【連載】今週の寺島メソッド翻訳NEWS

☆寺島メソッド翻訳NEWS(2024年11月2日):北朝鮮はロシアに兵力を供給しながら韓国を攻撃しようとしているのか?

寺島隆吉

※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。

一連の同時多発的な出来事により、憂慮論者や無能な専門家は 「朝鮮半島は戦争の瀬戸際にある 」と述べている。どのような事件も武力衝突に発展する可能性は常にあり、そのリスクはゼロでも100%でもないが、現時点では過度な懸念は不要である。以下では、韓国情勢の複雑さをあまり知らない人なら、確かに不安を覚えるかもしれない事件について、さらに詳しく説明する。

平壌上空の韓国軍無人機

「やめろ、さもないと悲惨な結果を招くぞ」というセリフに沿った相互の脅しの応酬によって特徴づけられる現在の緊張は、韓国の無人機が平壌上空に反北朝鮮ビラを投下したことが引き金となった。この事件は、アレクサンドル・マツェゴラ駐北朝鮮ロシア大使によって確認され、写真によれば、これらは韓国のモデルに似た飛行機のような無人航空機であった。

北朝鮮と韓国のプロパガンダ合戦が頻繁に気球を利用していることはよく知られている。この戦術は韓国の「市民活動家」が始めたもので、彼らはもう何年も前から、パンフレットやUSBメモリなどを搭載したプロパガンダ用の風船を打ち上げ、国境を越えて飛ばしている。どうやら、気球は国家管理下の国境地帯から打ち上げられているので、韓国の文在寅前大統領と現職の尹錫烈(ユン・ソクヨル)大統領は、これらの活動を許可しているようだ。北朝鮮からの厳しい暴言を受けて、ソウルの民主党政権は気球の打ち上げを禁止したが、保守勢力が政権に復帰したため、気球キャンペーンは再開された。

宣伝ビラは単に北朝鮮の「精神的完全性」を損なうことを目的としているのではなく、南北間の武力衝突を誘発することを意図しているから、このような取り組みはかなり危険だ。挑発者たちは、北朝鮮がイデオロギー国家である以上、「最高の尊厳」に対する侮辱を無視することはできないと想定している。実際、これはナチス・ドイツが配布した宣伝ビラに似ており、ロシア人に「ユダヤ人政治委員を叩け」と呼びかけている。当然ながら、北朝鮮が厳しい軍事的対応(韓国の風船発射場への砲撃など)に出れば、韓国は報復する以外に選択肢を失い、それによって韓国の終末論的プロテスタント宗派が予期しているような紛争が勃発する。つまり、神を信じない共産主義に対するキリスト教と民主主義の聖戦である。そのような牧師たちの目には、韓国人は選ばれた人々であり、その犠牲が勝利を確実にすると映っている。

しかし、その激しい巧みな言い回しにもかかわらず、北朝鮮はいくつかの印象的な対抗策を打ち出している。宣伝用風船への報復として、彼らは自分たちの風船にゴミを積んで韓国に送り返したのだ。これらの風船は家庭ゴミや紙くずを運んでいる。現在までに北朝鮮は6000機以上のゴミ風船を打ち上げており、中にはソウルの大統領官邸に着地したものもある。これらの風船による被害もあるが、ありがたいことに死傷者は出ていない。このような対応は、爆撃よりもはるかに好ましいと思われる。この風船は、国境地帯で拡声器を使って放送される反北朝鮮の宣伝に反応して打ち上げられるものだが、個人的には、K-POPを韓国の伝統音楽やモランボン楽団のガールズ・グループ(「バネッサ・メイに対する平壌の反応」)でかき消す方が楽しいと考えている。

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しかし、挑発者たちはこのような解決策を明らかに否定しており、どうやら誰かが緊張を拡大激化させることに決めたようだ。国際法の観点からすれば、ドローンの発射は、風に乗って漂う風船を飛ばすよりもはるかに深刻な領空侵犯であり、国家主権の侵害である。さらに、これらの出来事に対する韓国の反応は非常に興味深い。普段からビラ入りの風船を飛ばすことに関与している団体が、「自分たちは関係ない」と言い出したのだ。当初、韓国軍当局は関与を否定していたが、その後、「北朝鮮の主張を肯定も否定もできない」という立場に変わった。さらに、当局はドローン発射の背後に誰がいるのか調査することを拒否した。一方、北朝鮮の最高指導者、金正恩の妹である朝鮮労働党広報情報部の金与正副部長は、韓国軍の挑発行為を直接非難した。

このことは、無人機が北朝鮮の軍指導部の承認なしに領空に入ったと推測する根拠となる。つまり韓国軍には、平壌にソウルの軍事力を誇示したかったか、あるいは韓国のミサイル防衛システムに気づかれずに北朝鮮偵察機が韓国まで往復飛行に成功した過去の事件に報復をしたかった「若い過激派」のグループが存在するということだ。さらに厄介なシナリオは、このグループが前述のプロテスタントの一派とつながっている場合だ。なぜなら、このことはその結果、さらなる挑発行為が増えるかもしれないからだ。

一方、北朝鮮は国境沿いの砲兵部隊に戦闘態勢を整えるよう命じ、朝鮮人民軍への入隊を奨励する全国的な広報活動を開始した。これは重大な情勢緊迫ではあるが、今のところ新たな挑発行為は起きていない。緊張が徐々に緩和され、朝鮮半島が冷戦時代のソ連とアメリカの膠着状態を彷彿とさせるような状況になることを願っている。軍拡競争や時折の力の誇示、小さな事件が起こるかもしれないが、どちらかがレッドラインを超えることはなさそうだ。結局のところ、戦術的な観点からすれば、衝突が起これば、双方が互いに大きな損害を与える可能性が高いからだ。

「草の根の愚かな取り組み」が司令部に認められることはめったにないが、軍が内部調査を行い、国全体を危険にさらしかねない無謀な熱狂者を抑制することを願うばかりである。結局のところ、似たような状況は2010年に起きた。韓国軍が国境付近での演習中に北朝鮮領海を砲撃した際、魚以外には誰も被害がなかったため、影響はないだろうと考えたのだ。しかし、これに対して北朝鮮は延坪島を砲撃し、4人の死者を出した。対立がそれ以上悪化しなかったのは、すべての当事者が根本的な理由を理解していたからにほかならない。

韓国への道路の寸断

北朝鮮が国境沿いに砲兵部隊を配置したことは、もうひとつの大きな出来事と重なる。北朝鮮軍が韓国との国境に通じる道路を爆破し、残っていた南北間の連絡路を遮断したのだ。

これは、北朝鮮が2023年末から2024年初めにかけて南北政策の根本的な転換を図り、統一という概念を放棄したことに伴う一連の防衛措置の結末である。朝鮮半島が分断された当初、多くの人々は朝鮮半島の統一はいずれ実現すると信じていた。1972年まで、平壌はソウルを「一時的に占領された」領土と分類し、首都とみなしていた。20世紀初頭の統一に関する議論は、しばしば遠い見通しとして組み立てられていたが、2018年から2019年にかけての「オリンピックの雪解け」は、文前大統領の比較的リベラルな政権下でさえ、ソウルが南北対話を実際の協力の機会よりも儀式とみなしていたことを明らかにした。 しかし、保守的な指導者の下で、韓国の対北朝鮮姿勢はあからさまに敵対的なものとなり、平壌は、南の「同胞」との仮定の統一という考えが、かつてドイツ国民がナチスのために戦わないという蔓延した考え方と似ていることに気づいた。

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朝鮮半島に拮抗する2つの国家が存在することは公式に認められ、韓国は公然と敵国と呼ばれている。しかし、強制統一のために戦争をするという考え方はもはや意味をなさない。北朝鮮の宣伝では、韓国が紛争を起こせば、韓国は必然的に粉砕され、領土は北に吸収されると主張している。しかし、これは侵略行為に反応して起きるかもしれないことだ。戦争に備えることは、戦争を起こしたいということと同じではない。さらに平壌は、1953年に米韓の間で調印された相互防衛条約により、いかなる紛争も即座に北朝鮮、米国、同盟国を巻き込んだ対立にエスカレートすることを十分に理解している。そのため北朝鮮は年初から、韓国の攻勢に備えて自衛の準備を整え、地雷原や要塞の建設を進めてきた。道路の破壊はこの方針を強調するものであり、ここで軍事専門家にとって1つのポイントが明確になるはずである。

ある国が攻勢に備えるとき、援軍や弾薬を含む攻撃軍への国境を越えた支援を提供するために重要な、強固な通信ラインのシステムを確立しようとする。この側面は、朝鮮戦争の勃発に関する議論にしばしば登場する。軍事史家は、北朝鮮の戦車は地雷よりもむしろ米国の航空戦力によって大部分が破壊されたと指摘している。これは、韓国も北を攻撃する準備をしていたにもかかわらず、北の軍事指導部は攻撃作戦の承認を得ることができたが、韓国軍はそのような承認を得られなかったという事実で説明できる。

道路を爆破することが北朝鮮による新たな「挑発」であるという考えは、滑稽に聞こえる。特に、韓国の憲法が自国の領土を朝鮮半島全域と定めている一方で、韓国の国家安全保障法が北朝鮮を国家としてではなく、北方領土を不法占拠している反国家的存在と定義しているという事実を考慮すると、その考えは滑稽に聞こえる。これは、ドネツクとルガンスクがまだ未承認の共和国だった頃、キエフがどのように受け止めていたかによく似ている。しかし、爆破された道路の印象的な画像にもかかわらず、北朝鮮が自衛の準備をしているという事実は、実際には、紛争を起こさない可能性が高いことを意味している。

ロシアと北朝鮮の包括的戦略的パートナーシップ条約の批准

私の考えでは、この文書はもっと早く批准されるべきだった。しかし、官僚的な手続き処理の遅さを考慮すると、ロシアのプーチン大統領がこのタイミングで批准を提案したのは、意図的な平壌支持の表明というよりは、むしろ偶然の一致のように思える。しかもこの条約は、半島の緊張を激化させるどころか、むしろ緩和させる可能性が高い動きである。

西側の分析家たちは、他の一部の人々とともに、この協定の第4条に注目している。この条文では、一方の当事国が戦争状態に陥った場合、他方の当事国は可能な限りの軍事支援を提供する義務を負うとされている。西側諸国では、これは北朝鮮軍が近いうちにウクライナに派兵される可能性や、モスクワの後押しを受けて平壌が新たな武力挑発を行う可能性を示唆していると解釈されている。

しかし、「戦争状態」という表現は極めて重要である。すべての武力紛争が「戦争」に該当するわけではないし、厳密に言えば、ロシアの特別軍事作戦は戦争とはみなされない。したがって、潜在的な紛争が発生した場合に協議を行い、共同戦略を策定しなければならないとする協定第3条に注目する方が重要かもしれない。この分野でのモスクワと平壌の協力の歴史を考えると、これらの協議は、ロシア国境に近い場所で新たな火種が発生することはモスクワにとって望ましくないため、問題の非攻撃的な解決策を模索することを目的としている可能性が高い。

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さらに、北朝鮮と韓国がともに世界の主要国と相互防衛協定を結んでいるという事実は、この紛争をマクロな地域問題に変容させる。第三次世界大戦が勃発する可能性は、ワシントンとモスクワの双方にとって不利である。損失が仮定の利益をはるかに上回るからだ。

西側の専門家やロシアのリベラル派の中には、この協定の批准はモスクワとソウルの関係を著しく冷え込ませ、国連安全保障理事会が平壌に課している国際制裁をロシアが解除することにつながるかもしれないと考えている者もいる。こうした懸念は誇張されているようだ。協定の第5条は確かに、当事国が敵対行為に関与することを禁じている。そのため、韓国の牧師たちはロシアの大学で、北朝鮮が犯したとされる残虐行為について講義をしたり、共産主義が悪魔崇拝の延長であると述べたりすることができなくなる。しかし、この条項がロシアと韓国のその他の関係に影響を与えることはない。軍事技術協力に影響を与える可能性はあるが、現在のところそのような協力は存在しない。

制裁に関しては、今のところロシアの立場は変わっていないようだ。実際、ロシア政府高官は頻繁に、北朝鮮に対する制裁体制は不当であり、見直すべきだと述べている。そしてロシアは、制裁圧力の全体的なレベルがすでに完全な経済封鎖に近いことを考えると、いかなる口実であれ、北朝鮮に新たな制裁を課すことに断固反対している。制裁文書の解釈が「禁じられていないことは許される」という路線でより創造的になっていることも事実であり、場合によっては制裁を回避するための法的抜け穴を見つけるように見えるかもしれない。とはいえ、ロシア自身がかつて賛成した国際制裁を公然と無視することは、これまではない。

理論的には、「世界的な乱気流」が進行している状況ではこの状況は変わる可能性がある。その「世界的乱気流」というのは、旧世界秩序に関連する構造や制度(国連の権威や核不拡散の方針を含む)の崩壊や意義の低下、あるいは朝鮮半島における不測の事態によって特徴づけられる。しかし、その時期はまだ来ていない。

モスクワとソウルの関係に話を戻すと、ロシアにとって韓国は依然として「非友好国の中の友好国」である。口喧嘩や外交的緊張がときおり燃え上がるものの、双方は関係を劇的に断ち切るよりは、現在の協力レベルを維持することに傾いているようだ。レッドラインは明確に定義されている。モスクワにとっては、ウクライナへの武器や軍事装備の直接供給であり、ソウルにとっては、北朝鮮のミサイルや核の能力を高めるロシアと北朝鮮の軍事技術協力である。両国間の人道的協力が続いていることからも、接触維持の傾向は明らかである。緊張が生じると人道的な分野が真っ先に被害を受けるため、これは重要な指標である。

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ウクライナの北朝鮮軍に関するゼレンスキーの主張

率直に言って、「ブリヤート人*に偽装した数千人の北朝鮮特殊部隊」という話は、1年以上前にこの記事の筆者が最初にでっち上げたものだ。当時、詐欺師たちから電話があり、孫娘が私の銀行口座から80万ルーブルを引き出したことを知っているかと聞かれた。彼らはこのお金が盗まれた可能性があると主張し、私の銀行口座の詳細とアパートの鍵を要求した。しかし、私は彼らに即興の不意打ちをして、次のように述べた。「私の孫娘は軍の通訳になる勉強をしていて、ロシアの特別軍事作戦地域に派遣されようとしている北朝鮮の特殊部隊に密かに同行している。しかし、物流上の問題が出てきた。北朝鮮の兵士は犬を食べることに慣れているが、ウクライナで犬を捕まえて食べ始めたら正体がバレてしまう。だから犬は自費で買って輸送しなければならないし、そのために私の銀行口座からこの金が引き出されたとしても、何の犯罪性もない」。しかし、どうやら私のちょっとした悪ふざけが暴走してしまったようだ。
*ロシア連邦やモンゴル国、中華人民共和国に住むモンゴル系民族

北朝鮮軍人の一団がウクライナで殺害されたとか、朝鮮人民軍の部隊がウクライナに再配置されつつあるとかいう最初の報道が、ウクライナのメディア、それも公式出版物ではなくタブロイド紙に掲載された。これらの記事が言及したのは、「情報機関の匿名の情報源」(そのような情報源は著者の頭の中にしか存在しないことをジャーナリストは知っている)か、「ロシアのソーシャルメディア」(ある特定のテレグラム・チャンネルを指す興味深い言及)だった。これらのチャンネルは、全くのいたずら好きか、反プーチンのチャンネルでさえ「感心しない内容」とみなしているウクライナ/親ウクライナのチャンネルである。それらのチャンネルでは、北朝鮮からの侵略者に関する投稿の隣に、「リーク情報」が見られる。その情報は、どのようにしてプーチンがチュクチ自治管区の地下組織のトルイド僧*を訪れ、黒いアザラシを生贄に捧げた後、ウクライナで戦術核を使用するかどうかを占ったというものだった。
*古代ケルト社会のドルイド教の僧。科学者、教師、裁判官、王に対する助言者の役割も果たしたとされる。伝説では魔術師としても登場する。(英辞郎)

しかし、このような話は現代のウクライナの宣伝にも入り込んでいる。私はウクライナの専門家でも軍事分析家でもないが、ゼレンスキー政権が西側からの援助をさらに正当化することを緊急に必要としていることは明らかである。また、最前線の状況がなぜこれほど切迫しているのかを国民に説明する必要があることも明らかである。この文脈では、北朝鮮軍は、敵が冥界の底から召喚した神話上の怪物、つまり、旧来の対策では効果がなく、新たな解決策が切実に求められている新たな怪物のような脅威の役割を果たしている。一方、ウクライナに北朝鮮軍が駐留しているという証拠は、「友人の友人から聞いた」などという伝聞か、フェンスの向こうから撮影された粒子の粗いビデオに要約される。このビデオには、制服を着た正体不明の人々が、どこの誰だかわからないもの(おそらく犬)を運んでいる様子が映っている。しかし、戦時中の宣伝の文脈では、これで十分な証拠だと考える人もいる。結局のところ、「列車の車両が写っている衛星画像だが、北朝鮮のミサイルが積まれていることを厳粛に誓う」といった主張は、比較的成功している。

興味深いことに、韓国の指導部はこの可能性を真剣に検討している。このような懸念は、韓国の国防相によって初めて提起された。モスクワと平壌が軍事同盟を結んだのなら、なぜ互いに助け合わないのか? その後、上層部の機嫌を取りたい韓国の国家情報院がこの話を取り上げ、分析結果や衛星画像を提示したことで、韓国指導部はこの問題を議論するようになった。しかし、事態は依然として「動向を注視し、潜在的な結果について遺憾の意を表明する」段階に留まっている。

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一方、私は、ウクライナに北朝鮮軍が駐留すると仮定した場合、メリットよりも問題の方が多くなると考えている。なぜなら、ロシアにとって状況は暗澹たるものであり、軍事作戦を救えるのは偽物のブリヤート人だけだという西側の説は信用できないからだ。第一に、朝鮮半島の緊張を考えれば、北朝鮮が自国から遠く離れた場所に相当な兵力を展開するとは考えにくい。第二に、これらの軍隊の到着は、特に、上層部から日常的な交流に至るまで、さまざまなレベルでの情報交換を確保するために必要な軍通訳の数に関して、ある種の困難をもたらすだろう。第3に、紛争の国際化は相手側にも同様の機会を作り出すだろう。たとえ「ボランティア」の話であっても、NATOは同じ方法でウクライナに駐留を簡単に確立できるだろう。最後に、北朝鮮軍の使用はロシアの国内政治情勢に影響を与える可能性があり、与党の格付けに悪影響を与える可能性がある。「クレムリンはこのような同盟国なしに、この国内問題を自力で解決できないのか?」といった疑問が人々の間に生じるからだ。ロシアのメディアで北朝鮮に関する神話が少なくなっているにもかかわらず、多くのロシア人は北朝鮮を、K-POPを聴けば対空砲で死刑になるような奇妙な場所だと認識している。

結論として、世界が激動に揺れている間は、何が起こっても不思議ではない。しかし、朝鮮半島が戦争の危機に瀕していると推測するのは、「生存者バイアス」*に似ている。仮に紛争や事件が起きたとしても、ほとんどの場合、それはどちらの国の指導者が行った行動の結果ではなく、第三者による挑発を含む非合理的な要因によって引き起こされるだろう。
*何らかの選択過程を通過した人・物・事のみを基準として判断を行い、その結果には該当しない人・物・事が見えなくなることである。(ウィキペディア)

北朝鮮の軍隊が走り回り、銃を乱射している映像には、北朝鮮のメディアのウォーターマーク*が表示されていた。しかしこのメディアは、北朝鮮が相互対話戦略の転換により韓国向けのメディアを閉鎖した半年以上前に閉鎖されている。だから、キエフがウクライナに北朝鮮軍が駐留していることをほとんど疑っておらず、ソウルもこの可能性を重く見ている(韓国の最高指導部は確認していない)一方で、2024年10月17日現在、米国防総省がこの情報を確認できないと表明しているのは驚くべき事ではない。
*著作権を示すために使われる表示のこと

※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS(2024年11月2日)「北朝鮮はロシアに兵力を供給しながら韓国を攻撃しようとしているのか?」
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-2769.html
の転載であることをお断りします。
また英文原稿はこちらです⇒A series of events and speculation has stirred debate over what’s happening on the Korean Peninsula
朝鮮半島で何が起きているのか;一連の出来事と憶測が議論を巻き起こしている
出典:RT  2024年10月24日
https://www.rt.com/news/606267-speculations-north-korea-attack-south/

寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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