☆寺島メソッド翻訳NEWS(2024年12月1日):「トランプ革命」は嘘! トランプ氏はやはり反中・好戦的人物だ!
国際※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。
以下の記事は、Labour Outlookにやや短い形で最初に掲載されたもので、カルロス・マルティネス氏が、トランプ大統領の再任下における米国主導の中国に対する新冷戦の見通しと、世界二大経済大国間の軍事衝突の可能性を評価している記事だ。
この記事は、2011年のオバマ・クリントン政権の「アジアへの軸足」に始まり、トランプ政権の貿易戦争、そしてバイデン政権の制裁や関税、半導体戦争、軍事的挑発、AUKUSの創設と、米国の対中政策が10年以上にわたって比較的一貫している点を指摘することから始まっている。
トランプ政権下で何が変わるのか? カルロス氏は、トランプ氏が中国製品に前例のない関税を課すと繰り返し約束していることから、「経済対立の深化はあり得る」と指摘する。また、トランプ氏は選挙運動中に米国の「永遠の戦争」を終わらせたいと声高に主張していたが、「根っからの中国強硬派のマルコ・ルビオ氏とマイケル・ウォルツ氏を国務長官と国家安全保障問題担当大統領補佐官に任命したことは、トランプ氏が敵対関係を強化させるつもりだという明確な兆候だ」とも記している。
(以下は記事からの抜粋)
マルコ・ルビオ氏は反中国の狂信者であり、さらなる関税やさらなる制裁、さらなる中傷、台湾分離主義へのさらなる支援、南シナ海でのさらなる挑発、香港と新疆ウイグル自治区のさらなる不安定化を支持している。マイク・ウォルツ氏は中国との戦争に備えて、インドや日本、オーストラリア、および地域の他の国々とのより緊密な軍事協力を長い間主張してきた。
(抜粋はここまで)
この記事の指摘によると、中国が西側諸国に一貫して提案しているのは、「気候変動や疫病の大流行、平和、核拡散、食糧安全保障、開発など、人類が直面している緊急の問題に取り組む」ための協力に基づいている、とのことだ。しかし、西側諸国の政府にそのような提案を受け入れさせるには、大衆による運動しかないことは明らかだ。
(以下、記事本文)
「アジア回帰」はオバマ政権によって開始され、当時国務長官だったヒラリー・クリントン氏が「米国の太平洋世紀」に向けた戦略策定の任務を負っていたが、米国の反中敵意を本当に高めたのは2017年から21年までのトランプ大統領の任期だった。
ドナルド・トランプ氏は2016年の選挙運動で、対中貿易赤字の解消で雇用を守ると公約し、「中国が我が国を強姦し続けることを許すことはできない。彼らはまさにそれをおこなっている。これは世界史上最大の窃盗だ」と述べた。
政権を握ったトランプ政権は、本格的な貿易戦争を開始し、数千億ドル相当の中国輸入品に巨額の関税を課した。これは中国のテクノロジー企業に対する組織的な攻撃と組み合わされ、米国の通信基盤からファーウェイを排除し、TikTokとWeChatの米国での運営を阻止しようとした。
軍事面では、トランプ大統領は南シナ海における米国の影響力を強化し、中国に対抗する広範な地域同盟の構築に向けて、クアッド(米国、日本、インド、オーストラリア)同盟の再活性化を目指した。
国務省は中国人留学生や研究者への取り締まりを監督し、新型コロナウイルスの大流行の到来とともに、トランプ大統領はあからさまな人種差別に訴え、「カンフー風邪」や「中国ウイルス」などという発言を繰り返した。これらすべての動きが東アジア系の人々に対する憎悪に基づく犯罪行為の恐ろしい増加につながった。
そのため、ジョー・バイデン氏が4年前に大統領に選出されたとき、多くの人が安堵のため息をついた。しかし残念なことに、バイデン氏は、粗野な対立的な物言いやあからさまな人種差別主義こそないものの、前任者の反中国戦略姿勢を基本的に維持している。バイデン氏は多くの点で、特に米国の戦略的利益をめぐる国際的な連合の構築に関しては、中国に対する軍事的および経済的封じ込めを追求する上でより組織的に動いている。
2021年9月、米国、英国、オーストラリアは、核拡散防止条約に明らかに違反し、明らかに中国に対抗するために設計された核協定であるAUKUSの開始を発表した。
バイデン氏はクアッド首脳会議を何度も主催しており、その会議で加盟国は「自由で開かれたインド太平洋への揺るぎない参画」、つまり、米国が同地域に300以上の軍事基地や数万人の兵士、核兵器搭載可能な戦闘機、航空母艦、核先制攻撃能力の確立を目的としたミサイル防衛システムを維持できる状況を繰り返し表明している。
クアッドとAUKUSの組み合わせは、アジア版NATOを作ろうとする試みのようにも見える。一方、ナンシー・ペロシ下院議長の2022年の台湾省訪問は、四半世紀ぶりの米国による台湾訪問となった。
2023年、バイデン氏は初めて台湾への直接的な米国軍事援助を承認した。2023年11月のBBCは見出しで、「米国はひそかに台湾を徹底的に武装させている」と指摘した。これは、米中外交関係の基盤をなす3つの共同声明(1972,1979,1982)を弱体化させるものであり、明らかに台湾海峡の緊張を煽り、台湾をめぐって中国との潜在的な熱戦を仕掛けることを狙っている。最近明らかにされたマイク・ミニハン陸軍大将による文書では、2025年に台湾をめぐる戦争が予言されていた。「私の直感では、2025年には戦争になるだろう」と。
バイデン政権は、中国のテクノロジー産業に対するトランプ時代の規制を拡大し、特に半導体生産や人工知能、携帯電話などの分野での中国の進歩を遅らせるために「チップ戦争」を開始した。また、バイデン政権下の米国政府はいくつかの野心的な気候目標を設定するいっぽうで、中国の太陽電池材料に対する包括的な制裁を導入し、中国の電気自動車に巨額の関税を課した。
残念なことに、民主党と共和党の間には意見の一致がある。バイデン氏の言葉を借りれば、「我が国は21世紀に勝つために中国と競争している」と。そして米国はどんな犠牲を払ってでもこの競争に勝たなければならないのだ。
トランプ大統領が2期目を迎えた場合、状況はどの程度変化すると予想されるだろうか?
経済対立の深刻化はあり得ることだ。トランプ大統領はすでに中国製品に60%の関税を課すと警告している。関税が最高25%に達した前回の貿易戦争から大幅に上昇している。一方で、中国の自動車製造業者に対しては「100%、あるいは200%の関税」を示唆している。
米国と中国は昨年、環境問題での協力で一定の進歩を遂げたが、トランプ次期大統領が中国との協力と気候変動対策の両方を軽蔑していることを考えると、この進歩はおそらく消え去るだろう。
軍事戦略の点では、状況はそれほど明確ではない。米国の「永遠の戦争」に反対するトランプ氏の言い分は選挙運動に役立ったかもしれないが、米国当局内で戦争の鼓動がますます激しくなっていることを考えると、その約束は実現しない可能性が高い。
ドナルド・トランプ氏は国際関係について一貫した分析をおこなっているため、中国との対決に備えるために米国はロシアを同盟国にすべきだという「現実主義者」の考えに最も近い人物かもしれない。もちろんその考えは既に出航しており、ロシアと中国の関係は1950年代以来の最高点にあるが、それでも米国は重点と資源をロシアから中国へと移す可能性が高い。
根っからの中国強硬派であるマルコ・ルビオ氏とマイケル・ウォルツ氏の国務長官と国家安全保障担当大統領補佐官への任命は、トランプ大統領が敵対行為を強化させるつもりであることを示す明確な兆候だ。マルコ・ルビオ氏は反中国の狂信者で、関税の強化や制裁の強化、中傷の強化、台湾分離主義へのさらなる支援、南シナ海でのさらなる挑発、香港と新疆ウイグル自治区のさらなる不安定化を支持している。マイケル・ウォルツ氏は中国との戦争に備えて、インドや日本、オーストラリア、その他の地域諸国との軍事協力の強化を長年にわたり求めてきた。
中国の習近平国家主席はトランプ氏当選の祝辞の中で、「安定的で健全かつ持続可能な米中関係は両国の共通の利益にかなうものであり、国際社会の願望にも合致する」と述べた。これは、気候変動や疫病の大流行、平和、核拡散、食糧安全保障、開発など人類が直面する緊急課題に協力して取り組もうという、中国が西側諸国に提案していることを簡潔にまとめたものだ。
こうした提案を受け入れることは、スターマー・スナク両首相の下で米国の立場に危険なほど近づいている英国を含む米国とその同盟諸国にとって、進路の大幅な変更を意味するだろう。それは、人類が多極化した未来へと向かう軌道を受け入れることを意味し、覇権的野望よりも地球と人々を優先することを意味し、米国が新世紀計画を断念することを意味するだろう。
帝国主義支配階級は自ら進んでその道を歩むことはないだろう。だからこそ、大衆運動が彼らにそうさせねばならない。
※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS(2024年11月29日)「「トランプ革命」は嘘! トランプ氏はやはり反中・好戦的人物だ!」
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-2835.html
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また英文原稿はこちらです⇒Donald Trump and the Drive to War against China
筆者:カルロス・マルティネス(Carlos Martinez)
出典:Friends of Socialist China 2024年11月16日
https://socialistchina.org/2024/11/15/donald-trump-and-the-drive-to-war-against-china/
国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授