☆寺島メソッド翻訳NEWS(2024年11月17日):オランダ保健大臣、パンデミック政策は「軍事作戦」と認める。
国際※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。
「人民の法」は、パレスチナにおける西欧の植民地としての建国から中東全域における帝国支配の確保に至るまで、イスラエル国家が歴史的に依拠してきた誤謬である。
イスラエルとして知られるパレスチナ自治区*の現状について、数え切れないほどのコメントや意見が飛び交っているが、唯一の問題はベンヤミン・ネタニヤフ首相だという確信的な説がある。つまり、ネタニヤフ首相が辞任するかクビになれば、危機は解決し、パレスチナ人の民族浄化が計画的に継続され、すべてが主の平和に戻るというのだ。
*パレスチナ自治区は実質的にはイスラエルが支配している。
(これはイスラエル国家が振りまく)純粋な欺瞞であり、神を騙った偽りの錯覚なのだ。いわゆる「ユダヤ人国家」では全てが現状のままであることは決してないだろう。
この推論は客観的であり、いつかは訪れることになる避けられない現実から生じるものだ。それは、イスラエル国家がその基盤を置いている人種差別的で至上主義的な教義であるシオニズムの内部において起こる世俗主義と宗教原理主義の間の恐ろしいイデオロギー的、宗教的実存的な戦いである。つまり、それはテルアビブで最近行なわれた巨大なデモの参加者の、意味深だが単純な言葉を借りれば、「人民の掟」と「神の掟」の間の戦いなのだ。
「人民の掟」は、パレスチナにおける西洋の植民地としての建国から中東全域における帝国の支配を確保するまで、イスラエル国家が歴史的に依拠してきた誤謬である。シオニズム自体が、その教義の公式の創始者であるオーストリアとアシュケナージ系ユダヤ人のテオドール・ヘルツルが、それを世俗的なシステムであり、ヨーロッパの政治的着想(今日ではリベラルと呼ばれている)であると宣言した19世紀の終わりと20世紀の初めに、その誕生後の初期段階でプロパガンダとして生き残った誤謬である;さらにはパレスチナは「土地のない民のための人のいない土地」に過ぎなかったので、彼らの動員課題は「約束の地への帰還」である、ということもその誤謬に含まれる。
これは最初から、シオニズムの致命的な矛盾である。その矛盾は、1925年まで神話的に独自のものとして広まっていた世俗的なプロパガンダと、拡張主義の教義の正真正銘の本質―それは聖書の「約束の地」という概念と、それに伴う「無人の地」の占領によって露呈された宗教的かつ原理主義的な性格を持ったものだったが―の間にある矛盾だ。「無人の地」とは定量的なより客観的言葉で言えば、野蛮人や未開の人々によって乱暴に占領された領土のことだ。実のところは、シオニズムというものは、宗教的必然性によって直接的に汚染されて生まれたのだ。ただ、それは戦術的にはひた隠しにされたが。
イスラエル建国以来の歴代の政府首脳は皆、政治的には世俗的で、私生活では宗教的であると主張し、この一貫性のない二重性を体現してきた。この曖昧さは、政教分離のような西側民主主義の規範を尊重するといううわべを保証するために不可欠であり、「中東で唯一の民主主義」というすでに使い古された宣言に信頼性を与えようとする試みに不可欠である。言い換えれば、ネタニヤフ首相が今日保証しているように、パレスチナ人に対して血なまぐさい最終解決策を実行しながら、この地域の「西欧文明の防衛」を確保するためには不可欠なのだ。
イスラエルの政治指導者たちは、圧倒的にアシュケナージ系と入植者が多いのだが、ヨーロッパ出身の彼らが、自分たちは宗教的であると注意深く宣言している事実を簡単に振り返ってみる価値はある。これらのヨーロッパ人のセム主義は、おそらく細々残存するか消滅しているのでそう宣言することでしか、自分たちはまちがいなくユダヤ教徒であること保証す前提はないのだ。そうでもしないと、もしイスラエルの政治指導者たちが個人的な宗教的要素を蔑ろにすれば、公式のものとして押しつけられ、イスラエルが世界の他の国々を反ユダヤ主義者だと非難するために役立っている反ユダヤ主義風刺画の、また別のバージョンを目にすることになるだろう。したがって、イスラエル建国の父たち自身は、セム人でも宗教的でもなく、新国家イスラエルのユダヤ人としての性格を偽装して、中東における西欧列強の植民地としての排他的かつ人為的な役割をはっきりと非難したものだった。
「世俗シオニズム」の終焉の始まり
シオニズムの建国の誤謬は、建国以来何十年も生き延びてきた。その一方で、アラブ領土の継続的な植民地化が進行しており、この違法なプロセスは、国連、米国、欧州統合に関与する国々の寛容と加担によってのみ可能となった:まず、1948年に国連によって承認された共有協定によってアラブ人に割り当てられた領土で、1967年からは、いわゆる6日間戦争によって占領されたガザ、ヨルダン川西岸、東エルサレムのパレスチナ地域で、シオニスト政権によって元の住民から奪われた広大な地域に入植地の設置を許可した。現在、これらの地域には、世界中から集まった70万人近い狂信的な原理主義ユダヤ人が住んでおり、その圧倒的多数はパレスチナに民族的ルーツを持たない。
この残忍かつ大規模な人種的暴力は、常に民族浄化の性格を帯び、文書に書かれたとおり、世俗的シオニズムの誤謬に致命的な傷を負わせた。すべてのパレスチナ人の追放を視野に入れている、本物のファシストで、激しい人種差別主義者でもある。隔離主義のシオニズムは、ここ数十年の間に権力を握り、旧約聖書の恐ろしい神話を文字どおりに適用することで、地上での自警団の役割を保証するために、神の委任を受けたと考える独学の「預言者」とテロリストを通して尊重され、成就された「神の意志によって」、永遠にそこに留まるつもりだ。
ネタニヤフ首相は、国家の性格を変容させるこのプロセスにおけるもう一人の指導者にすぎない。過去30年にわたってほぼ独占的に演じてきた政府首班の役割は、原理主義的環境における彼の実質的な重みに比して過大評価されてはいるものの、彼に自然な存在感を与えている。彼は、父ベンツィオン・ネタニヤフから使命を受け継ぎ、個人秘書であり、ヴォロディミール・ヤボチンスキー(ムッソリーニの協力者であり、1925年にムッソリーニによって創設された世俗的シオニズムと、彼によって創設された「修正主義シオニズム」の間に大きな分裂を引き起こしたウクライナ人)の主要な思想的弟子の一人であった。この「ヘブライ語」を隠れ蓑にした過激な植民地主義の変種は、現政権に蔓延する政治的・宗教的狂信主義を鼓舞し、神権政治、すなわち「神の法」の優位の確立を目指している。もちろん、中東における西洋文明の擁護という使命は維持している。この狂信的な傾向が、世界ユダヤ人会議内に多数の代表団を擁し、米国の政権や欧州連合の政策を決定する非民主的な組織から実質的な制限なしに支持されていることは、決して小さな問題ではない。
大惨事を予見する声
いわゆる第二次パレスチナ・インティファーダに対する野蛮な弾圧を行なった今世紀初頭の政府の首相であり、影響力のある政治組織としての労働党の最後の党首であった、最も経験豊かなイスラエルの政治家の一人であるエフード・バラク(Ehud Barak)は、現在進行中の出来事について適切な意見を持っている。「このクーデターを阻止しなければ、イスラエルは数週間以内に独裁国家に変貌するだろう。現在「中道派」の指導者エフード・バラクが提案する道は、「週7日、1日24時間、大規模な市民的不服従によって国を閉鎖する」ことである。
元軍事参謀総長で元国防大臣のモシェ・ヤロン将軍の意見は、もっと鋭く、先進的で、しかも驚くべきものである:
「怒りに満ちた終末論的カルト集団が、入植者共同体の大量虐殺的・植民地的建設の総本山であるテルアビブで法の整備を行なっている。この流れは、完全武装した何十万人もの入植者からなる巨大な自警団、あるいは相互に連結した民兵によって完成され、制御不能であり、軍や国家を攻撃することさえも辞さない」。
ハアレツ紙が引用した「元モサド(イスラエル諜報特務庁)長官」は、「人種差別的で暴力的な国家は生き残れないだろう;もう手遅れかもしれない」と、いわゆる「ユダヤ人国家」の将来に疑問を投げかけている。
ネタニヤフ版『わが闘争』
グローバリストのメディアネットワークは、現在のイスラエル政府は、ネタニヤフ首相と財務大臣のベザレル・スモトリッチ(Bezalel Smotrich)と治安大臣のイタマール・ベン・グヴィール (Itamar Ben-Gvir)だけで構成されていると言っている。実際にはナチスのテロリストに過ぎないのに、この2人は温情的に「極右」と見なされている。
スモトリッチは、国民宗教党の入植者党首であり「劣等人種で構成された」パレスチナ人の存在を否定する。彼の経歴には、シオニスト当局に対するテロ攻撃を含む、いくつかの告発がある。
イタマール・ベン・グヴィールはイラク系クルド人のユダヤ人の息子で、ムッソリーニの陣営で生まれ、歴史的にはメナヘム・ベギン元首相が率いたイスラエル軍の創設支部であるテロリスト集団イルグンの一員だった。彼は、同じく「極右」であり、ファシストの象徴であるメイル・カハネの禁止されたカチ運動の後継者であるオツマル・イェフディウト組織を率いている。彼はニューヨーク生まれのアメリカ人テロリストで、いくつかのテロを起こし、その罪で1年の実刑判決を受け、ホテルで服役した。その後、パレスチナからのパレスチナ人追放のためにイスラエルに移住し、テロ攻撃で少なくとも60回逮捕され、クネセト(国会)議員に選出された。
※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS(2024年11月17日)「聖書の残虐性がイスラエルで権力を握った:ネタニヤフ版『わが闘争』」
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また英文原稿はこちらです⇒Biblical cruelty took power in Israel: “Mein Kampf in reverse”
筆者:ジョゼ・ゴラン (José Goulão)
出典:Strategic Culture 2024年10月21日
https://strategic-culture.su/news/2024/10/21/biblical-cruelty-took-power-in-israel-mein-kampf-in-reverse/
国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授