゼレンスキー政権はロシアのウラジミル・プーチン政権と和平交渉を開始、合意に達していたのだ。その交渉を壊し、戦争を継続させたのがアメリカとイギリスにほかならない。そうした西側の判断が間違っていたのだ。

 アメリカの選挙システムは事実上、民主党と共和党の二者択一を要求している。それ以外の政党、あるいは個人として立候補し、当選することは至難の業だ。

 勿論、例外的な人物もいた。例えば2000年の大統領選挙では、その前年に実施された世論調査でジョン・F・ケネディ・ジュニア、つまりジョン・F・ケネディ大統領の息子が共和党や民主党の候補者を5ポイントほどリードしていたのだ。ケネディ・ジュニアは出馬の意思を示していなかったが、彼の大統領就任を望む有権者が多かったということである。

 もしケネディ・ジュニアが立候補したなら、投票数でトップになる可能性は高い。そこで選挙人が投票結果に拘束されるのかどうかという点が議論された。選挙人が別の候補者に投票することは可能なのか、不可能なのかということだ。アメリカの大統領選挙は候補者本人に投票するのではなく、選挙人を選ぶからだ。アメリカの大統領選挙が機能不全に陥る可能性すらあった。

 しかし、そうした懸念を吹き払う出来事が1999年7月16日に起こる。ケネディ・ジュニアが操縦する単発のパイパー・サラトガが墜落したのだ。目的地であるマサチューセッツ州マーサズ・ビンヤード島へあと約12キロメートルの地点だった。本人だけでなく同乗していた妻のキャロラインとその姉、ローレン・ベッセッテも死亡している。

 いくつかの点から考えて操縦ミスで落ちた可能性は小さい。例えば、墜落した位置からするとパイパー機は自動操縦で飛んでいた可能性が高い。

 現在、こうした例外的な人物は見当たらない。ハリスかトランプになると一般的には考えられている。通常、アメリカの外交/安全保障政策はどの政権でもシオニストが握っている。ジョン・F・ケネディ大統領は在任中、シオニストの命令に従わなくなったが、暗殺された。

 ジョー・バイデン政権の場合、外交/安全保障政策はアントニー・ブリンケン国務長官とジェイク・サリバン国家安全保障担当大統領補佐官を中心に動いている。バイデン政権が始まった当初はバイデン大統領や今年3月まで国務次官を務めていたビクトリア・ヌランドもこのグループに加わっていた。このグループはシオニストの中でも好戦的なネオコンだ。

 しかし、アメリカの支配システムが揺らいでいることもあってアメリカの支配層は割れている。システムが安定していれば、次の政権も基本的に同じ政策を実行するはずだが、状況が違う。ウクライナで戦争を主導してきたネオコンはアメリカの支配層で孤立しつつあるようで、戦争を継続してロシアを破壊、分裂させようと必死だ。トランプが大統領に選ばれた場合、状況は変化する可能性がある。

 そこで、イスラエルやロシアがトランプ政権の誕生を見通して様子を見る一方、ウクライナはバイデン政権の間に何とかしたいのだと考える人もいる。パレスチナやレバノンでイスラエルが住民を虐殺しているにも関わらず動きの鈍いロシアにイランが苛立っている原因もそこにあると分析する人もいる。

 ロシアはイスラエルによる攻撃に備え、イランに防空システムS-400を配備済みだろうと推測されているが、もしその推測が間違っていたなら、ロシアにとって困難な状況を作り出すことになるかもしれない。

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※なお、本稿は櫻井ジャーナルhttps://plaza.rakuten.co.jp/condor33/

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