【連載】植草一秀の「知られざる真実」

【連載】知られざる真実/2024年11月5日 (火)メディアがハリス推しであるわけ

植草一秀

米国大統領選挙が投票日を迎えた。

各種世論調査ではトランプ、ハリスの両候補者の支持率が拮抗している。

ただし、米国大統領選は州ごとに勝敗を決め、人口比で割り振られた選挙人を勝者が総取りし(一部の州で例外はある)、過半数の選挙人を獲得した候補者が勝利する方式で争われる。

米国には50の州があるが、伝統的に共和党が強い州と、民主党が強い州が存在する。

Real Clear Politics”サイト(以下RCPと表記)が各種調査を集計してリアルタイムで随時数値を公表しているが、RCP集計では、多数の州でいずれかの候補の勝利が有力視されている。

投票前の最終情勢では、獲得が有力視される選挙人数は、

トランプ 219
ハリス  211

となっている。

RCPはミネソタ(選挙人数10)、ニューハンプシャー(同4)、ネブラスカ(同1)を接戦として集計しているが、この3州ではハリスが支持率でリードしている。

これをハリスの獲得有力選挙人数に加えると

トランプ 219
ハリス  226

になる。

過半数は270で、残り93の選挙人をいずれの候補者が獲得するかで勝敗が決するとの見通しが持たれる。

 

残り93が「激戦7州」と呼ばれる7州の選挙人数合計で、、

ミシガン(15)
ウィスコンシン(10)
ペンシルベニア(19)
ノースカロライナ(16)
ジョージア(16)
アリゾナ(11)
ネバダ(6)

が大統領勝敗を決する焦点になると予想されている。

激戦7州における両候補者支持率において、

ノースカロライナ、ジョージア、アリゾナでトランプがリード。

ミシガン、ウィスコンシンでハリスが僅差のリード、

ネバダ、ペンシルベニアでトランプが僅差のリード

を示している。
110524

この支持率調査通りに勝敗が決する場合、両候補者の獲得選挙人数は

トランプ 287
ハリス  251

となり、トランプ勝利となる。

ただし、同じ前提を置き、ペンシルベニアだけ逆の結果が生じてハリスが勝利する場合には、

トランプ 268
ハリス  270

となってハリスが勝利することになる。

 

これらのシミュレーションを踏まえると、勝敗を決する最重要州はペンシルベニアということになる。

「ペンシルベニアを制する者が大統領選を制する」ことになる可能性が高い。

ただし、投票結果が判明しても接戦での決着の場合、選挙結果が確定するまでに時間を要する可能性が高い。

また、事前に郵便での投票が行われているが、投票を受け入れる投函ポストが放火されて投票用紙が焼失した事例などもあり、投票の集計結果を両陣営が素直に受け入れない可能性も考えられる。

大差での決着でない場合、2020年同様、投票日以降に大きな混乱が発生する恐れがある。

テレビ朝日報道ステーションなどは、トランプを批判し、ハリスを支持する偏向報道を展開しているが、米国においても、メディアの偏向が著しい。

主要メディアの多くがトランプを批判し、ハリスを支援するスタンスを示している。

この意味を十分に考察することが重要。

主要メディアの支配者は巨大資本。

グローバルに活動する巨大資本が主要メディアを支配している。

この勢力がハリス支持でトランプ不支持である。

理由は単純明快。

ハリスは巨大資本の命令に従順であり、トランプは従順でない。

この点を踏まえれば、米国政治を巨大資本の完全支配下に置かないためには、トランプが大統領に選出されるのが望ましいということになる。

 

 

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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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