☆寺島メソッド翻訳NEWS(2024年11月17日):アメリカのニュースを書くのはイスラエルのスパイたちであることが明らかに
国際※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。
「10月7日のテロから1年、ネタニヤフ首相は連勝中だ」。Axios誌の最近の記事のタイトルだ。これらの見事な軍事的「成功」には、イエメン空爆、ハマスの指導者イスマイル・ハニェとヒズボラの指導者ハッサン・ナスララの暗殺、レバノンに対するポケベル攻撃などが含まれると、筆者のバラク・ラヴィッドは指摘する。
同筆者は最近、ヒズボラに対するイスラエルの攻撃は「戦争につながることを意図したものではなく、『攻撃拡大による緊張緩和』を達成しようとする試みである」と主張した記事が話題となった。ソーシャルメディア上のユーザーは、この奇妙でオーウェル的な推論についてラヴィッドを嘲笑した。しかし、ほとんどの人が見逃しているのは、バラク・ラヴィッドがイスラエルのスパイであるということだ。少なくとも最近まではそうだった。ラヴィッドはイスラエルの諜報機関8200部隊の元分析官で、昨年まではまだイスラエル国防軍グループの予備役だった。
8200部隊はイスラエル最大の、そしておそらく最も物議を醸すスパイ組織である。何千人ものレバノン市民を負傷させた最近のポケベル攻撃を含め、多くの有名なスパイ活動やテロ活動を担ってきた。この調査で明らかになるように、米国の一流メディアで働き、自国の行動に対する欧米の支持を捏造しようと懸命に働いているイスラエルの元スパイは、ラヴィッドだけではない。
ホワイトハウス・インサイダー
ラヴィッドはすぐに、連邦議会の記者団の中で最も影響力のある人物の一人となった。4月には、アメリカのジャーナリズム界で最高の賞の1つである「ホワイトハウス報道の全般的な卓越性に対して」名誉あるホワイトハウス報道記者賞を受賞した。審査員たちは彼の「米国内外の深い、内部事情にしっかり食い込んだ詳細な情報源」に感銘を受け、模範的なジャーナリズムとして6つの記事を選んだ。
これらの記事のほとんどは、単にホワイトハウスやイスラエル政府の匿名の情報源を刷り込み、彼らを良く見せ、バイデン大統領をイスラエルによるパレスチナ攻撃の恐怖から遠ざけるというものであった。そのため、ホワイトハウスの報道機関用発表との間に機能的な違いはなかった。例えば、審査員たちが選んだ記事のタイトルは『スクープ』だった: 「バイデンはビビ(ネタニヤフ)に、3日間の戦闘休止は人質の解放に役立つと伝えた」と題され、第46代アメリカ大統領(バイデン)を、苦しみを減らすことに執念を燃やす熱心な人道主義者として紹介している。もうひとつは、バイデンがネタニヤフ首相とイスラエル政府に対してどれほど「苛立ち」を募らせているかを描写したものだった。
抗議者たちは、ガザで倒れた記者たち(この記事を書いている時点で、少なくとも128人のジャーナリストがいる)と連帯するために、この表彰式をボイコットするよう記者たちに呼びかけていた。ところが表彰式はボイコットされるどころか、主催者側はイスラエル情報当局の高官からワシントン権力者の最も忠実な速記者に転身した記者(ラヴィッド)に最高の賞を与えた。
ラヴィッドはバイデン大統領から個人的に賞を授与され、バイデンは彼を兄弟のように抱擁した。イスラエルのスパイとして知られている人物が、バイデンをこのように抱きしめることができたということは、米国とイスラエルの親密な関係だけでなく、既存メディアが権力にどれほどその記事内容を頼っているかを物語っている。
ラヴィドは、アメリカ政府かイスラエル政府から与えられたおべんちゃら情報を無批判に掲載し、それをスクープとして流すことで名を馳せてきた。4月には、「バイデン大統領は木曜日の電話で、イスラエルのネタニヤフ首相に最後通牒を突きつけた:イスラエルがガザでの方針を変えないなら、『我々はあなたを支援できない』」、そして「ガザでの戦闘の終結を6ヶ月の戦争で最も強く求め、この戦争に対するアメリカの方針は、イスラエルが彼の要求(即時停戦を含む)を守るかどうかにかかっていると初めて警告した」と書いている。7月には、ネタニヤフ首相とイスラエルが「外交的解決」を目指しているという匿名の情報筋の話を繰り返した。
同じパターンのラヴィド記事は以下:
●スクープ:バイデンがビビに、ガザで1年間戦争する気はないと告げる
●スクープ:ホワイトハウス、会見をキャンセル、映像でネタニヤフに抗議の叱責
●バイデン、ガザの戦争が100日に入りビビへの“堪忍袋の緒が切れる”
●バイデンとビビの衝突がエスカレート、米国はイスラエル政府を弱体化させたと非難される
●バイデンとビビ、ラファへの「レッドライン」で衝突コースへ
●バイデンがホットマイクで発言:ビビにガザでの「イエスのところに来る」会議が必要だと伝えた
●スクープ:中東情勢悪化でホワイトハウスはイスラエル政府への信頼を失う
●イスラエル大臣、ガザと戦争戦略についてホワイトハウスで非難される
●スクープ:バイデン大統領、ビビ氏に「米国はイスラエルのイランへの反撃を支持しない」と発言
バイデン政権に対するこのいつ止むともしれない粉飾は、ネット上で広く嘲笑の的となっている。
「AXIOS独占記事:ネタニヤフ首相に数百万ドル相当の武器を売りつけた後、バイデンはテイラー・スウィフトの『Bad Blood』を大音量で流した。バイデンに近い関係者は、『誰もがそれを聞くことができた』と言っている」とXユーザーのデビッド・グロスマンはツイートした。バイデンがイスラエル政府に対して「不信感を募らせている」ことを示唆するラヴィッドの最新記事に対して、コメディアンのフセイン・ケスヴァーニは、「多額の現金と武器を渡し続けているが、私(バイデン)が首を横に振っているから不同意だとみんなが決めつけるようなもの」と当意即妙な言い方をした。
米国とイスラエルが分裂しているとされる中、バイデン政権はイスラエルの攻撃への熱烈な支持を表明し続け、国連での停戦決議やパレスチナの国家承認を阻止し、過去12カ月間で180億ドル相当の武器をイスラエルに送った。このように、Axiosの記事がいかに眉束物であっても、それは、バイデン政権が国際的諸機関がジェノサイドと呼んでいるものと関わり合いがないとすることを可能にするような、ワシントンにとっては重要な役割を果たしている。ラヴィッドの役割は、Axiosを読んでいるリベラル派のエリート読者たちがアメリカ政府施策へ同意させることであり、彼らに、米国はイスラエルの重要な支援者ではなく、西アジアの平和のための誠実な仲介者であると信じさせ続けることである。
ラヴィドはパレスチナ人に対するあからさまな蔑視を隠さない。9月、彼は次のような投稿をリツイートした。
「それがパリナチ[訳注:パレスチナ・ナチス]のやり方だ・・・見返りを与えずに譲歩を懐に入れ、その譲歩を次の交渉の基準にする。パリナチは真実を伝える術を知らない」。
それから1週間もたたないうちに、彼はイスラエル国防軍が、世界貿易センタービルに激突する飛行機の巨大な絵の前で、アル・カッサム旅団の指導者であるモハメッド・シンワールの子供たちが祝っている写真を発見したという、イスラエル国防省ヨアヴ・ギャラント大臣の極めて疑わしい主張を宣伝した。ギャラントは、明らかにパレスチナ人を9.11と誤認させようとしているこの写真を、「シンワル兄弟がネズミのように隠れていた」トンネルで発見したと述べた。
悪名高きスパイ機関
1952年に設立された8200部隊は、イスラエル軍の最大かつ最も物議を醸している師団である。
2023年10月7日以来、秘密工作、スパイ活動、監視、サイバー戦争に責任を持つこのグループは、世界の注目の的となっている。少なくとも9人の死者と約3000人の負傷者を出した悪名高いレバノンへのポケベル攻撃の背後にいる組織として広く認識されている。イスラエルの多くの人々(そしてラヴィッド自身も)がこの作戦を成功と称賛しているが、元CIA長官のレオン・パネッタを含め、世界中がこの作戦をひどいテロ行為と非難した。
8200部隊は、また、人工知能を搭載したガザ用の殺害リストを構築し、何万人もの個人(女性や子供も含む)を暗殺対象として提示した。このソフトウェアは、IDFが人口密度の高いガザを攻撃した初期の数カ月間に使用した中心的標的設定メカニズムであった。
「イスラエルのハーバード大」と称される8200部隊は、イスラエルで最も権威ある教育機関のひとつである。そのため、親たちは、その子弟に大金を費やして科学や数学の授業を受けさせる。そして、この部隊に選抜されイスラエルの急成長するハイテク部門で有利な職業に就けることを願うのだ。
8200部隊は、また、イスラエルの未来的な抑圧的国家機構の中心的役割を果たしている。8200部隊は、パレスチナ人の通話、メッセージ、電子メール、個人データを監視する顔認識カメラを通じてパレスチナ人の一挙手一投足を追跡することによって集められた膨大な量のデータを使って、彼等を監視し、嫌がらせをし、抑圧するために使用するディストピア(暗黒郷)の捜査網を作り上げた。
8200 部隊は、すべてのパレスチナ人について、病歴、性生活、検索履歴などの記録を作成し、この情報を後で恐喝や脅迫に利用できるようにしている。たとえば、ある個人が配偶者を裏切っていたり、切実に医療手術を必要としていたり、ひそかに同性愛者であったりする場合、これをテコに民間人をイスラエルの情報提供者やスパイに仕立て上げることができる。ある8200部隊の元工作員は、訓練の一環として、会話の中で「ゲイ」を聞き分けられるよう、アラビア語で「ゲイ」を意味するさまざまな単語を暗記するよう命じられたという。
8200部隊の工作員は、世界で最もダウンロードされたアプリのいくつかと、ペガサスを含む最も悪名高いスパイプログラムの多くを作成してきた。ペガサスは、フランスのエマニュエル・マクロン、南アフリカのシリル・ラマポーザ、パキスタンのイムラン・カーンなど、世界中の数十人の政治指導者を監視するために使用された。
イスラエル政府は、中央情報局(CIA)や地球上で最も権威主義的な政府にペガサスの販売を許可した。その中にはサウジアラビアも含まれており、サウジアラビアはこのソフトウェアを使って、ワシントン・ポスト紙の記者ジャマル・カショギを監視し、その後彼はトルコでサウジアラビアの諜報員によって暗殺された。
最近のMintPress Newsの調査によると、世界のVPN(Virtual Private Network仮想プライベートネットワーク)市場の大部分は、8200部隊の卒業生が共同設立したイスラエル企業によって所有・運営されていることが判明した。
2014年、43人の8200部隊予備役兵士が共同声明を発表し、一般のパレスチナ市民とテロリストを区別しないなどの非倫理的な行為を理由に、もはや部隊で働く意思はないと宣言した。声明はまた、自分たちの情報が地元の有力政治家たち伝えられ、その政治家たちはそれを自分たちの都合のいいように利用したことも指摘した。
この声明を聴いて、ラヴィッドはこの同僚たちへの怒りを爆発させた。このスキャンダル的な出来事を受けて、ラヴィッドはイスラエル軍のラジオに出演し、この内部告発者たちを攻撃した。ラヴィドは、パレスチナ占領はイスラエルの基本的な「骨格」を形成しているのだから、パレスチナ占領に反対することはイスラエルそのものに反対することだ、と述べた。「もしパレスチナ占領がほんとうに問題なら、税金も問題です。検問所の兵士や教育システムに資金を提供しているのです・・・そして8200部隊はとんでもない情報操作機関になっています」と彼は言った。
ラヴィッドのコメントはさておき、ひとつ疑問が生じる:地球上で最も危険で侵略的なスパイ技術の多くを生み出し、洗練された国際テロ攻撃の背後にいると広く知られ、外国人住民に潜入し、監視し、標的にするように設計されたグループのメンバーが、イスラエルとパレスチナに関するアメリカ人向けのニュースを書いているなんて、本当に受け入れられるのだろうか? もし米国メディアの高官がヒズボラやハマス、そしてロシア連邦保安庁の情報将校として名指しされたら、どのような反応があるだろうか。
イスラエルによってもたらされるイスラエル関連ニュース
ところが、イスラエル国家と深いつながりを持つアメリカで影響力のあるジャーナリストは、ラヴィッドだけではない。シャシャール・ペレドは8200部隊の将校として3年間、監視、諜報、サイバー戦争のアナリスト・チームを率いた。彼女は、また、イスラエルの諜報機関Shin Betの技術アナリストも務めている。2017年、CNNにプロデューサー兼ライターとして採用され、ファリード・ザカリア(Fareed Zakaria)とクリスティアン・アマンプール(Christiane Amanpour)の番組の構成を3年間担当した。その後、グーグルに主任メディア・スペシャリストとして採用された。
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元イスラエル・スパイのシャシャール・ペレドは、イスラエルのi24ニュースを経てCNNに就職、その後グーグルに転職した。
CNNに転職したもう一人の8200部隊諜報員はタル・ハインリッヒである。ハインリッヒは8200部隊の工作員として3年間を過ごした。2014年から2017年にかけて、彼女はCNNの悪名高い親イスラエル的なエルサレム支局の現場とニュースデスクのプロデューサーを務め、2000人以上の死者と数十万人の避難民を出したイスラエルのガザ砲撃「保護的エッジ作戦」に対するアメリカ側の理解を形成する主要なジャーナリストの一人だった。その後、ハインリッヒはCNNを退社し、現在はベンヤミン・ネタニヤフ首相の公式スポークスマンを務めている。
CNNがイスラエル国家の要人を雇う傾向は今日まで続いている。たとえばタマル・ミカエリスは現在、同局でイスラエル/パレスチナの番組を多く制作している。以前はイスラエル国防軍の公式スポークスマンを務めていたにもかかわらず、である。
一方、ニューヨーク・タイムズ紙は、ジャーナリスト経験ゼロの元イスラエル空軍情報将校アナト・シュワルツを雇った。シュワルツは、10月7日にハマスの戦闘員が組織的にイスラエル人に性的暴力をふるったとする、悪名高く、今では信用されていない暴露記事「言葉なき叫び」を共同執筆した。タイムズ紙のスタッフ自身、「この記事には証拠と事実確認がまったく欠けている!」と反発した。
花形コラムニストのデイヴィッド・ブルックスを含む複数のニューヨーク・タイムズ紙の社員たちの子弟はイスラエル国防軍(IDF)に従軍している。彼らがこの地域について報道したり意見を述べたりしているにもかかわらず、タイムズ紙はこうした目に余る利益相反的人事を読者に公表することはなかった。また、1948年にパレスチナの知識人ガーダ・カルミの家族から盗んだエルサレムの家を支局長のために購入したことも公表していない。
MintPress Newsは昨年、ガーダ・カルミに彼女の最新著作とイスラエルによる彼女の口封じ工作についてインタビューした。元ニューヨーク・タイムズ・マガジンのライターで、現在アトランティック誌の編集長を務めるジェフリー・ゴールドバーグ (米国人) は、パレスチナ人の「第一次インティファーダ (蜂起)」の際、イスラエル国防軍の刑務官として志願するためにペンシルベニア大学を中退した。ゴールドバーグは回顧録の中で、イスラエル国防軍に勤務していた時、パレスチナ人捕虜の虐待を隠蔽工作の手助けをしたことを明らかにした。
ソーシャルメディア企業も、8200部隊の元工作員であふれている。2022年のMintPressの調査では、99人を下回らない8200部隊の元工作員がGoogleで働いていることがわかっている。
Facebookはまた、物議を醸している同部門の元スパイを数十人雇用している。その中には、Metaの監視委員会のメンバーであるエミ・パルモア(Emi Palmor)も含まれている。21人からなるこの委員会は、最終的にFacebook、Instagram、Metaの他のサービスの方向性を決定し、どのコンテンツを許可し、促進し、何を抑制するかを決定する。Metaは、
同社のプラットフォーム上でパレスチナ人の声を組織的に抑圧しているとして、ヒューマン・ライツ・ウォッチから正式に非難されている。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、2023年10月と11月だけで1,000件以上のあからさまな反パレスチナ検閲を記録している。こうした偏見の表れとして、Instagramがパレスチナ人と名乗るユーザーのプロフィールに「テロリスト」という言葉を自動的に挿入したことがある。
反イスラエル、反ユダヤ人種差別の温床であるという米国の政治家の主張が広まっているにもかかわらず、TikTokは組織の要職に多くの元8200部隊の工作員を起用している。例えば、2021年にはアサフ・ホックマンを製品戦略・運営部門のグローバル責任者として採用した。TikTokに入社する前、ホックマンはイスラエルのスパイとして5年以上を過ごした。現在はMetaで働いている。
親イスラエルのトップダウン検閲
イスラエルによる近隣諸国への攻撃に関しては、企業メディアは一貫してイスラエル寄りの偏見報道をしてきた。例えば、ニューヨーク・タイムズ紙は、暴力の加害者がイスラエル軍である場合、その加害者を特定することを通常控えており、1948年に約75万人のパレスチナ人が虐殺されたことを単なる「移動」と表現している。同紙の報道を調査したところ、イスラエル側の死者について論じる場合、パレスチナ側の死者よりも「虐殺」「大虐殺」「おぞましい」といった言葉が22倍も多く登場することがわかった。
一方、CNNは、イスラエル軍がパレスチナ人の子どもを乗せた車に335発の銃弾を撃ち込み、助けに来た救助隊員を射殺したという報道で、「5歳のパレスチナ人少女が死亡した親族と一緒に車に閉じ込められて死亡しているのが発見された」という、彼女の死が悲劇的な事故だったと解釈できるタイトルを付けた。
このような報道は偶然に起こるものではない。実際、このような報道はトップから直接指示がある。11月にリークされたニューヨーク・タイムズ紙のメモによれば、同社の経営陣は、イスラエルの行動を論じる際に「大量虐殺」、「虐殺」、「民族浄化」といった言葉を使わないよう記者に明確に指示していた。タイムズ紙の記者は、「難民キャンプ」、「占領地」、「パレスチナ」といった言葉を報道で使うことさえ控えなければならず、最も基本的な事実のいくつかを読者に伝えることはほとんど不可能である。
CNNのスタッフも同様の圧力を受けている。昨年10月、新最高執行責任者のマーク・トンプソンは全職員にメモを送り、ハマス (イスラエルではない) が暴力の責任者であることを確認するよう指示し、ガザ保健省や民間人の死亡者数について議論するときは常に「ハマスが支配する」という呼び名を使わなければならないこと、そしてハマスの見解を報道することを禁止するよう指示した。ハマスの報道基準・慣行担当幹部は、ハマスの見解は「ニュース価値がなく」「扇動的な言い回しと偽情報」に等しいとスタッフに述べた。
タイムズ紙とCNNは、イスラエルの行動に反対したり、パレスチナ解放を支持したりしたことを理由に、複数のジャーナリストを解雇している。11月には、タイムズ紙のジャズミン・ヒューズ記者がパレスチナでの大量虐殺に反対する公開書簡に署名したため、解雇された。同紙は前年、親イスラエル団体「Honest Reporting」の圧力キャンペーンを受け、ホサム・サレム(Hosam Salem)との契約を打ち切った。そしてCNNのキャスター、マーク・ラモント・ヒル(Marc Lamont Hill)は2018年、国連での演説でパレスチナ解放を訴えたことで突然解雇された。
Axios、CNN、ニューヨーク・タイムズ紙のような大組織は、明らかに誰を採用しているかを知っている。これらはジャーナリズム界で最も求められている仕事のひとつであり、各部署には何百人もの応募者があるだろう。これらの組織が他の誰よりもイスラエルのスパイを選ぶという事実は、彼らのジャーナリズムの信頼性とその目的について深刻な疑問を投げかけるものだ。
アメリカのニュースを制作するために8200部隊の諜報員を雇うことは、ハマスやヒズボラの戦闘員を記者として雇うのと同じくらい考えられないはずだ。しかし、イスラエルの元スパイたちは、パレスチナ、レバノン、イエメン、イラン、シリアに対する自国の進行中の攻撃について、アメリカ国民に情報を伝えることを任されている。このことは、わが国のメディアの信頼性と偏見について何を物語っているのだろうか?
イスラエルはアメリカの援助なしにはこの戦争を続けることができなかったので、アメリカ人の心をつかむ戦いは、地上での行動と同じくらい重要である。そして、プロパガンダ(偽情報)戦争が進行するにつれて、ジャーナリストと戦闘員の境界線が曖昧になっていく。イスラエル/パレスチナに関するニュースを提供しているトップジャーナリストの多くが、文字どおり元イスラエル諜報員であるという事実は、このことをいっそう裏付けるものだ。
筆者アラン・マクラウドはMintPressニュースのシニアスタッフライター。2017年に博士号を取得後、『 Bad News From Venezuela: Twenty Years of Fake News and Misreporting』、『Propaganda in the Information Age: Still Manufacturing Consent』の2冊を出版。FAIR.org、The Guardian、Salon、The Grayzone、Jacobin Magazine、Common Dreamsにも寄稿。
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※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS(2024年11月17日)「アメリカのニュースを書くのはイスラエルのスパイたちであることが明らかに」
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-2800.html
からの転載であることをお断りします。
また英文原稿はこちらです⇒Revealed: The Israeli Spies Writing America’s News
筆者:アラン・マクラウド(Alan MacLeod)
出典:SCHEERPOST 2024年10月21日
https://scheerpost.com/2024/10/21/revealed-the-israeli-spies-writing-americas-news-2/
国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授