【連載】社会学作家・秋嶋亮の「リアリティ・オブ・ジャパン」

秋嶋亮(社会学作家)連載ブログ/16:選挙を行う独裁という意味

秋嶋亮

今回も先の選挙と同じ「脱争点選挙」だった。

つまり改憲や薬害などの核心的な問題が争点から外され、各党が差し障りのない公約を掲げ議席を配分し合うという恒例の八百長選挙だったわけだ。

もっと言えば、野党は過半数議席を制することで改憲を阻止する気がなく、薬害を周知することで与党の責任を追及し解党に追い込む気も毛頭なかったのだ。

しかし有権者は「そもそも日本には正常選挙がない」という先験的理解を欠いているのだ(議論するまでもない当然のことを分かっていないのだ)。

政治・社会学の見地からすれば、この国は「競合的権威主義(形式的に選挙が行われるだけの独裁)」、「民主主義を装う権威主義(あたかも政党間競争のある民主主義国のように振る舞う体制)」、「選挙を伴う独裁政治(選挙民主主義に見せかけた政体)」、「覇権的選挙権威主義体制(談合で議席配分する体制)」などに分類されるだろう。

もちろん全ての選挙がそうだというわけではないが、国政選挙や主要都市の知事選挙などの重大選挙では「選挙干渉(不正プログラムなどによる投票の操作)」が行われており、先の都知事選挙などは(絶対にあり得ない得票数が示された通り)そのモデルケースだったわけだ。

民主主義とは統治者が競争的な選挙を通じて選ばれる体制を意味し、それ以外は専制主義(ファシズム)にカテゴライズされるが、このように日本は紛れもなく後者の属であり、(開票率ゼロ%の時点で続々と当確のテロップが流される通り)出口調査を選挙結果の代替物とする「手続き的民主主義(形式的な選挙により民主制を装う独裁)」の典型なのである。

そのため何度選挙を繰り返しても体制が全く変化しないどころか、ますます酷くなるという悪循環に陥るのだが、これがまさに我々日本人の「選挙のジレンマ」なのである。

このような断定的な主張には反発もあるだろうが、現実として、立民、社民、共産、れいわなどのマニフェストを見ても、(最大問題である)改憲や薬害には触れておらず、いずれもなおざりであり(与党の致命傷になることは問題化しないお約束であり)、それは全くクリシェ(使い古され目新しさが失われた常套句)の羅列なのである。

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秋嶋亮 秋嶋亮

☆秋嶋亮(あきしまりょう:響堂雪乃より改名) 全国紙系媒体の編集長を退任し社会学作家に転向。ブログ・マガジン「独りファシズム Ver.0.3」http://alisonn.blog106.fc2.com/ を主宰し、グローバリゼーションをテーマに精力的な情報発信を続けている。主著として『独りファシズム―つまり生命は資本に翻弄され続けるのか?―』(ヒカルランド)、『略奪者のロジック―支配を構造化する210の言葉たち―』(三五館)、『終末社会学用語辞典』(共著、白馬社)、『植民地化する日本、帝国化する世界』(共著、ヒカルランド)、『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―15歳から始める生き残るための社会学』(白馬社)、『放射能が降る都市で叛逆もせず眠り続けるのか』(共著、白馬社)、『北朝鮮のミサイルはなぜ日本に落ちないのか―国民は両建構造(ヤラセ)に騙されている―』(白馬社)『続・ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―16歳から始める思考者になるための社会学』(白馬社)、『略奪者のロジック 超集編―ディストピア化する日本を究明する201の言葉たち―』(白馬社)、『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへOUTBREAK―17歳から始める反抗者になるための社会学』(白馬社)、『無思考国家―だからニホンは滅び行く国になった―』(白馬社)、などがある。

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