【櫻井ジャーナル】2024.10.22/櫻井春彦 : 米やイスラエルが苦境に陥る中、多国協調を目指すBRICSの会議が露で開催される
国際政治BRICSの首脳会議が10月22日から24日までロシアのカザンで開催される。ロシアのウラジミル・プーチンのほか、中国の習近平、インドのナレンドラ・モディ、南アフリカのシリル・ラマポーザ、エジプトのアブドルファッターフ・アル・シーシー、アラブ首長国連邦のムハンマド・ビン・ザーイド・アル・ナヒヤーン、エチオピアのアビ・アハメド、そしてイランのマスード・ペゼシュキヤーンが参加する。ブラジルのルイス・シルバは直前に転倒、軽い脳出血を起こしたことからビデオでの参加になるという。
その前、10月15日と16日にはパキスタンのイスラマバードでSCOサミットが開催された。現在、SCOの正式加盟国は中国、ベラルーシ、インド、イラン、カザフスタン、キルギスタン、パキスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、ロシアの10カ国。
この会議にはオブザーバー加盟国としてモンゴルが、また対話国としてアルメニア、アゼルバイジャン、バーレーン、カンボジア、エジプト、クウェート、モルディブ、ミャンマー、ネパール、カタール、サウジアラビア、スリランカ、トルコ、アラブ首長国連邦が、さらにゲストとしてトルクメニスタンも参加。当初、オブザーバー国として参加すると言われていたアフガニスタンは招待されなかったが、繋がりは強化されている。
BRICSとSCOの加盟国が重複、両組織がひとつになることも考えられるが、アメリカによる支配の柱であるドルをBRICS諸国は放棄し、貿易の85%を現地通貨で支払っている。それに続いてCISも外国取引の85%を国内通貨で決済しはじめた。アメリカによる支配からの離脱が進んでいるとも言える。こうした動きの中心はロシアと中国だ。
ロシアのプーチン大統領はイスラエルとの関係を重視していた。ソ連がイスラエルと一線を画し、アラブ寄りだったことを戦略的な間違いだと考えていたようだが、その戦略変更をガザとレバノンの状況が揺るがしている。イスラエルとロシアとの間に亀裂が入り、イランとロシアとの関係が強まってきたのだ。イランへロシアの防空システムS-400が運び込まれたとする推測もある。
イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は10月11日、トルクメニスタンのアシガバートでプーチン露大統領と会談、中東情勢について協議したという。プーチン大統領はペゼシュキアン大統領に対し、モスクワとテヘランの国際情勢に関する立場は非常に近いと語ったとされ、両国の友好的な関係を示したと言える。その数時間前にロシアのセルゲイ・ラブロフ外相はイスラエルがイランの民間核施設を攻撃した場合、「深刻な挑発」になると警告している。
しかし、ペゼシュキアン政権とプーチン政権との関係は5月19日に搭乗していたアメリカ製のベル212ヘリコプターが墜落して死亡したエブラヒム・ライシが大統領だった当時より良くない。このヘリコプター墜落はアメリカにとって好ましいものだった。
その親欧米政権をも動かしたのがイスラエル軍による9月27日の南レバノン空爆。「バンカー・バスター爆弾(地中貫通爆弾)」約85発が投下され、ヒズボラ幹部を殺害している。その中には指導者だったハッサン・ナスララも含まれていた。
この攻撃でペゼシュキアン大統領も動かざるをえなくなり、イランはイスラエル南部と中部に180機以上の弾道ミサイルを発射、イスラエルが誇る防空システム「アイアン・ドーム」を突破してイスラエルの軍事基地や情報機関の本部周辺に着弾、相当数の戦闘機が破壊されたともされている。その光景はインターネット上で伝えられた。
https://www.youtube.com/watch?v=nu0zptW49eM
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