【櫻井ジャーナル】2024.11.23/櫻井春彦 : ウクライナを使った米英の対露攻撃への報復として露はマッハ10の弾道ミサイル
国際政治ロシア軍は11月21日、マッハ10という極超音速で飛行する中距離弾道ミサイル、オレーシニクでドニプロにあるユジュマシュの工場を攻撃した。射程距離は約6000キロメートルだとされている。これは新型極超音速中距離ミサイルのテストを兼ねた警告だ。
ウクライナ軍は11月19日に6発のアメリカ製ATACMSでロシア深奥部を攻撃、また11月20日にはイギリス製ストームシャドウとHIMARSミサイルで複合攻撃した。いずれの場合もミサイル供与国は攻撃を許可しているはずだ。
ATACMやストームシャドウで戦局が一変することはないのだが、その攻撃における供与国の役割を考えると無視できないということだろう。そうした攻撃はロシアに対するミサイル供与国による攻撃とみなされるとウラジミル・プーチン大統領は明確に警告していた。
バイデン政権はロシアとの戦争を引き起こすことでドナルド・トランプの大統領就任を妨げようとしていると推測する人もいる。トランプ政権の誕生を恐れる関係者が国防総省、CIA、FBI、保健福祉省には少なくないだろう。
ATACMやストームシャドウでの攻撃に対する報復としてロシアはオレーシニクで攻撃したのだが、米英をはじめとするNATO諸国への警告だったことから核弾頭は外されていた。
ATACMSのようなミサイルでロシア深奥部への攻撃は兵器を扱えるオペレーターが必要であるだけでなく、兵器を誘導するための情報を提供する衛星、さらに目標の選定や目標に関する情報などもなければならないとウラジミル・プーチン大統領は以前から指摘していた。
このミサイルがウクライナから発射されたとしても、実際に攻撃したのは兵器を供給し、オペレーターを派遣、情報を提供した国こそが攻撃の主体だということだ。今回の場合、アメリカとイギリスがロシアを攻撃したことになる。プーチン大統領はATACMSなどでロシア深奥部が攻撃された後、ウクライナでの戦争は局地的なものから世界的なものへ性格が変わったと主張した意味はそこにある。
西側はロシアが保有しているオレーシニクは数機にすぎないと主張しているが、ロシアは200機程度をすでに持っているとも言われている。オレーシニクはMIRV(複数個別誘導再突入体)を使用、一度に4ないし6都市を破壊することが可能だ。今後、弾頭に通常の爆弾、あるいは核爆弾を搭載して攻撃する場合、事前に警告することをロシア政府は約束した。
アメリカがネオ・ナチを使ったクーデターを始めたのはバラク・オバマが大統領だった2013年11月のこと。翌年の2月にはビクトル・ヤヌコビッチ政権が暴力的に倒され、ネオ・ナチ体制が樹立された。ウクライナの制圧はロシア侵略の最終局面であり、「ネオバルバロッサ」を始めたとも言える。この段階でロシア政府が動かなかったことをポール・クレイグ・ロバーツ元米財務次官補は批判していた。
今後、米英が戦闘をエスカレートされてロシア深奥部を繰り返し攻撃するようになった場合、ロシアは攻撃目標をウクライナの外へ拡大させる可能性がある。そこで指摘されているのがポーランドに建設されたアメリカのミサイル基地。
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【Sakurai’s Substack】
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