【連載】植草一秀の「知られざる真実」

【連載】知られざる真実/2024年10月16日 (水)自公・第二自公・反自公の三つ巴

植草一秀

総選挙が公示された。

投開票日は10月27日。

選挙は三つ巴の闘いになる。

与党は自公。

石破内閣は自公で過半数議席確保を目指す。

これまでの自公での絶対多数とは一変する。

自公に対する強烈な逆風が吹いている。

最大の問題は政治資金をめぐる巨大な組織犯罪。

政治資金規正法の根幹は政治資金収支の公開。

これによって政治活動を国民の不断の監視と批判の下に置く。

この措置を通じて民主主義の健全な発展に資するのが同法制定の目的。

その根幹の政治資金収支を隠ぺいし、裏金が創作されてきた。

この犯罪行為の中心になったのが自民党旧安倍派。

石破新総裁は裏金議員12名に対する公認を取りやめた。

また、裏金議員に対して比例代表での重複立候補を認めなかった。

裏金候補者は選挙区で勝利しなければ議員の職を失う。

これが主因になって自民党は議席を大幅に減らすことになる。

したがって、自公での過半数議席確保は容易でない。

 

自公に対峙する野党が一枚岩でぶつかれば政権交代を実現できる。

しかし、その野党は一枚岩でない。

野党勢力は自公類似勢力と自公対峙勢力に割れた。

共産党は野党共闘を求めたが立憲民主党が拒絶した。

しかし、現在の立憲民主党と共産党の基本政策は著しく乖離している。

したがって、この政策路線を踏まえれば野党陣営が二つに割れることは順当である。

重要な政策課題が三つある。

原発推進の是非

消費税減税・廃止の是非

安保法制・日米地位協定の是非

野田立民は

原発推進容認、消費税減税阻止、安保法制・地位協定容認

の姿勢を示す。

対米自立と対米隷属では対米隷属。

自公の基本路線とほぼ同一。

維新の基本政策も極めて近い。

維新が消費税減税を主張している点だけが違う。

 

自公政治に対峙する主権者は

原発廃止、消費税減税・廃止、安保法制・地位協定改正

を求める。

したがって、野党勢力は二つに割れるのが順当である。

立民・維新・国民の第二自公グループ

共産・社民・れいわの反自公グループだ。

自公と第二自公は基本政策路線が類似する。

これに対峙するのが反自公グループ。

自公と第二自公が票を食い合うことになるから反自公グループに勝機が生じる。

国民生活の疲弊を考えたとき、最重要の施策は消費税減税・廃止である。

立民の野田佳彦氏は「消費税増税を許さない」と叫んで2009年8月総選挙を戦った。

ところが、この公約が生きているなかで、2012年8月に消費税率を10%に引き上げる法律制定を強行した。

消費税率を5%から10%に引き上げたのは安倍内閣だが、10%への引き上げを法定化したのは野田内閣である。

この大増税法制定を強行して野田氏は2012年12月に自爆解散を決行。

民主党議席は3分の1に激減した。

自公と第二自公が票を食い合えば、反自公が浮上するチャンスを得る。

自公政治刷新を求める主権者は立民ではなく、反自公勢力に投票を集中する必要がある。

 

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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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