【櫻井ジャーナル】2024.12.02/櫻井春彦 : シリアを奇襲攻撃したHTSの指導者がロシア軍の空爆で死亡
国際政治アル・カイダ系武装集団のハヤト・タハリール・アル・シャム(HTS)数千人が11月27日にシリア軍を奇襲攻撃、ハマの制圧には失敗したものの、アレッポの全域に戦闘員が入ったと言われている。
2022年当時からウクライナへ西側諸国が供与した武器弾薬の一部が中東へ横流しされていると言われていたが、11月初旬、ウクライナ情報機関はHTSに武器と資金援助を提供したとも伝えられていた。
それに対してシリア軍の支援部隊が11月29日にアレッポへ到着、ロシアとシリアの空軍も反撃を開始したという。そうした空爆で、HTSの指導者とされるアブ・ムハンマド・アル・ジュラニがイドリブにある拠点で会議中にで死亡、その際にトルコやウクライナの将校も死亡したと伝えられている。シリア政府はHTSの戦闘員1000名が戦死したとしているが、数百人は殺されたようだ。ただ、トルコのハカン・フィダン外相はHTSの攻撃に関与していないとしている。
ウクライナ軍は今年8月6日にも似たことを行なっている。1万人から3万人ほどの兵力でロシアのクルスクへ軍事侵攻したのだ。原子力発電所を制圧することが目的だったとも言われているが、この作戦にはイギリス、フランス、ポーランドの特殊部隊、そして各国から集められた傭兵が参加、作戦を立案したのはイギリス軍だとされていた。ニューヨーク・タイムズ紙によると、アメリカとイギリスはウクライナに対し、クルスク地域に関する衛星画像やその他の情報を提供したと報じている。
クルスクを攻撃した目的は原発の制圧だけでなく、ロシア軍が進撃を続けているドンバスの戦況を変えることにあったと考える人もいた。ロシア軍がドンバスから一部の部隊をクルスクへ移動させることを期待したというのだ。それによってドンバスにおけるロシア軍の圧力を弱められると考えたのだろうが、結局、軍事の専門家が予想していたように、ウクライナ軍はクルスクで壊滅的な打撃を受けている。
HTSの奇襲攻撃がレバノンでの停戦開始に合わせ、11月27日に実行されたことも注目されている。その前、11月20日にはイスラエル軍がアメリカ軍の協力をえてパルミラを攻撃、その際にイスラエルの戦闘機はシリア東部にアメリカ軍が違法建設したアル・タンフ基地から発進したという。
欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)の最高司令官を務めたウェズリー・クラークによると、2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎が攻撃されてから10日ほど後、彼は統合参謀本部で見た攻撃予定国のリストを見たという。そこにはイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そして最後にイランが記載されていた。(3月、10月)
ネオコンは1980年代からイラクのサダム・フセイン政権を倒して親イスラエル体制を築き、シリアとイランを分断して個別に壊滅させようとしていた。シリアのバシャール・アル・アサド政権を倒せばレバノンを拠点にするヒズボラへの補給ルートを断ち切ることができるとも考えていたようだ。ヒズボラは壊滅していないが、それだけでなくイスラエルは苦境に陥っていた。今回、シリアが攻撃された理由にひとつはそこにあると推測する人もいる。
ところで、イギリスの外務大臣を1997年5月から2001年6月まで務めたロビン・クックが05年7月に主張したように、「アル・カイダ」はCIAの訓練を受けた「ムジャヒディン」の登録リストだ。HTSがアメリカやウクライナの情報機関に命令されて攻撃を始めた可能性はある。
イギリスの情報機関MI-6のリチャード・ムーア長官は11月29日、パリのイギリス大使館でフランスの情報機関DGSE(対外治安総局)ニコラス・ラーナー長官を前にして、配下のエージェントがウクライナでロシアに対する秘密工作を行っていると認めた。
ちなみに、アメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターによると、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はMI-6のエージェントであり、ハンドラーはムーア長官である可能性が高い。
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