石破政権延命アシストの玉木代表の嘘八百(事実誤認) 決選投票白票の根拠瓦解

横田一

注目度急上昇の国民民主党・玉木雄一郎代表が11月5日の会見で、事実誤認による虚偽発言を繰り返した。維新やれいわが野田代表と書かないことを根拠に「首班指名決選投票で野田と書いても結果は変わらない(野田政権誕生はない)」と断言、玉木雄一郎と書くことを正当化したのだが、5日の本サイト記事「維新馬場代表が首班指名で野田代表と書く可能性」で指摘した通り、その前提は崩れ去っていたのだ。

玉木代表は10月29日の民放番組での発言を根拠にしていたが、翌30日に馬場代表が野田代表と党首会談した後、発言内容を変えていた。この状況の変化に玉木代表は目を向けず、党首会談前の馬場代表発言(野田代表とは書かない)が続いていると事実誤認、次のような虚偽発言を会見で繰り返すことになったのだ。

「(民放番組に共に出演した)馬場代表にも直接聞いたが、維新もれいわも野田とは書かない」「私たちの28票はどちら(石破首相と野田代表)に入れても結果に影響はおよぼさない」(5日の玉木代表会見)と強調しながら、こう続けたのだ。

「我々が『野田さん』と書いて結果を変えることができるのであれば、さまざまな判断もあったかもしれないが、今の状況で仮に立憲民主党代表の名前を書いたとしても、野田さんが総理に選ばれることはない。我々が(首班指名選挙の結果に)変化をおよぼすだけの(議席)数をもっていない」

しかし馬場代表は野田代表との党首会談の翌31日、政治改革の道筋をつける意思決定ができれば、野田代表と書く可能性はあると執行役員会後の囲みで答えていた(5日の本サイト記事で私との質疑応答を紹介)。

そこで5日の玉木代表会見で私は次のように問い質した。

――先ほど維新の(首班指名)決戦投票の対応を「野田さんとは書かない」と言ったが、10月31日に大阪での馬場代表の会見で同じ質問をしたら、「政治改革の道筋がついたら決選投票で野田さんと書く可能性はある」と(答えた)。玉木代表の「維新は決選投票で野田さんと書かない」と断言したが何が根拠なのか。

玉木 BSフジのプライムニュースに出演したときに横に並んだ時に直接聞いた。

――何日か。

玉木 今すぐに思い出せないが、調べていただくと分かると思う。

この質疑応答をした後、ネット検索をすると、すぐに10月29日放送のプライムニュースで確認できた。そこで、まず5日の本サイト記事で馬場代表の変化をこう紹介したのだ。

「10月29日放送のBSフジ『プライムニュース』で馬場代表は、首班指名決選投票について「どちらかに入れると軍配をそっちに上げるということだ。軍配を真ん中に据えておけば、いつでも物言いをつけたりできる」と発言、石破首相にも野田代表にも投票しない考えを示していたが、30日の党首会談後の囲みで、大義や具体的な政治改革案があることを条件にしながらも野田代表と書く可能性を全否定はしなかった。31日の朝日新聞が「『立憲・野田首相』へ投票要請に共産は前向き検討、維新『大義を』」という見出しで報じたのはこのためだ」

この馬場代表の発言の変化に玉木代表は目を向けずに事実誤認、決戦投票をめぐる状況が変わったにもかかわらず、5日の会見で「首班指名選挙の決戦投票で国民民主党が野田代表と書いても結果に影響をおよぼさない」という虚偽発言をしたのだ。

野田代表と馬場代表の党首会談が変化をもたらしたことになるが、このことについて立憲民主党の小川幹事長にも5日の会見で聞いてみた。

――野田代表の働き掛けを受けて、前日の民放のテレビ番組(プライムニュース)では「馬場と書く。決選投票では野田さんの名前を書かない」と言っていたのに、翌日、野田さんと会った後は「大義とか政治改革の道筋がつけば、野田さんと書く可能性がある」ということなのだが、維新との協議はどうなっているのか。馬場代表にも聞いたら「政治改革の道筋、野田さんを勉強会に呼んで政治改革の内容も詰めてある。ただ立憲民主党は意思決定が遅いから本当に間に合うのか」という指摘をしていたが、維新との協議はまとまる可能性はあるのか。

小川 まさにあの党首会談をきっかけに馬場代表の発信のトーンが変わっていくわけだ。それこそが今回、野田代表が「白昼堂々、各党の党首と(会談を)やりたい。話し合いをやりたい」ということを標榜され、党首会談が実現しているわけだが、まさにああいうかたちで他党の党首の発信のトーンが変わっていくことは、これは1つの党首会談の成果だというふうにも受け止めている。

その後も馬場代表のトーンが変わられた発言を前提に、実務的に様々水面下で調整を行っていることは事実だ。それ以上、申し上げられる状況ではない。

――それなのに、玉木代表の会見では、プライムニュース(民放番組)での馬場さんの発言だけを捉えて「維新は(首班指名決戦投票で)野田さんと書かない」というふうに、明らかに政権交代にマイナスの発言をしていると。「維新も加わらないから(国民民主党が仮に野田代表と書いても)結果は変わらないでしょう」という事実誤認に基づいて、嘘八百ともいえるような主張をしている。これはちょっと問題ではないかと思うが…。

小川 特定の党首を誹謗中傷することになりかねない発言については乗らないように、乗せられないようにしたいと思っているが、とにかく私が申し上げたいのは、国会議員にとって首班指名権限というのは、極めて重い国民からの預かりものだということ。そして、意図があるのかないのかは別にして、結果的に石破政権、自公政権の延命・存命をアシストしかねない情勢を是とするのか非とするのか。あらゆることを総合判断していただいて、この重い権限、責任を国民に成り代わって行使していただきたいと。その筋論にとどめたいと思う。

この状況変化を受けて玉木代表がどう対応するのか。事実誤認を認めて、改めて役員会を開いて国民民主党の投票行動について議論をするのか否かが注目される。

(了)

【ジャーナリスト/横田一】

(本記事は2024/11/6、NetIB-NEWSの転載原稿です。)

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横田一 横田一

1957年山口県生まれ。選挙取材に定評をもつ。著書に『亡国の首相安倍晋三』(七つ森書館)他。最新刊『岸田政権の正体』(緑風出版)。

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