【連載】今週の寺島メソッド翻訳NEWS

☆寺島メソッド翻訳NEWS(2024年11月21日):トランプの再選をディープ・ステイトはなぜ許したのか!?

寺島隆吉

※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。


なぜトランプは選挙に勝つことを許されたのだろうか?

私たちは、ディープ・ステイトが望む結果が得られない場合に何が起こるかを知っている。2016年の選挙後に起こったように、すべての地獄が解き放たれるのだ。それがどのようなものだったかを思い出してみて欲しい。法的な異議申し立てや訴訟、慌てふためきや名指し、不正投票やロシアの干渉という偽りの主張、そして選挙運営そのものの全体的な信用失墜のことを。街頭での抗議行動や怒れる反ファシストの暴徒が警官と乱闘し、「新たなヒトラー(トランプ)」に向けられた容赦ない怒りの爆発を。

覚えておられるだろうか?

それが、ディープ・ステイトが思いどおりにことが進まなかったときに起こることだ。

2024年には、あの捏造された怒りの表現に似たようなことが何も起こっていないことにお気づきだろうか? リベラルな報道機関が冷静さと団結を求めており、トランプを狙った好戦的または敵対的な記事を見つけることはほとんど不可能であることにも。

これは「吠えなかった犬」の事例ではないのか。懐疑的な人なら、聞いたことからではなく、聞こえなかったことから何か良からぬ行為があったと考えるべき事例ではないか?

実際、選挙結果が「自由で公正」だったのは、情報機関が選挙の不正操作を止めたからではなく、不正操作が必要なかったからだ。ディープ・ステイトはトランプが「自分たちの人物」だったので、トランプに勝たせたかったのだ。

その意味を説明する前に、選挙の前日の月曜日に友人に送ったメールを示させて欲しい。

トランプは勝つだろう…

ディープ・ステイトは、イランとの戦争を戦うために、赤い州の10代の青年を徴兵できる人気のある大統領を必要としている..
ハリスにはそのような魅力はない。

この見解は、報道機関がなぜトランプの勝利に熱狂せず、彼を人種差別主義者、ファシストの同性愛嫌悪者として、彼らが通常行うように槍玉にあげないのかを説明するのに役立つのではないだろうか?

こうなったのは、イスラエル国家を無条件に支持しているディープ・ステイトには、ドナルド・トランプが必要だからだ。ディープ・ステイトは、新兵募集を促進し、戦争への突入を先導するために、カリスマで大衆迎合主義である火付け役を必要としている。ハリスにはそれができない。ハリスは、彼女の集会に100人の支持者さえ集めるのに苦労していた。

この仕事は、ハリスではダメで、信頼され、賞賛され、愛される指導者でないといけない。この仕事は、伝統的に我が国の戦争を戦っている赤い州の若者たちから信頼を得ている人物が果たすべきものだ。つまりこれはトランプの仕事なのだ。

https://twitter.com/i/status/1854159069986095370

だからといって、ディープ・ステイトが検閲や監視、市民的自由に対する反政策を放棄したわけではない。(ディープ・ステイトがそんなことをしたことはない。)ただ単に、ディープ・ステイト側の全体的な優先事項が、いつ起きてもおかしくないイランのイスラエル弾道ミサイル攻撃のような、より差し迫った問題に移ったことを意味しているに過ぎない。トランプは、その攻撃に対応することを求められるだけではない。トランプはまた、イランの脅威に対抗するため、米軍を配備するよう求められるだろう。そして、トランプがこれまでイスラエルに対して媚びへつらってきたこと(さらには彼の選挙運動にシオニストの寄付者が1億ドル贈ったこと)を考えると、彼はこの指令に従うと考えられる。ドナルド・J・トランプほどイスラエルに対する揺るぎない忠誠を示した大統領はいない。

トランプがイスラエルでどれほど高く評価されているか、ご存知だろうか?

トランプの勝利を祝って、2人のテレビ司会者がウィスキーの飲み干す様子が映っているこの素晴らしい映像を確認あれ。

もしモスクワの評論家たちが国営テレビで同じような乾杯をしたら、どんな反応になるか想像できるだろうか?

以下は、「イスラエルに神のご加護を、アメリカに神のご加護を」と咆哮しながら、ガザの民間人の飛び地ガザを爆破する歩兵による、もうひとつの「必見」の感情表現だ。

https://twitter.com/i/status/1854196575368565173

そして、以下はテレビゲームショーの司会者が、背後のスクリーンにトランプの大きな写真を写し出しながら、伝統的なお祝いの歌を歌うよう観客を導いているところだ。

https://twitter.com/i/status/1854196575368565173

トランプが、多くのイスラエル人によって、イスラエルの敵を打つために、彼の若者の軍団を中東に配備し、ユダヤ国家が地域の覇権国として浮上するのを助ける米国側の救世主と見なされていることは明らかだ。少なくともそれが希望なのだ。現実ははるかに異なるかもしれないとしても。しかし、私たちが言いたいのは、トランプのイスラエルに対する有用性が、2024年の大統領選挙に対するディープ・ステイトの方策において重要な要素だったかもしれないということだ。もちろん、これは私自身の陰謀論的な視点にすぎないのだが。

他に誰がドナルド・トランプを支持しているだろうか?

https://twitter.com/i/status/1854269999424139514

さて、ガラントの話に移ろう..

イスラエル国防大臣ヨアブ・ガラントの突然の解任は、多くの理由で重要であり、そのどれもが主流報道機関で取り上げられていない。ネタニヤフは、火曜日(11月6日)におこなった声明で、この行動を正当化した。

戦争の真っ只中では、これまで以上に、総理と防衛大臣の間には完全な信頼関係が求められる。残念ながら、戦争が始まってからの最初の数ヶ月はそのような信頼と非常に実りある仕事があったが、最後の数ヶ月で、私と国防大臣との間の信頼関係に亀裂が入った。

この発言はありえない。ネタニヤフとガラントの間には「信頼の危機」はなかった。ガラント国防大臣が解任されたのは、ガラントが、戦争がおこなわれている即興的な(そしてばかげた)戦略に反対したからだ。軍人として、ガラントは、任務の目的と、その目標が現実的に達成できる方法を明確に表現した首尾一貫した戦略の実施を見たいと考えていた。しかし、この血なまぐさい大失敗を見てきた人なら誰でもわかるように、計画も戦略も戦争の終わらせ方の視座もないことは明らかだ。ネタニヤフは、爆発するポケベルやハッサン・ナスララの暗殺のような目を見張るような戦術的勝利を定期的におこないながら国民の大部分を自身の味方に引き込んで、最初から直感のみで動いてきた。ビビ(ネタニヤフ)は、戦争は戦略目標を達成するための強制的な方法ではなく、大衆の支持を集めるための一連の奇妙な出来事であるという理論に基づいて活動している。ガラントの解任は、ネタニヤフが、この同じ自殺的な流れを続け、勝利の明確な定義も、敵対行為を終わらせるための計画もない、ますます多くの紛争にイスラエルを巻き込むつもりであることを単に確認しているに過ぎない。これらはまさに「永遠に続く戦争」なのだ。

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誤解しないでほしいのは、ガラントはどう考えても「善人」ではなく、ビビの戦争内閣の多数派になりつつある非常識な人々よりもわずかに理性的だということだ。以下は、タイムズ・オブ・イスラエルの記事からの抜粋である。

首相に近い関係者がタイムズ・オブ・イスラエル紙に語ったところによると、ヨアブ・ガラント国防相は連立政治のためではなく、職務上の理由で解雇されたという。

匿名を条件に話している当局者は、ガラントは…6ヶ月前にレバノンでの外交的解決を提唱し、ヒズボラの能力を衰えさせないと主張し、ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララの殺害に反対したが、イスラエル国防軍はその動きを支持した。

ガザでは、ガラントは米国の圧力を受けたイスラエル国防軍がラファに入るのに抵抗し、フィラデルフィ回廊に留まる必要性に関するネタニヤフと閣僚の大半の立場と戦った、とその高官は主張している。ネタニヤフに近い当局者は、ガラントが職務上の理由で解雇されたと主張した。「タイムズ・オブ・イスラエル紙」

要約してみよう:

1. ガラントは6ヶ月前にレバノンでの外交的解決を提唱した。

2. ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララの殺害に反対した。

3. ガラントはラファに入るイスラエル国防軍に抵抗した

4. そして、フィラデルフィ回廊に留まる必要性に関するネタニヤフの立場と戦った。

これらの問題に関して、ガラントの見解は、イスラエルの挑発と攻撃の激化に反対する世界中の大多数の人々の見解と密接に一致している。

このことから何がわかるだろうか?

このことは、ガラントが、戦略的な目的を達成せず、イスラエルの安全保障を損なうだけの、不必要で無意味な流血に反対したことを我々に伝えている。それは、国防大臣が、イスラエルの多面的な作戦遂行能力の低下を認める従来の軍事理論にイスラエルの作戦が従うことを望んでいたことを示している。それは、ガラントの戦争に対する見解が、武力紛争の主要な目的が敵に苦痛を与えることだと信じているネタニヤフの見解とは根本的に異なっていたことを示している。そして、ガラントが戦争の方向性と、イスラエルがいかにその軍事力をひどく過大評価していたかについて、ますます懸念を抱いていたことを物語っている。

繰り返しになるが、ガラントが高潔な人物だと言っているのではない。それどころか、この人物は毒蛇のような人物だ。それでも、彼の戦略は軍事的な観点からはある程度理にかなっている。彼が、飢えたパレスチナ人への食料と医薬品の阻止を熱心に支持するいっぽうで、敵対行為を終わらせるための視座を決して明確にしない別の救世主的な狂人に取って代わられたという事実は、イスラエルの指導部が自分たちの直面している問題について全く分かっていないことを物語っている。イランの来るべきミサイル攻撃の獰猛さ次第では、イスラエルは、米国が変えることのできない存亡の危機に直面する可能性がある。以下は、イスラエルが現在、勝利の方法がない無数の戦争で、いかに泥沼にはまっているかを説明するジョン・ミアシャイマーの短い映像からの文字起こしだ。

ガザでの紛争、ヒズボラとの紛争、イランとの紛争の三つについてお話ししましょう。イスラエルはガザで3つの目標を持っています。それは、①ハマスを決定的に打ち負かす②人質を取り戻す③ガザを民族浄化する….です。イスラエル側はこれらのどれも達成しておらず、さらに、イスラエル側はガザで立ち往生しています。彼らは2005年にガザを去りましたが、それはスズメバチの巣をつついてしまったからでした。今回がまたもやガザに戻ってきたのは、ハマスを打ち負かしていないからです。

ヒズボラに関しては、イスラエル側は指導者の首を切ろうと試み、成功しました(しかし、それは何の進展にもなりませんでした)ので、イスラエル側はベイルートで膨大な数の民間人を殺害し続けました。それはうまくいきませんでした。それで、彼らは地上に侵入しました…そして、彼らは南レバノンで攻撃を受けています。そして、彼らが侵略した理由は、イスラエルへのロケット弾の発射を止めるためだったことを思い出してください。しかし、彼らはロケット弾の発射を止めていないし、ヒズボラに対しても勝てていないし、この先もヒズボラに対して勝利することにはならないでしょう。おそらく、最終的には何らかの交渉による解決が成立するかもしれませんが、どうなるかは誰にもわかりません。イスラエル側の軍事戦略が機能したという考えはどうなったのでしょう? ヒズボラに対して勝てなかったし、ハマスに対しても勝てませんでした。

そしてイランに対しては、どうでしょうか?イランは、イスラエルに大量の弾道ミサイルをまだ飛ばすことができます。(ミアシャイマーは、イスラエルのイラン攻撃がいかに失敗だったかを説明している。イスラエルはイランに対する攻撃激化支配を持っていない。(および)イスラエルは、ヒズボラに対する支配を強めることにはなっていません。ヒズボラは、いまだにイスラエルに向けてロケット弾とミサイルを発射しています。ところで、フーシ派も今、イスラエルに向けてミサイルを発射しています…..「イスラエルは順調に進んでいる」とか「イスラエルは運転席に座っている」という西洋の常識は、単純に間違いです。そして、ガザで何が起こっているのか、ヒズボラで何が起こっているのか、そしてイランで何が起こっているのかを見れば、イスラエルは多くの問題を抱えていることがわかります。(ミアシャイマーは、イスラエルの空軍力を時代遅れにしたイラン側のミサイル技術の革命を説明している。ネタニヤフと彼の副官たちは、イスラエルがもはやイランの弾道ミサイルに対して防衛できないことを理解し損ねている。) 「ジョン・ミアシャイマーへのインタビュー:オンライン・サイト「アンハード(Unhead)誌」

ミアシャイマーの分析とガラントの解雇との間には、どのような関係があるのだろうか?

ガラントの解任は、「イスラエルの戦争努力が目的を持たなくなっており、再び焦点を合わせる必要があると警告するベンヤミン・ネタニヤフ首相への厳しい言葉遣いの書簡」と関連している。タイムズ・オブ・イスラエル紙によると:

公式声明においてガラントは、イスラエルは「時代遅れの羅針盤」に従って戦っており、イスラエル当局は2023年10月7日のハマスの攻撃後に最初に設定された公式の戦争目標を見直す必要がある、と主張した。

「戦争における重要な進展、特にイスラエルとイランが直接打撃を交わすことは、戦闘の領域とそれらの間の相互関係について、包括的な視点で議論をおこない、戦争の目標を更新する必要性を提起する」とガラントは記した、と報じられている。

イスラエルは当初、戦争目標をハマスのテロ集団の破壊と、1年以上前のイスラエル南部の猛攻撃で捕らえられた人質の返還と設定していたが、その後、イランの代理勢力とイラン自身による攻撃により、戦闘は大幅に拡大し、イスラエルは実際には7つの正面戦争を戦っている。

イスラエルは、先月レバノンのヒズボラ・テロ集団に対する攻撃を急激に激化させたのちに、北部の住民の自宅への帰還を含むよう目標を更新した。

ガラントは、以下のような戦争目的を追加することを提唱した、と言われている:ヨルダン川西岸では、「テロリズムを阻止することによって暴力の発生を防ぐ」。イランでは、「抑止力とイランを戦争から遠ざける」。そしてガザでは、「軍事的脅威のない現実を確立し、テロ能力の成長を防ぎ、すべての人質を帰還させ、ハマス政府に代わる組織を促進する」こと…

ガザのイスラエル支配に対するガラントが反対し、そこでの人質停戦協定を支持したことにより、彼は連合政権の極右派と対立し、内閣内のすでにほころびつつある関係をさらに強めている。

ガラントはネタニヤフ首相に、戦争の管理は方向性がなく、目標の更新が必要だと伝えた、という。「タイムズ・オブ・イスラエル紙」

何が起こっているのかおわかりいただけるだろうか? この状況がどれほど深刻かご理解いただけるだろうか?

ガラントはイランとの戦争に反対したため、解任されたのだ。いまは精神病者が精神病院を牛耳っており、自分たちが蹴飛ばされたときにはサムおじさん(米国)が助けに来てくれる、と考えている。

この状況は、人類がこれまでに直面した中で最も危険な状況かもしれない。地球上の生命の未来は、現実の把握が非常に疑わしい救世主信仰の狂信者によって決定されており、彼らは自分が隣人に与える暴力行為は全能の神によって祝福されていると信じている。

そして今、彼らはトランプが、彼らの愚かな対イラン戦争に参加することを望んでいるので、彼らは中東全全域をローマ花火で輝かせ、世界の終末をもたらすことになるかもしれない。

レーガン大統領の夫人ナンシー・レーガンの名文句ではないが、トランプは「ただノーと言おう」でいくべきだ。

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※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS(2024年11月19日)「トランプの再選をディープ・ステイトはなぜ許したのか!?」
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-2807.html
からの転載であることをお断りします。
また英文原稿はこちらです⇒Trump’s Triumph and the Firing of Yoav Gallant
筆者:マイク・ホイットニー(Mike Whitney)
出典:The Unz Review 2024年11月6日
https://www.unz.com/mwhitney/trumps-triumph-and-the-firing-of-yoav-gallant/

寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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