【連載】知られざる真実/2024年12月10日 (火)日本政治刷新実現の条件
政治2025年に日本政治がいかなる変革を実現するか。
大山鳴動して鼠一匹にならぬようにするには何が必要か。
2024年に大きな地殻変動はあった。
しかし、この地殻変動が新しい日本政治を誕生させるのか、単なる地殻の地響きだけで終わってしまうのか。
予断を許さない。
自公が過半数を大きく割り込んだ。
自民激減の主因は旧安倍派の激減。
モリ・カケ・サクラの不祥事が続いた。
アベノミクスは掛け声は大きかったが日本経済は浮上しなかった。
経済の停滞が持続するなかで大企業利益が拡大する一方で労働者実質所得が激減した。
「成長戦略」とは「大企業利益の成長戦略」、「労働者不利益の成長戦略」だった。
日本円暴落は日本が外国資本に乗っ取られるリスクを確実に高めている。
惨憺たる現状をもたらした主軸が自民党安倍派だった。
その安倍派の特徴は統一協会との癒着と裏金にあった。
悪事が白日の下に晒され、自公が衆院過半数を大幅に下回った。
これが2024年に生じた政治の地殻変動。
自公に対峙する勢力が一枚岩の結束を示したなら政治刷新は2024年に実現したはず。
しかし、非自公が自民以上に混迷を深めている。
非自公新政権樹立より自公利権政治に参画しようとする勢力が目立つ。
これでは政権の変革が生じても本質は変わらない。
利権まみれの薄汚れた政治が持続する。
根本に流れる日本政治最大の課題は「日本の独立」。
1952年に見かけ上の独立を果たしたが内実は異なる。
日本は米国に懇願し、米軍の日本駐留を求め、沖縄を含む南西諸島を切り棄てた。
米軍は超越的な特権を保持して現在に至る。
1952年体制構築を主導したのは昭和天皇だった。
日本国憲法施行で天皇の政治権能は失われたはずだったが、実態として1952年体制構築を主導したのは昭和天皇だった。
結果として日本は米国の半植民地に移行。
25年は敗戦から80年を迎えるが日本は米軍占領下に置かれ続けている。
日本政治変革最大テーマは「日本の独立」。
米国が支配する日本から脱却することができるのかが問われる。
本年10月総選挙で自公が過半数割れに転落。
非自公が結束すれば新政権を樹立できた。
しかし、国民民主がいち早く自公にすり寄り、自公は少数与党政権を樹立。
国民民主は自公政権に加わりたいのだろう。
立憲民主は政権樹立に向けての動きを示さなかった。
維新は党内騒動で政権協議を行える情勢になかった。
結局、地殻が変動しただけで元の自公政治が続いている。
自公は与党での過半数確保に向けて水面下の動きを強める。
野党議員が一本釣りされる。
かつて野中広務が「釣り堀屋のおやじ」と呼ばれたことがある。
立民、維新、国民から自民に移籍する意向のありそうな人物に個別接触が行われているだろう。
他方、立民と維新の接近もささやかれる。
立民党首は野田佳彦。
維新共同代表に前原誠司が就いた。
自民不人気の継続を見込むなら自民に接近するよりも非自公での結託が次の選挙に有利に働く。
こんな読みが働いているかも知れない。
しかし、立民と維新が組むならいまの自公と大差がない。
最大の共通点は対米隷属を続けること。
どちらに転んでも対米隷属だけは変わらない政治体制が築かれてしまう。
この最悪の方向に事態が進行しているように見える。
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植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050