日米合同委員会の廃止を~繰り返す性的暴行事件に終止符を
琉球・沖縄通信
米兵による性暴行事件があった。だが実際には半年以上前に起こった事件だった。
3月に起訴されていたにもかかわらず県に連絡があったのは6月25日だ。誰しもあの報道を聞いた時に県議選が終わるのを待っていたなと思っただろう。今年の日米政府の動きをみると、岸田首相が訪米して4月10日に日米首脳会談があっただけでなく、エマニエル駐日大使が与那国島入りし、6月16日には県議選があり、同23日の慰霊の日に岸田首相が沖縄戦没者追悼式に参列した。明らかに首相訪米や県議選などへの影響を考えて隠蔽したと思われる。
どういう経緯で県への連絡がこれほどまでに遅れたのか真実解明が急がれる。事の経緯は外務省が県に伝えたとも言われているが、実はその前に沖縄の民放が報道して、初めて外務省がそういう対応をしたとも言われている。県も報道で知ったと言っている。誠に異例ずくめの流れだと思う。後の情報では、外務省は防衛省にも知らせていなかったという。ここまでの情報から推察すると、外務省の主導で事件の隠蔽が進んでいたと言えよう。
そうだとすると、外務省と官邸、米国務省が結託して隠蔽したということではないか。日米地位協定の下にあるのは日米合同委員会である。公開されない「議事録」はどう記載されているのだろうか。防衛省は自衛隊を管轄するが、米軍事件となると日米合同委員会、その日本側トップは外務省北米局である。外務省が主導し、実は日米合同委員会で米軍が「公表ストップ」と命令したと考えると流れ、筋が見えてくる。
1989年から2023年に、米軍構成員による不同意性交などの摘発件数は沖縄は41件で全国88件の46.6%を占めた。約半分が沖縄で発生している。おびただしい人権侵害が発生している。今回の事件では、政府は被害者のプライバシー配慮を口実に使っているが疑問しか生まれない。プライバシーを守りながら発表することはできるし、これまではそうやってきた。一連の政府の不都合に忖度していたのを、あたかも政府は被害者の人権に配慮したかのような口実を使って遅れた理由にしていることは県民をばかにした行為である。反基地運動をする人たちが騒ぎ立てたてて被害者のプライバシーを侵害しているという印象をつくるのは許せない。
今回の忖度行為、つまり隠蔽は再発を誘導することにつながることを為政者には気付いていただきたい。人権侵害が繰り返されている。人権が守られる社会に本気で変えていかねばならない。日米合同委員会の廃止と早期の米軍基地撤退を広く呼びかける運動の波を起こしたい。
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独立言論フォーラム・理事。那覇市出身、(財)雇用開発推進機構勤務時は『沖縄産業雇用白書』の執筆・監修に携わり、後、琉球大学准教授(雇用環境論・平和論等)に就く。退職後、那覇市議会議員を務め、現在、沖縄市民連絡会共同世話人で、市民運動には金武湾反CTS闘争以来継続参加。著書は『若者の未來をひらく』(なんよう文庫2005年)、『沖縄のエコツーリズムの可能性』(なんよう文庫2006年)等がある。