【連載】今週の寺島メソッド翻訳NEWS

☆寺島メソッド翻訳NEWS(2024年11月26日):ついに堪忍袋の緒が切れた! プーチン大統領の欧米に対する最後通牒!!

寺島隆吉

※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。

ヨーロッパはいつまで西洋の愚政に従うのだろうか? いまこそ、歴史の正しい側に立つことを選択する時なのではないのか?

新たな核抑止戦略。これは、ロシア領土への長距離ミサイルシステムの使用を承認し、開始し、同国を攻撃するNATOのさらなる挑発に対するロシア連邦の反応である。

最も単純かつ基本的な論理では、これは「度重なる宣戦布告」とされて当然の行為だ。軍事戦略においては、この行為は戦略方程式の特定の必須要素に関する敵の特定の立場を確認することを目的とした挑発行為と見なされる。すべてが不条理に近い。なぜなら、バイデン政権からトランプ政権するというこの繊細な局面においては、米国の権力層はヨーロッパ全体を破滅の瀬戸際に突き落とす以外に何もすることがないように思われるからだ。しかし、ロシア側の方はより賢明に動けているようだ。

新たな戦略への移行

まず、 2020年6月にウラジーミル・プーチン大統領の大統領令によって発布された、核兵器と抑止力に関する従来の軍事戦略を見てみよう。

この政令は、国の防衛戦略の要となる核抑止力に関する国家政策の基本原則を定義し、核兵器の使用に関するロシアの公式見解を概説し、核兵器の使用につながる危険や脅威、具体的な条件を特定し、抑止力の管理に関する指針を確立している。

核抑止力とは、潜在的な敵対国がロシアとその同盟諸国に対して敵対行動を取るのを抑止するために調整された一連の政治的、軍事的、経済的、外交的措置と定義されている。この政策は、明らかに防衛的な性質を持ち、侵略と武力紛争を防ぐのに十分な程度の核能力を維持することにより、国家主権や領土保全、国家の安全を守ることを目的としている。軍事紛争が発生した場合、この政策は、戦争の激化を防ぎ、ロシア連邦が受け入れ可能な形で敵対行為を終結させることを目指している。

ロシアは核兵器を極めて必要な手段とみなしており、その使用は危機的状況に限定されている。核兵器を使用するかどうかの決定権は大統領のみにあり、大統領は必要に応じて、核兵器を使用する意思や決定を他国や国際機関に通知することができる。核兵器を使用する条件には、ロシアやその同盟諸国に対する核攻撃や大量破壊兵器攻撃、国家の存亡を脅かす通常攻撃、核兵器による対応能力を損なう重要基盤施設への攻撃への対応などがある。

この法令ではさらに、敵対国とみなされる国による先進兵器システムの開発と配備、敵対的な軍事同盟の拡大、核兵器の無制限な拡散など、核抑止力を必要とするいくつかの脅威を特定している。その他の懸念事項としては、ロシア国境付近への攻撃兵器の配備や、宇宙の軍事目的での利用の可能性などがある。

ロシアの核抑止の基本原則には、国際的な軍備管理の約束の遵守や防衛活動の継続、新たな脅威に対する戦略の適応性、国家統制の集中化、国家の安全を確保するために最小限だが十分な核兵器の維持などが含まれる。抑止力は、常に即応状態に維持される陸海空の核戦力の組み合わせに基づいている。

この政策を実施する責任は、さまざまな国家機関に分散されている。大統領は全体的な戦略を指導し、政府は核兵器の潜在力を維持するための経済や外交、技術面を担当する。安全保障理事会は関係機関の活動を調整し、国防省は軍事措置の計画と実行を監督する。

ロシア連邦は、いかなる存亡の危機に対しても核兵器を含むあらゆる必要な手段で自国を防衛する権利を留保しつつ、国際的な緊張を緩和し、紛争を予防・鎮静化する決意を表明している。

新たな発表

プーチン大統領は新たな核抑止力の原則を発表した。政府公式チャンネルではまだ公表されていないが、スプートニク・チャンネルで非公式翻訳が公開されている。

最も重要な相違点、つまり新しい執行令で追加された仕様は、次の点に関するものである。

・敵の性質は単独の場合もあれば、同盟や連合国の場合もあり、その定義は拡大しており、NATOとその加盟諸国による攻撃についてロシア政府当局者が繰り返し発表していることと完全に一致している。

・特定された脅威の種類は、宇宙技術も統合した幅広い戦略システムにまで及んでいる。

・位置の特定、ロシア連邦とその軍事システムへの近接性の再定義。

核抑止理論の合理化と更新は、西側諸国全体に対する重要な警告となる。ロシアは核戦争の準備ができている、ということだ。

大統領は、これまで公表されていなかったロシアの極超音速ミサイルシステム「オレシュニク」に言及したが、これは西側諸国にとって決して意外なことではなかった。西側諸国は、直接的な衝突への備えから目をそらすためにクレムリンが漏らした情報に注目していたからだ。オレシュニクは、我々が知る西側諸国の防衛システムを上回るマッハ10に達する能力を持つシステムである。

この発表は、プーチン大統領が11月21日に世界に向けて本当の最後通牒を発した際に繰り返した。

「繰り返しますが、我が国はNATO諸国のロシアに対する攻撃的行動への対応として、オレシュニク・ミサイルシステムを戦闘条件下でテストしています。中距離および短距離ミサイルのさらなる配備の問題は、米国とその衛星諸国の行動に応じて我が国が決定します。我が国の最新ミサイルシステムのさらなるテスト中に攻撃される標的は、ロシア連邦に対する安全保障上の脅威に応じて我が国が決定します。我が国は、ウクライナが我が国の施設に対して武器を使用することを許可している国の軍事施設に対して我が国の武器を使用する権限があると考えています。攻撃的行動が激化した場合、我が国は同様に断固として思慮深い方法で対応します。ロシアに対して軍事部隊を使用する予定の国の支配層には、真剣に検討するよう勧告するものであります」

覇権国米国の愚行に対し、プーチンは、欧州諸国に、前例のない兄弟同士の戦争で犠牲になるのは自分たちだと十分承知しているはずだ、と訴えることで応えている。ヨーロッパはいつまで西側の愚行に従うのだろうか? 今こそ歴史の正しい側に立つことを選択する時ではないのだろうか?

ロシアは反撃と約束で応じている。「我が国は核兵器をより良い時のために取っておくので、我が国は『通常』兵器を使い続けます。どのメニューを選択するかは西側次第です」と。

※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS(2024年11月26日)「ついに堪忍袋の緒が切れた! プーチン大統領の欧米に対する最後通牒!!」
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-2822.html
からの転載であることをお断りします。
また英文原稿はこちらです⇒Putin, the nuclear doctrine, the new deterrence: ultimatum to Europe
筆者:ロレンツォ・マリア・パチーニ(Lorenzo Maria Pacini)
出典:Strategic Culture Foundation 2024年11月23日
https://strategic-culture.su/news/2024/11/23/putin-the-nuclear-doctrine-the-new-deterrence-ultimatum-to-europe/

寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

ご支援ください。

ISFは市民による独立メディアです。広告に頼らずにすべて市民からの寄付金によって運営されています。皆さまからのご支援をよろしくお願いします!

Most Popular

Recommend

Recommend Movie

columnist

執筆者

一覧へ