孫文「大アジア主義」演説100周年記念シンポ続報② 覇権と切り協力を求め、 共にアジア運命共同体を築こう シンポジウム薛剣総領事の基調講演(日中友好ネット)

日中友好ネット

写真:基調講演をされる薛剣総領事

孫文「大アジア主義」演説100周年記念シンポジウムでの、薛剣総領事の基調講演が、中駐駐大阪総領事館のホームページに掲載されました。下記URLクリックしてご覧頂けます。

http://osaka.china-consulate.gov.cn/jpn/xwdt/202412/t20241202_11536419.htm
↑クリックしてご覧下さい。↑

日中友好ネットでも、あらためて、ここで紹介したいと思います。(伊関)

 

覇権と切り協力を求め、 共にアジア運命共同体を築こう シンポジウム薛剣総領事の基調講演

専門家・学者の皆様、友人の皆様

こんにちは。中国駐大阪総領事の薛剣です。まずは主催者の中国駐大阪総領事館を代表し、お忙しい中、本日の孫文「大アジア主義」演説100周年記念シンポジウムにお越しくださった皆様を熱く歓迎し、心より感謝申し上げます。また、今回のシンポジウムでは中国外文局アジア太平洋広報センターの多大なるご支援を頂いており、ここに謹んで感謝の意を表します。

100年前の今日、孫文先生は私たちが今いる場所――この神戸で、かの有名な「大アジア主義」演説を行われました。当時の世界は、第一次世界大戦後の大きな転換期にあり、国際秩序は少数の西側諸国に支配され、利己的で横暴な覇権主義が幅を利かせ、弱肉強食のジャングルがあちこちにはびこり、アジアの多くの国々が植民地となり果てていました。日増しに軍国主義へと傾倒し、西洋の列強とともに隣国を・分割しようとしている日本に対し、孫文先生は、その最後の来日で「大アジア主義」をテーマに演説を行いました。孫文先生は、東西文明の違いや優劣について鋭い比較を行った上で、中日協力を基に、アジア諸民族を団結させ、平等自由、相互、互恵の関係を確立し、アジアの発展を共に促すことを強く提唱しました。更に、日本社会に「西洋覇道の犬となるか、或は東洋王道の干城となるか」との問いを突き付け、日本が正しい戦略的選択をするよう忠告したのです。

あれから100年が経ち、世界や地域の情勢は、再び激変の時を迎えています。資本主義国家の発展がボトルネックに遭遇し、「グローバルサウス」の集団的台頭の勢いは誰にも止められず、世界のパワーバランスが大きく変わろうとしています。そんな中、アジア各国は自立自強によって、積極的に時代の発展に融合し、もはや他国の言いなりとなる子羊のような弱い存在ではなく、国際情勢の形成を担う重要なパワーへと成長しました。今、アジアの世界経済への貢献度は60%に達し、名実ともに世界経済における最も主要な成長エンジンとなっており、経済的に最も活気ある地域でもあります。アジアは今や、平和・安定の高台、発展・協力が最も盛んな地域となっています。アジアの世紀はすでに到来しており、先人たちの描いた未来の理想像は、現実となりつつあるのです。

一方で、世界は今、平和とは到底言えない状態です。地域衝突が後を絶たず、局地的な戦争があちこちで起こっています。大国関係が複雑さを増し、地政学的な駆け引きが激化しています。気候変動の深刻化、エネルギー資源の不足、食糧安全保障問題が突出しています。世界情勢がこれまでにないリスクや試練に直面する中、一部の国は依然として覇権主義、強権政治に固執し、一国主義、保護主義を遵奉し、自国の利益だけを最優先に考え、閉鎖的かつ排他的な「小さなグループ」を作ることで、勝つか負けるかのゼロサムゲームに明け暮れています。一部の国は、アジアの台頭をよしとせず、頻繁にアジア問題に介入し、あちこちでグループを作り、トラブルを煽り、アジアを混乱に陥れようと画策しています。これらの歴史の流れに逆行する行為は、地域の平和・安全にとって「百害あって一利なし」で、すでに地域各国の強い警戒心と不安をかき立てています。

互いに隣国同士、そしてアジアの重要な国同士である中日両国は、アジアの発展に重要な責任を持っています。100年に一度の大変局を前に、地域諸国は、中日両国が時代の発展の大勢に順応し、アジアを率いてチャンスをつかみ、より明るい未来へと導いていくことを期待しています。人類社会はどこへ向かうのか、アジアの前途はどこにあるのかという時代の問いに、習近平主席は人類運命共同体構築の重大理念を創造性豊かに提起し、全ての民族、全ての国の前途・運命は互いに密接につながり合っていること、そしてアジア各国は、ともに地球という一つの家に暮らしており、利益は融合し合い、安危をともにしているのだから、互いに支え合って、栄辱をともにし、ともにアジア運命共同体を構築していくべきであると提起しました。これらの理念は、新中国成立70年以上に渡る外交の実践であり、もっと言えば、「和合共生」「開放包容」を追い求める東洋哲学に根差す、孫文先生の演説の基本思想と同じ流れをくむものであり、日本の皆さんにも、その精神的内実を十分に理解していただけることでしょう。

ここ数年、日本国内では平和主義に背き、いわゆる「抑止力」を盲信し、中国の発展を「脅威」「挑戦」と見なし、欧米などの域外国家に加担して地域問題への介入・操作を画策し、分裂や対立を起こそうとする危険な動きが集中的に見られています。これらの動きは、西洋の「国が強ければ必ず覇を唱える」「食うか食われるか」といった覇権主義的な理論への執着に根差すもので、時代の流れから完全に逸脱しており、日本の利益に合致しないばかりか、団結して平和を求め発展を図ろうというアジア諸国の期待にも逆行するものです。日本の皆さんの中にもこれを憂慮し、日本が「新しい戦前」へ向かうのではと指摘する声も少なからずあります。多くのアジア諸国の有識者たちが日本に「遊子帰郷」、つまり家を離れた旅人がアジア大家族の懐に戻って来るべきだと呼びかけています。ここで、孫文先生が100年前にここで演説された時のあの名言をお借りして、私からも再び日本社会に問いかけたいと思います。

新たな歴史の重要な岐路において、日本が再び誤った道に進み、自国や地域諸国に混乱や災いをもたらす姿を、私たちは目にしたくありません。習近平主席は、先日リマで石破茂首相と会談した際、「中国の発展は世界にとってのチャンスであり、日本などの近隣諸国にとってはなおさらそうである。日本には中国とともに、中日間の4つの政治文書の諸原則を厳守し、『互いに協力パートナーであり、互いに脅威とならない』という重要な共通認識を厳守し、ともに中日戦略互恵関係の全面的推進に努め、新時代の要請に合致する建設的かつ安定した中日関係の構築を目指してもらいたい」と発言しました。習近平主席のこの発言は、中日関係の進むべき正しい方向性を指し示しただけでなく、日本が国家としての今後を選択する上で、重要な参考と有益なヒントにすることができると思います。

孫文先生の言葉に、「世界の潮流は、大きく堂々たるもので、これに従えば繁栄し、これに逆らえば亡びる」とあります。中国と日本は特別な隣国同士で、地理的に近く、文縁的に通じ合い、血縁的にもつながり、とうの昔から持ちつ持たれつの運命共同体なのです。日本には、新しい情勢の中で歴史の流れに順応しながら、近代以降の脱亜入欧の古い考えから脱却し、自ら積極的にアジアに回帰し、アジアを抱きしめ、他を思いやる、天下大同の東洋文明の考え方で、アジア諸国とともに、アジアや世界により多くの安定性と繁栄をもたらしてもらえるよう願っています。日本各界の有識者の皆様におかれましても、アジア団結・振興の意識をしっかりと確立し、自ら積極的に声を上げながら、新しい時代の流れをリードしていただけますことを期待しています。

「敬隣永安」!中日両国が互いへの尊重・信頼・善隣友好を堅持することさえできれば、必ずや手を携えて安定した発展を実現できると信じています。また、ともに真の多国間主義を実践し、開かれた地域主義を発揚し、共にアジア運命共同体を構築していけば、必ずやアジアを団結と協力、繁栄と振興の新時代に向かわせ、より一層明るく美しい新世界の建設へと進んでいけることでしょう。

本日は、多くの専門家や学者の皆様が各地より神戸に集まり、講演を行って頂くことになっています。これは、新しい情勢において、孫文先生の「大アジア主義」演説の時代的価値が大いに注目を集めていること、そして中日関係とアジア地域の前途・運命に関心が寄せられていることを示しています。皆様がそれぞれの優れた見識を存分に交流させることで、より有益な考え方やヒントを引き出していけることを期待しています。

以上を持ちまして、開会の言葉をさせていただきます。ご清聴、ありがとうございました。

本記事は「日中友好ネット孫文2024/12/6「大アジア主義」演説100周年記念シンポ続報② 覇権と切り協力を求め、 共にアジア運命共同体を築こう シンポジウム薛剣総領事の基調講演」の転載になります。

孫文「大アジア主義」演説100周年記念シンポ続報① “孫文「大アジア主義」演説”を熱く語る登壇者の皆さん」はこちら

 

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