【連載】週刊 鳥越俊太郎のイチオシ速報!!

二つの国家群とキューバ危機の物語

鳥越俊太郎

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2024年11月11日10時00分 配信

今日のテーマを展開するについて前回の文章の一部を読んでもらいたいので、ここに前回の一部を転載しておく。これを読んでから今日の話に入るもよし、もういいや!という人は飛ばして本文だけでもどうぞ!

 


生と死。

これは私たち人間に逃れようもなくついて回る宿命。運命。

この宿命も男女という二つの価値観から生まれたものですね。現代ではそのどちらでもなく、性の価値観を否定する考え方もあります。だからこの世の二つの価値観を絶対視する訳ではありませんが、基本的にこの世は二つの価値観で構成されていることが分かります。例えば…

第一番目は「生と死」です。とりあえず思いつくままに、右と左、上と下、長短、内外、黒と白、東西、南北、男女、善悪、正邪、正否、裏表、まだありそうですが、絶対にこの「二つの世界」しかないものですね。

政治の世界は基本的には右か左である。もっと言えば左翼か右翼。こう言えばもっとはっきりするはずだ。これが二つの世界観だった。これがそうも言えなくなってきた。従来の右翼・左翼の二つの世界観では21世紀の世界では説明できなくなってきた。従来は資本主義的経済?民主主義に対して社会主義的経済?共産党が指導する社会。この二つの世界観、別の言い方だと資本主義対社会主義。この対立をソ連の指導者、ミハイル・ゴルバチョフが一気にひっくり返した。その後は資本主義対社会主義は地中海のマルタ島の米ソ首脳会談をもって世界から消え失せたかのようにみえた。これで世界から私たちが常に恐れ続けた核戦争は消え失せた。

(注:1989年12月2日?3日 アメリカ合衆国大統領ジョージ(パパ)・ブッシュとソビエト社会主義連邦最高会議議長ミハイル・ゴルバチョフの両首脳によるマルタ会談が行われた。)

 

私は89年12月のマルタ島の首脳会談を現地で取材し、その模様をテレビの生中継で放送した、その思い出が深い。

ブッシュ大統領とゴルバチョフ書記長が嵐の中、船の中で会談をして東西対立の終わりを告げた。私は1962年10月京都大学2回生の時、キューバ危機を経験している。あの時は本当に一瞬だが、米ソ、つまりアメリカとソ連が核兵器で戦争状態に入るのか?と思った。考え方が右と左全く違う国が核兵器を持って戦争をすれば、最終的には日本も巻き込まれその先には何が待っているのか、本当に一瞬だが恐怖を覚えた。

そうか、この東西対立の終焉はあのキューバ危機のような恐怖感をもはや消し去ってしまうのか??

私はキューバとマルタ。一つはカリブ海に浮かぶ小さな島。もう一つは地中海の、こちらも小さな島。二つの小島が地球の、世界の歴史に大変大きな意味を持っていることを知っている。

 


さて、ここからが11月9日に執筆し11日に皆さまに配信した部分である。さあーいきましょうか!!

あのキューバ危機のことをもう一 度思い返してみよう。

1962年10月15日、米空軍の偵察機がアメリカ本土のすぐ南にあるキューバ上空を飛んでいて、キューバの森林の影にあるものを発見。その時の映像をすぐに上官に報告、空軍幹部はこれはソ連のミサイル基地であると判断。すぐにでも上空攻撃して潰してしまおうとします。この辺の話は当時のニュースで流された話とずっと後になって映画「13日(デイズ)」(2000年12月公開)で私が見た話が混ざっています。あの時のことを知らない方は、世代的にどうしても知らない方は多いと思います。あの世界的な危機状態に入ったときのことを知りたい方は映画「13日」を手に入れてみてください。結論だけを述べると、空軍からケネディ大統領にこの偵察機の情報が上がり、大統領と弟のロバート司法長官らがソ連との交戦を避け危機を脱出するまでの13日。

 

私たちはそんな核戦争の危機が始まろうとしていたなんて思ってもみませんでしたねぇ…うん…

ケネディ大統領が捻り出した手が海上封鎖戦術でした。ミサイルの材料などをソ連からキューバに運ぶ輸送船を米海軍の戦艦が監視して、見つけたら追い返す戦術で完全に海上を封鎖しました。空爆をしてミサイル基地を攻撃した場合はそれが空の戦い、最後は米ソが持っている核兵器の戦いにまで発展する可能性はありました。

しかし、この時の米ソのトップの判断で危機は回避されました。ケネディ大統領とフルシチョフソ連書記長がなんと、一本の電話線で会談をしてアメリカは基地攻撃をしない、ソ連はキューバでのミサイル基地建設を止めるというトップ会談の成果が示されます。私は当時このニュースを読んで電話というのは強い武器だなと思いました。

その思いは私の中にも強く残っていて、サンデー毎日記者だった頃記者席の前にずらりと並んだ電話がチャリンとなれば私が一番早く手にとるように努めていました。そのお陰で大きなスクープにもあったことがあります。

電話は情報の武器です。ケネディーフルシチョフといった世界の大物の時代も電話が情報をやりとりする最終手段だったのです。嗚呼もう一度あの映画見たいなあ。私、持ってたかな?これから探すよ。

 

さて、話を本来の「二つの世界観、価値観」に戻して考えてみよう。

身近なところで言うと電気はプラスとマイナスである。でも電気っていつ頃誰が発見したんだろう、と思ってスマホを叩くと「電気はいつ誕生したのでしょうか?」と言う問いにこう言う答えがあった。

「流れ続ける電気(電流)は、1800年イタリアのボルタによって初めて取り出されました。ボルタは、二つの金属の間に塩水で濡らした紙や布をはさんだものをたくさん重ねて電流を発生させる【ボルタの電堆(でんたい)】と言うものを発表しました」

これが電気のVボルトの始まりなんでしょね。テーことはこの辺は小学校の理科の時間で聞いたような気もする。

ああ、そうか、という話もあるよ、【「エレクトリシティ」電気のことを最初に考えたのは、2500年ほど前のギリシャ哲学者タレス(紀元前624年−546年)だと言われています。

タレスは「琥珀(木のヤニが固まって宝石のようになったもの)を擦ると羽毛やゴミなど軽いものを吸い付けることに気づいていました。これは、私たちが知っている静電気のはたらきですね。琥珀をギリシャ語で「エレクトロン」というので、これがのちに電気を意味する「エレクトリシティ」になりました。

 

ここで前回にあげた二つのもので出来ている例をいくつか挙げてみましょう。

 

「生と死」「プラスとマイナス」「右と左」「上と下」「長と短」「内と外」「黒と白」「東と西」

「南と北」「男と女」「善と悪」「裏と表」「正と邪」「明と暗」

 

大抵のものは二つの世界で成り立っている。

では人間の世界はどうなんだろうか?

二つで基本が出来ているのか?

さあ、これから先は頭を使って、考え、思考しなければならない。

ついこの間までは簡単だった。

 

価値観が異なる二つの国、こう答えれば良かったのである。

社会主義の国

資本主義の国

これを方や一党独裁の非民主主義というが、一方は嫌々これこそ働くものが主人公の社会主義だ、と。

 

ここからは人間の近代の歴史、「近代史」をきちんと学ぶ必要があります。

まず王様が国家を支配した封建社会が崩壊し近代市民社会が形成される。経済的には資本主義と呼ばれる。

国によってはロシア帝国のように社会主義を標榜する国が世界史の彼方に現れる。これは西欧的な市民社会を経ずにいきなり社会主義国家になった。このため資本と労働が富を形成し、矛盾を抱えつつも民主主義社会となった西欧型の民主主義とは異なる共産党一党独裁の社会だった。第二次世界大戦後西欧の東側の国々、所謂、東欧社会主義の国が形成される。アジア、アフリカなどでも同じ現象が現れて、第二次世界大戦後世界はアメリカとイギリスなどの資本主義・民主主義国家対ソ連・中国を中心とする共産党一党独裁国家の地球規模での国家群の対立になった。この真っ只中で「キューバ危機」は巻き起こり、二つの国家群が銃と矛を互いに向け合う恐怖感を私は覚えた。

しかし、ソ連の書記長というトップにいたゴルバチョフの「ペレストロイカ」爆弾が投げ込まれ、世界の歴史は一転した。私はソ連社会が崩壊する直前にモスクワのデパートで如何にロシアの市民社会が貧しいかを目撃した。またバイカル湖の近くにあったミサイル基地で中距離ミサイルのサイロとミサイル発射司令塔を取材した。司令塔の内部の壁に貼ってあった世界地図で「ここのミサイルは地図上でどこを標的にしているのか?_」と日本語で質問した。そこにいたロシア軍戦士は私の通訳にゆっくりと地図上の一点を指差した。「ええっ どこどこ?」

それは地図の上で紛れもなく「沖縄だった」。もしあの時、キューバ危機が弾けて世界大戦になっていたら、ソ連の、このミサイルは間違いなく沖縄に着弾していたのか!!??

北朝鮮を除けば世界のほとんどの国は資本と労働で富を生み出す社会となった。ただ社会的には中国のように共産党一党独裁国家や軍人国家、アラブのような王様石油国家など様々な国家が存在している。

ウクライナ戦争やパレスチナ戦争は目の前にある。しかし、これは国盗り物語で世界に発展する理由はない。

日本人にとってウクライナは何の意味もないのだ。

中国の台湾復活戦争に米軍が参戦することはないと思う。

トランプ政権は「make America great again 」が基本だ。何の利益もない台湾問題に手を出す意味もないだろう。

2024/11/11

鳥越 俊太郎 記述

 

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鳥越俊太郎 鳥越俊太郎

1940年3月13日生まれ。福岡県出身。京都大学卒業後、毎日新聞社に入社。大阪本社社会部、東京本社社会部、テヘラン特派員、『サンデー毎日』編集長を経て、同社を退職。1989年より活動の場をテレビに移し、「ザ・スクープ」キャスターやコメンテーターとして活躍。山あり谷ありの取材生活を経て辿りついた肩書は“ニュースの職人”。2005年、大腸がん4期発覚。その後も肺や肝臓への転移が見つかり、4度の手術を受ける。以来、がん患者やその家族を対象とした講演活動を積極的に行っている。2010年よりスポーツジムにも通うなど、新境地を開拓中。

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