【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2024.10.28/櫻井春彦 :韓国はF-16パイロットをルーマニアへ派遣、ウクライナへも派兵済みだという

櫻井春彦

 ガザやレバノンで住民を虐殺しているイスラエル、そのイスラエルを支援している米英をはじめとする欧米諸国を批判する声が西側でも高まっている。廃墟と化した街と殺害された子どもの凄惨な状況はテレグラムなどで全世界へ伝えられたことも大きい。

 こうした虐殺を戦争の巻き添えだとすることは間違っている。イスラエルは1948年5月の「建国」以来、先住民のアラブ系住民を虐殺、パレスチナから追い出してきた。ナチスと同じように、民族浄化を始めたのである。

 今回の軍事衝突はイスラエルの警察官が2023年4月1日にアル・アクサ・モスクの入口でパレスチナ人男性を射殺したところから始まった。このモスクはイスラム世界で第3番目の聖地だとされ、イスラム世界に対する挑発だったと言える。

 4月5日にはそのモスクへイスラエルの警官隊が突入、ユダヤ教の祭りであるヨム・キプール(贖罪の日/昨年は9月24日から25日)の前夜にはイスラエル軍に守られた約400人のユダヤ人が同じモスクを襲撃、さらにユダヤ教の「仮庵の祭り」(昨年は9月29日から10月6日)に合わせ、10月3日にはイスラエル軍に保護されながら832人のイスラエル人が同じモスクへ侵入している。こうした挑発行為を西側の自称「民主主義国は黙認していた。

 そして10月7日にハマスがイスラエルに対する軍事作戦を実行、それを利用してイスラエル政府はガザに対する本格的な軍事攻撃を始めた。ハマスが攻撃してきた直後、​イスラエル政府は敵の人質になる可能性があるイスラエル人を殺して構わないという「ハンニバル指令」を出したと言われている。​

 その際、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は「われわれの聖書(キリスト教における旧約聖書)」を持ち出し、「アマレク人があなたたちにしたことを思い出しなさい」(申命記25章17節から19節)という部分を引用している。

 そこには神の命令として、「アマレク人」を家畜と一緒に殺した後、「イスラエルの民」は天の下からアマレクの記憶を消し去れと書かれている。​パレスチナ人を皆殺しにするだけでなく、歴史から彼らが存在したことを消し去るとネタニヤフは主張している​のだ。

 また、サムエル記上15章3節には「アマレクを討ち、アマレクに属するものは一切滅ぼし尽くせ。男も女も、子供も乳飲み子も牛も羊も、らくだもろばも打ち殺せ。容赦してはならない。」ということが書かれているが、これこそがガザやレバノンでイスラエルが行っていること。パレスチナからアラブ系住民を一掃するために建造物を破壊し、住民を虐殺し、生き残った人は追放する計画だ。イスラエル政府が行おうとしていることは民族浄化にほかならない。

 こうした大量殺戮の実態を西側の有力メディアは「ダメージ・コントロール」しながら伝えている。パレスチナ人は戦争の犠牲になっている可哀想な人だというストーリーだが、西側メディアが擁護するイスラエルによる意図的な大量殺戮にほかならない。

 それに対し、ウクライナではアメリカ政府が2004年から05年にかけて選挙へ介入(オレンジ革命)、13年11月から14年2月にかけてのネオ・ナチを利用したクーデターでウクライナを植民地化することに成功して西側の強大な私的権力にとって都合の良い体制を樹立させた。そして戦乱が始まったのである。これを西側の有力メディアは「ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻」だと宣伝してきた。

 クーデター後、新体制に反対する人は多く、東部や南部では特にそうした傾向が強かった。そうした反クーデター軍を倒すため、ロシア政府を巻き込んで時間を稼いでクーデター政権の軍事力を増強させる。そのために利用されたのがミンスク合意だ。

 この合意でアメリカ/NATOは8年という時間を稼ぎ、兵器を供与、兵士を訓練、そして反クーデター軍が制圧していたドンバスの周辺には地下要塞を結ぶ要塞線を築いている。

 そうした準備が整い、ドンバスに対する本格的な軍事侵攻が行われる兆候が見られ始めた2022年2月、ロシア軍が先手を打った。ミサイルでドンバス周辺に集結していたウクライナ軍や軍事基地、生物兵器の研究開発施設などを攻撃したのだ。

 その後、アメリカ/NATOはウクライナへの支援を強めていくが、戦況はロシアが優位なまま推移、すでに要塞線は突破され、ウクライナ軍の兵士は少なくなり、アメリカ/NATOの兵器庫も枯渇、今年初めにアメリカは日本や韓国にウクライナ支援を命じる事態になっている。

 今年8月6日にウクライナ軍は1万人から3万人ほどの兵力でロシアのクルスクへ軍事侵攻したが、予想通り失敗した。この作戦に投入した虎の子の兵器は破壊され、ウクライナ側は2万数千人がすでに死亡、残った部隊はロシア軍に包囲されているようだ。降伏しなければ殺される。

 この軍事侵攻にはウクライナに残された機械化部隊が投入され、ドンバスの部隊も移動させたが、それでも戦力が足りないため、アメリカ、イギリス、フランス、ポーランドの特殊部隊、そして各国から集められた傭兵が参加している。そうした部隊も壊滅的な状況だ。

 その直前にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はF-16戦闘機を飛ばし始めたと発表しているが、このタイプはすでに旧式。空飛ぶダンプカーと呼ばれているF-35よりはマシかもしれないが、ロシアの戦闘機と空中戦を戦う能力はない。ロシアが問題にしているのはF-16が核ミサイルを発射できることだ。

 ソ連製兵器を使ってきたウクライナ軍はアメリカ/NATOの中長距離ミサイルやF-16戦闘機に慣れていない。そこで兵器供与国はその兵器を動かせる要員をウクライナへ派遣する必要がある。ウクライナ兵を訓練しているとされていたが、簡単ではない。そこで、CIAはF-16を飛ばすために韓国のパイロットをルーマニアへ連れて行くとも言われていた。

 ​韓国の第19航空団のパイロット16人がルーマニアのミハイル・コガルニセアヌ近くにある空軍基地に到着、モルドバとの国境近くにある空軍基地にも駐留している​という。パイロットに限らず、すでに韓国はウクライナへ将兵を派遣しているようだ。

 ​朝鮮が兵士1万人をロシアへ派遣したとウクライナのメディア、キエフ・インディペンデントが伝えた​のは、そうした情報が伝えられる中でのことだ。

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【​Sakurai’s Substack​】

※なお、本稿は櫻井ジャーナルhttps://plaza.rakuten.co.jp/condor33/

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