☆寺島メソッド翻訳NEWS(2024年11月7日):ロシアで米傭兵が殺害されるなか、西側諸国は北朝鮮がロシアに援軍を送ったという疑わしい主張に狂気的に反応
国際※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。
NATOと西側諸国の指導者たちは、ロシア国境での「深刻な緊張激化」と世界平和への無謀な脅威という真実を認めるよりも、北朝鮮についての空想話をすることを好んでいる。
「これは戦争の重大な激化であり、世界平和への脅威だ」と欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は今週語った。
今週、ロシア領内で戦闘中に米国やカナダ、ポーランドの傭兵が死亡したことは、確かに憂慮すべき事態だ。偵察・破壊工作部隊に配属されていたこれらの傭兵は、ウクライナからロシアのブリャンスク州に侵入した際にロシア軍によって排除された。
しかしフォン・デア・ライエン委員長や他の西側諸国の指導者たちはそのことについては何も言わなかった。彼らはむしろ、ロシアに派遣された北朝鮮軍についての不確かな主張に過敏に反応していた。
信頼できるロシアの防犯カメラには、横たわる兵士の死体の横にセムテックス爆薬や対戦車擲弾発射機など「小さな都市を吹き飛ばすのに十分な」重火器の供給品が映っていた、と報じられている。犠牲者の一人は、代表的な空挺特殊部隊である米第75レンジャー連隊のタトゥーを入れていた。この米兵が元米陸軍兵士で民間傭兵会社に加わったのか、それともロシアと戦うためにウクライナで米軍から再配置されたのかは不明だ。
いずれにせよ、米国や他のNATO諸国の軍事戦闘員がロシア領土に存在することは、NATO諸国がロシアに対するウクライナの代理戦争に直接関与していることを示す明白な証拠である。
米国とEU当局は、ウクライナに「単に」武器を供給しているが、NATOは核兵器保有国ロシアとの紛争には参加していない、という根拠のない虚構を主張し続けている。
その虚構は常に常識を侮辱してきた。NATO諸国はウクライナで戦う外国人傭兵の募集に積極的に関与してきた。ロシアは、2022年2月に紛争が勃発して以来、1万5000~1万8000人の戦闘員がウクライナ軍に派遣された、と推定している。その多くが殺害されたり捕虜になったりしている。
米国や英国、カナダ、ドイツ、フランス、ポーランド、バルト諸国、ジョージア(旧称グルジア)出身の傭兵が確認されているほか、アル・タンフなどの基地で米占領軍によって訓練を受けたシリア出身の聖戦戦士も確認されている。100カ国以上の外国人戦闘員がウクライナにたどり着き、NATOが支援するキエフ政権を支援していると推定されている。
彼らの中には、間違いなく、日雇いの給料で金を稼ぐ「傭兵」がいる。他の者は、NATO軍人でまちがいないだろう。なぜなら、HIMARS砲などの技術的兵器の運用には、NATOの取り扱い専門知識が必要とされるからだ。
8月6日に始まったロシアのクルスク地域への必死の侵攻には、多くの外国人傭兵が含まれていたと考えられている。特定された米国の民間軍事請負業者の1つは、フォワード・オブザベーション・グループ社である。
西側報道機関は地上戦とNATOのつながりに関する報道をほとんど無視、あるいは曖昧にしてきた。情報戦における西側「ニュース」報道機関の喧伝機能を考えれば、驚くことではない。
いっぽう今週、マーク・ルッテNATO事務総長マーク・ルッテは、北朝鮮軍がクルスク地域で戦闘をおこなっているとの懸念を表明した。NATOが公式にその主張をしたのはこれが初めてだ。数週間前から、北朝鮮軍がロシア軍に加わるという憶測や噂が飛び交っていた。
米国と欧州の報道機関は、NATOの主張が事実であると示唆する見出しを掲げた。
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は「北朝鮮の兵士はロシアの侵略戦争を支援するために派遣されている。これは戦争の重大な激化であり、世界平和への脅威だ」と述べた。
健全な懐疑心は当然だ。NATOのルッテ事務総長は自身の主張を裏付ける証拠を一切示さなかった。同事務総長は単に韓国の軍事情報当局者との話し合いについて言及しただけだ。
ウクライナの事実上の独裁者ウラジミール・ゼレンスキー氏(数ヶ月前に大統領選挙を取りやめた)は、数ヶ月にわたって、数千人の北朝鮮軍がウクライナのロシア軍に加わっている、という主張をおこなってきた。ゼレンスキー氏が昨年、広島でのG7サミットで韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と会談したことは意義深いようだ。両者の初会談だった。会談直後、韓国はウクライナへの軍事・財政支援の拡大を約束した。ゼレンスキー大統領の妻も「報道機関の行事」に出席するため、疑わしい韓国訪問をおこなっている。
尹大統領に対する韓国国民の支持率は、生活費の高騰などさまざまな不満から最低水準に落ち込んでいる。尹大統領は北朝鮮との関係では強硬派だ。北朝鮮側は、意図的に緊張を煽っている、として韓国を非難している。
尹大統領の指揮下で、韓国は主要な武器輸出国となり、過去2年間で推定200億ドル相当の武器を販売した。韓国は、北朝鮮軍がロシアに配備されているという主張を背景に、ウクライナへの軍事供給を増やすと警告している。
北朝鮮による不測の事態については、かなり大げさに報道されているようだ。キエフ政権は、米国とNATOを代理戦争にさらに関与させる方法として、この主張を誇張して伝えている。ホワイトハウスは、北朝鮮の関与疑惑の主張に懸念を表明している。尹大統領にとって、ウクライナは、低迷する支持率を引き上げ、武器輸出の増加による経済的利益を得る好機である。
西側報道機関は、北朝鮮軍の派遣はウクライナでの軍事的損失に対するロシアのプーチン大統領の絶望の表れだ、と希望的に主張している。
その主張は意味をなさない。ロシア軍はウクライナのドンバス地域を完全に掌握すべく急速に前進しているからだ。NATOの支援を受けているウクライナ側は、2年以上の紛争中、最も速いスピードで領土を失っている。ロシアが北朝鮮の軍事的支援を必要としているという考えは、馬鹿げているとまでは言わないまでも、あり得ない。
ロシア側は今年初めに北朝鮮当局と相互防衛協定を締結した。北朝鮮の兵士が訓練などのためにロシアに派遣されたとしても、それは完全に合意した当事者間の法的かつ主権的な内容である。
「必死」になっているのはロシアのほうではない。米国やその他のNATO加盟諸国の傭兵がウクライナに派遣されたことは、キエフ政権が攻撃の材料を使い果たし、国境を越えた挑発行為に手を染めているという絶望の真の兆候だ。
もちろん、NATOと西側諸国の指導者たちは、ロシア国境での「深刻な緊張激化」と世界平和への無謀な脅威の真実を認めるよりも、北朝鮮についての空想話をするほうを好むだろう。
※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS(2024年11月7日)「ロシアで米傭兵が殺害されるなか、西側諸国は北朝鮮がロシアに援軍を送ったという疑わしい主張に狂気的に反応」
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また英文原稿はこちらです⇒U.S. mercenaries killed in Russia, West goes hysterical on dubious North Korea claim
筆者:フィニアン・カニンガム(Finian Cunningham)
出典:Strategic Culture Foundation 2024年10月29日
https://strategic-culture.su/news/2024/10/29/us-mercenaries-killed-in-russia-west-goes-hysterical-dubious-north-korea-claim/
国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授