【連載】今週の寺島メソッド翻訳NEWS

☆寺島メソッド翻訳NEWS(2024年12月22日):「欧米により『テロリスト』が『自由の戦士』へと塗り替えられるなか、トルコ・米国・イスラエルによるシリア分割が進行」―ぺぺ・エスコバル

寺島隆吉

※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。

3009-1.jpg
米ジャーナリスト、タッカー・カールソンとのインタビューに応じたセルゲイ・ラブロフ外相 ©ロシア外務省

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が今週、アメリカの保守派ジャーナリスト、タッカー・カールソンとの独占インタビューに応じた。二人は、ウクライナと中東の紛争を中心に、国際的な関心事や米ロ関係のあり方について幅広く語った。以下はその全文である。

カールソン:
ラブロフ大臣、ありがとうございます。今、アメリカとロシアが戦争していると思いますか?

ラブロフ:
そうは思いません。いずれにしても、そんなことは私たちが望んでいることではありません。私たちは、もちろんすべての近隣諸国と正常な関係を持ちたいと思っていますが、一般的にはすべての国、特に米国のような大国との正常な関係を持ちたいと思っています。そして、ウラジーミル・プーチン大統領は、アメリカ国民、アメリカの歴史、世界におけるアメリカの功績に対する敬意を繰り返し表明しており、ロシアとアメリカが世界のために協力できない理由など、どこにもありません。

カールソン:
しかし、米国は、ロシアが当事者となっている紛争に資金を提供していることははっきりしています。今ではロシア自体への攻撃を許可しています。それでも戦争ということにはならないのですか?

状況を悪化させたくはありませんが、ATACMSやその他の長距離兵器がロシア本土に対して使用されている以上、私たちはシグナルを送っています。数週間前の、オレシュニクと呼ばれる新兵器システムを使った信号が、真剣に受け止められていることを願っています。

3009-2.jpg
関連記事:Western Europe ‘at war’ with Russia—ex-MI6 chief

しかし、国防総省や、NATOを含む他の機関の高官たちが、ここ数日、NATOは防衛同盟だが、攻撃は最良の防御であるため、時には先制攻撃も可能である、というようなことを言い始めたことも知っています。アメリカ戦略軍(STRATCOM)のトーマス・ブキャナンという代表も、限定的な核攻撃の応酬を容認するような発言をしています。

そして、この種の脅しは本当に心配です。なぜなら、もし彼らが、最近一部の西側諸国が唱えている論理に従うなら、そしてもしロシアにレッドラインがあると信じないならば、です。彼らは自分たちのレッドラインは唱えていますが、それはたびたび変更されるのです。これは大きな間違いです。これがあなたの質問に対する私の答えです。

戦争を始めたのは私たちではありません。プーチンは繰り返し、キエフ政権がドンバスの一部で自国民に対して行なっていた戦争を終わらせるために、「特別軍事作戦」を開始したと述べました。そして、プーチン大統領は最新の声明で、私たちはいかなる事態にも備える用意があることを明確に示しました。しかし私たちは、ロシアの正当な安全保障上の利益を尊重し、ウクライナに住む人々、今もウクライナに住むロシア人を尊重することを基本に、交渉による平和的解決を強く望んでいます。しかし彼らの基本的人権や言語的権利、そして宗教的権利は、ウクライナ議会によって可決された一連の法律によって抹殺されてきました。それらは「特別軍事作戦」のずっと前から始まっていました。2017年以降、ロシア語による教育を禁止する法律が可決され、ウクライナで活動するロシアのメディアを禁止し、次にロシア語で活動するウクライナのメディアを禁止し、そしてはっきりしているのはロシア語による文化的イベントを中止する措置も取られたことです。ロシア語の本は図書館から放り出され、駆逐されました。ごく最近では、正教会であるウクライナ正教会を禁止する法律が制定されました。

西側の人々が、国連憲章とウクライナの領土保全の尊重に基づいてこの紛争を解決し、ロシアは撤退しなければならないと言うのは、非常に興味深いことです。国連事務総長も同じようなことを言っています。最近、彼の代理人は、ウクライナの領土保全を尊重しつつ、国際法や国連憲章、そして国連総会決議に基づいて今回の紛争を解決しなければならないと繰り返しました。国連憲章を尊重したいのであれば、それ全体を尊重しなければならないので、その言い方は間違っています。国連憲章は、とりわけ、すべての国が国家の平等と人々の自決権を尊重しなければならないと述べています。また、彼らは国連総会決議にも言及しました。そして、彼らが意味するのは、この「特別軍事作戦」の開始後に可決された一連の決議であることは明らかです。これらの決議は、ロシアへの非難、ロシアのウクライナからの撤退を要求しています。1991年の国境線に戻れ、と言うのです。しかし、投票にはかけられませんでしたが合意に基づいた他の国連総会決議があり、その中には国連憲章に基づく国家間関係の原則に関する宣言があります。そして、この宣言では、合意によって、誰もが、国民の自決権を尊重する、それゆえ、そこに居住する人々全体を代表する政府を持つ国の領土保全を尊重しなければならないと明確に述べられています。

2014年2月の軍事クーデターによって政権を握った人々がクリミア人やウクライナ東部・南部の市民を代表していると主張することは、まったく無意味なことです。クリミア人がクーデターを拒否したのは明らかです。彼らは、「私たちのことは放っておいてくれ!」、「あなたたちとは関わりたくない!」と言いました。だから私たちは動いたのです。ドンバスとクリミアは住民投票を実施し、ロシアに復帰しました。一方でドンバスは、政権を握ったクーデター支持者たちによって「テロリスト集団」だと宣言されました。ドンバスは砲撃され、大砲で攻撃されました。戦争が始まり、それは2015年2月に終息しました。

ミンスク協定が調印されたからです。私たちは、ミンスク合意が完全に履行されるのを見ることで、このドラマを締めくくりたいと心から思っていました。ところが、ウクライナのクーデター後に成立した政府によってそれは妨害されました。クーデターを受け入れない人々と直接対話せよ、との要求がありました。ウクライナのその地域との経済関係を促進せよ、との要求がありました。などなど。どれも実行されませんでした。

3009-3.jpg
関連記事:Is the West finally ready to admit defeat in Ukraine?

キエフの人々は、「私たちはこのクーデターを受け入れない人たちと直接話すことはない」と言っていました。彼らと直接対話せよ、という要求は(国連)安全保障理事会によって承認されているにも関わらず、です。「あいつらはテロリストであり、私たちはあいつらと戦う。私たちの方が強いので、あいつらは地下室で死ぬだろう」とクーデター支持者たちは言っていました。

2014年2月のクーデターが起こらず、その前日に当時の大統領と野党との間で成立した取り決めが実施されていれば、ウクライナはクリミアを含めて今頃は一体となっていたでしょう。それは明らかです。ところが、反政府派はその取り決めを履行しませんでした。その代わりにクーデターを起こしたのです。ところで、この取り決めでは、2014年2月に国民統合政府を樹立し、早期選挙を実施することが定められていました。もし選挙をすれば、当時の大統領は敗北していたでしょう。それは誰にもわかっていました。しかし、反政府派は焦り、翌朝政府ビルを占拠しました。彼らはこのマイダン広場に足を運び、「勝者の政府」を作ったと発表しました。「選挙準備をしようとする国民統合政府」とこの「勝者の政府」を比べてみてほしいのです。

彼らが打ち負かしたと思っている国民が、どうしてキエフ当局者たちを尊重するふりができるでしょうか?自決権は、この憲章の原則に基づいてアフリカで行われた脱植民地化プロセスの国際的な法的根拠です。植民地の人々は、植民地支配者である大国を、自分たちを代表する者として、また自分たちがその土地を統治する機構の中にいてほしいと望む者として、決して扱いませんでした。同じ意味で、ウクライナの東部や南部の人々、ドンバスやノヴォロシアの人々は、ゼレンスキー政権を自分たちの利益を代表するものとは考えていません。自分たちの文化、言語、伝統、宗教、これらすべてが禁止されたのに、どうしてそんな考え方ができるでしょうか?

最後の大事な点は、国連憲章や国連決議、そして国際法について話す場合、西側がウクライナ問題で絶対に、絶対に思い出さない国連憲章の最初の条項は、「人種、性別、言語、宗教にかかわらず、すべての人の人権を尊重する」です。

どんな紛争においても、アメリカやイギリス、そしてブリュッセル(NATO)は「ああ、人権が著しく侵害されている。私たちはこのような地域の人権を回復しなければならない」と言って干渉してきました。ウクライナでは、ロシア人とロシア語を話す人々の人権が法によって完全に一掃されているのに、 「人権」 という言葉を彼らがつぶやいたことは一度もありません。だから、人々が「国連憲章に基づいて紛争を解決しよう」と言えば、それは正当です。しかし、国連憲章は領土保全だけではないことも忘れないでください。そして、領土保全は、政府が正当であり、自国民の権利を尊重する場合にのみ尊重されなければならないのです。

カールソン:
先ほどの、極超音速兵器システムの導入あるいは公開について、西側諸国へのシグナルだとおっしゃった件に戻りたいと思います。具体的にどのようなシグナルですか?多くのアメリカ人は、これが起こったことさえ知らないと思います。それを世界に示すことによって、どのようなメッセージを送ったのですか?

ラブロフ:
つまり、米国と、キエフ政権に長距離兵器を提供している米国の同盟国は、彼らが言うところの「ロシアの戦略的敗北」を成功させないために、私たちはあらゆる手段を使う用意があることを理解しなければならないということです。

彼らは、どの国でも、どの地域でも、どの大陸でも、世界の覇権を維持するために戦っています。私たちは正当な安全保障上の利益のために戦います。例えば、彼らは(ロシアに)1991の国境へ戻れ、と言います。しばらく前に別の話でウラジーミル・ゼレンスキーを訪れたリンゼイ・グラハムは、ウクライナはレアアース(希少な希土類元素)が非常に豊富であり、この豊富な資源をロシア人に委ねることはできないとゼレンスキーに向かってあからさまに言いました。「私たちはそれを自分のものにしなければならない。(そのために)私たちは戦うのだ」と。

だから、彼らは、すべての天然資源と人的資源を西側に売るか、与える準備ができている体制のために戦っています。私たちは、これらの土地に住んでいる人々のために戦います。彼らの祖先は、何世紀にもわたって実際に土地を開発し、都市を建設し、工場を建設してきました。私たちにとって大事なのは、米国の誰かが確保したいと思っている天然資源ではなく、そこで生活する人々です。米国はウクライナ人を天然資源の上に座っている奴隷のようにしたいのです。

この極超音速システムを実際にテストすることで私たちが伝えたかったメッセージは、私たちの正当な利益を守るためには何でもする用意があるということです。

3009-4.jpg
関連記事:Russia’s new nuclear doctrine (KEY POINTS)

核の性格を帯びる米国との戦争は考えたくもありません。わが国の軍事遂行原則によれば、最も重要なことは核戦争を避けることです。ところで、2022年1月に、安全保障理事会の常任理事国五カ国の首脳による共同声明で、互いの安全保障上の利益と懸念を認め、尊重しつつ、私たちの間の対立を回避するために何でもするというメッセージを発出したのは、私たちでした。これは私たちの構想でした。

しかし、ロシアの安全保障上の利害は完全に無視されました。ロシアとウクライナの安全保障条約を締結するという提案をほぼ同時に拒否したのです。(ロシアとウクライナの)共存についても、ウクライナがNATOや他の軍事ブロックに加入することはないという点についても拒否されました。これらのロシアの安全保障上の利害は、2021年12月に西側、NATO、米国に提示しました。2022年1月のジュネーブでのアントニー・ブリンケンとの会談を含め、何度か議論しました。そしてこれは拒絶されたのです。

ですから、誤解は絶対に避けたいと思っています。そして、ワシントンの一部の人々とロンドンやブリュッセル(NATO)の一部の人々は、あまり理解する能力がないように見えたので、彼らが必要な結論を導き出さない場合、私たちは追加のメッセージを送ることになります。

カールソン:
私たちが潜在的な核戦争について話し合っているという事実、そしてそれがいまや現実だということ…そんなことは絶対に起こらないと思っていたのですが。

そして、ロシアとアメリカの間にどれだけの裏ルートの対話があるのかという疑問が湧いてきます。2年半前から対話は続いているのですか? 今でも話し合いは続いていますか?

ラブロフ:
いくつかのチャンネルがありますが、主にロシアとアメリカで服役している人たちの交換です。囚人の交換は何件かありました。

3009-5.jpg
関連記事:Russa’s top general speaks with US counterpart—MOD

宣伝や公表されていないチャンネルもありますが、基本的にアメリカ側はこれらのチャンネルを通じて、彼らが公に送っているのと同じメッセージを送っています。「ロシアはウクライナの必要性と立場に基づく道を受け入れなければならない」というメッセージです。彼らは、ウラジーミル・ゼレンスキーによるまったく無意味な「和平の公式」を支持しており、最近、それに「勝利計画」が加わりました。彼らは、コペンハーゲンやブルゲンシュトックなどで、何度も一連の会合を開きました。そして彼らは、来年の前半にまた会議を開き、ロシアを丁重に招待すると自慢しています。そして、その時はロシアに最後通牒を突きつけようというのです。

このようなことはすべて、さまざまな極秘ルートを通じて真剣に繰り返されています。ウラジーミル・ゼレンスキーの「交戦ライン、接触ラインで今すぐ止めることができる」という発言も含め、現在、私たちは異なることを耳にしています。「ウクライナ政府はNATOに加盟することになるが、この段階でのNATOの保証は同政府が支配する領土のみを対象とし、それ以外は交渉の対象となる。しかし、この交渉の最終結果は、ウクライナ国内からのロシアの完全撤退でなければならない」という内容です。それではロシア人を、ナチス政権に委ねることになります。ナチス政権はかつて自国内のロシア人およびロシア語を話す市民の権利をすべて剥奪しました。

カールソン:
核のやりとりの問題に戻ります。ロシアとアメリカの指導者たちには、何億人もの人々が死にいたるかもしれないような誤解を避けるために、互いに話し合うことができるシステムは皆無というわけですね。

ラブロフ:
そうです。弾道ミサイルの発射時に自動的に作動するチャンネルがあるだけです。

このオレシュニク極超音速中距離弾道ミサイルに関して。30分前にこのシステムで米国にメッセージを送りました。ですから米国は、これが正しい通報であり、より大きな、本当に危険なもの(核攻撃)と間違えることはない、ということをアメリカ側はわかっていました。

カールソン:
このシステムはとても危険なものに思えますが。

3009-6.jpeg
関連記事:What we know about Russia’s new Oreshnik missile

ラブロフ:
まあ、試験的な発射だったのです。

カールソン:
はい。ああ、試験的発射だとおっしゃるのですね。わかりました。しかし、米露2国間の会話があまりないように見えることを考えると、あなたはそれをどのくらい心配しているのでしょうか。双方とも相手国民を絶滅させることについて話しています。これは、何らかの形で非常に短い期間で制御不能になり、誰もそれを止めることができないことが起こる可能性があります。信じられないほど無謀に思えます。

ラブロフ:
いいえ、私たちは相手国民を絶滅させることについて話してはいません。私たちがこの戦争を始めたわけではありません。私たちは、何年も何年も何年も、NATOをロシア国境にどんどん近づけていくことが問題を引き起こすという警告を送ってきました。

2007年、プーチンは、フランシス・フクヤマの『歴史の終わり』を読んで、自由主義陣営は勝利を得たのだから、これからはだれも挑戦者はなくなった、などと思っている人々に(このことを)説明し始めたのです。

そしてもちろん、クーデターが起きた時、アメリカ人は自分たちが背後にいることを隠しませんでした。ヴィクトリア・ヌーランドとキエフの当時のアメリカ大使が、クーデター後の新政府に含まれる人物について話し合っているときの会話があります。独立後にウクライナに費やされた50億ドルという数字は、すべてが米国の望むようになるという保証として触れられました。

いいですか、私たちにはウクライナ国民を殲滅する意図などまったくありません。彼らとロシア国民は兄弟姉妹なのですから。

カールソン:
これまで双方で何人の死者がでたとお考えですか?

ラブロフ:
ウクライナ側は明らかにしていません。ウラジーミル・ゼレンスキーは、ウクライナ側は8万人よりもずっと少ないと言っていました。

3009-6_20241222061308651.jpg
関連記事:Zelensky disputes estimate of Ukrainian troop losses

しかし、非常に信頼できる数字が1つあります。私たちが非難した昨年10月7日のハマスによるイスラエルのテロ攻撃に対応して、イスラエルが作戦を開始してから1年間の、パレスチナでの数字です。そして、この作戦は、もちろん、国際人道法にも違反する集団的懲罰となりました。つまり、パレスチナでの作戦が始まってから一年間に殺されたパレスチナ民間人の数は45,000人と推定されています。これは、2014年の「マイダン・クーデター」後10年間に死亡したウクライナ紛争の双方の民間人の数のほぼ倍です。(しかも期間は)一年と十年です。ウクライナの場合は悲劇(tragedy)ですが、パレスチナの場合は大惨事(disaster)です。私たちは、人を殺すことを目標にしたことは一度たりともありません。

そして、ウクライナ政権は人を殺すことを目標にしました。ウラジーミル・ゼレンスキー政権のトップ官僚はかつて、ハリコフやニコラエフのような都市がロシア語の意味を全く忘れてしまうようにすると言っていました。別のトップ官僚は、ウクライナは法律によって、または必要であれば物理的にロシア人を根絶しなければならないと言いました。ウクライナの元駐カザフスタン大使ピョートル・ヴルブレフスキーは、インタビューに答えてカメラを覗き込んで (録音も放送もされていました)、「私たちの主な任務は、私たちの子供たちがやるべきことを減らすために、できるだけ多くのロシア人を殺すことです」と言ったことで有名になりました。そして、このような発言はゼレンスキー政権のいたるところで耳にすることです。

カールソン:
2022年2月以降のロシア人の死者は何人ですか?

ラブロフ:
その情報を開示するのは私の任務ではありません。戦時には特別な規則があります。ロシア国防省はその規則に従います。

しかし、非常に興味深い事実があります。ウラジーミル・ゼレンスキーが国際舞台ではなく、自分のコメディークラブで演奏していたとき、彼はロシア語をはっきりと擁護していました (当時のビデオがあります) 。彼は言いました: 「ロシア語の何が悪いのですか? 私はロシア語を話します。ロシア人は私たちの隣人です。ロシア語は私たちの言語の一つです」 。そして、ロシア語とロシア文化を攻撃しようとする人たちに「失せろ!」と彼は言ったのです。ところが、ウラジーミル・ゼレンスキーが大統領になった時、彼は急速に変わりました。

(2022年2月のロシア)「特別軍事作戦」の前の2021年9月、彼はインタビューを受けました。そのとき彼はミンスク合意に違反してドンバスに対して戦争をしていました。そしてインタビュアーは、彼が接触線の向こう側の人々についてどう思うかを聞いたのです。彼はとても思慮深く答えました。「そこには国民らしい人間たちがいます。もしあなたがたがウクライナに住んでいてもロシアの文化と結びついていると感じているなら、私から彼等へのアドバイスは『自分たちの子供や孫のためにロシアへ出て行け!』です」。

そしてゼレンスキーがロシア人とロシア文化圏の人々を自分の領土に戻したいと考えるなら、その言葉は彼がそれには不適格だと示している、ということです。

カールソン:
それなら、ロシアが戦闘行為を中止する条件とは何ですか? ロシアが求めるものは何ですか?

ラブロフ:
10年前の2014年2月、私たちは大統領と野党の間での取り決め、つまり挙国一致内閣を樹立し、早期選挙を実施することだけを求めていました。この取り決めは合意に至りました。そして、私たちはこの取り決めの履行を求めていました。彼らの対応はほんとうにせっかちで攻撃的でした。そして、もちろん、アメリカ人の後押しを受けたのは間違いありません。なぜなら、ヴィクトリア・ヌーランドとアメリカ大使が政府の構成に同意したのであれば、なぜ早期選挙を行うために5ヶ月も待つのでしょうか?

3009-7.jpg
関連記事:Ukraine must be neutral—Putin fantasy

私たちが次に賛成したのは、ミンスク協定が調印された時でした。私はそこにいました。交渉は17時間に及びました (クリミアは住民投票のためその時点では除外されていました) 。そして、私の交渉相手であるアメリカのジョン・ケリーを含め、西側の誰もクリミアの問題を気に掛けていませんでした。みんなドンバスに集中していました。そして、ミンスク合意が提示したのはウクライナの領土保全とドンバスというごく小さな地域の特別地位です。クリミア(これは議題にもなりませんでした)は除外されました。ドンバス全体は交渉のテーマではありませんでしたし、ノヴォロシアもそうでした。ドンバス地区は、安全保障理事会によって承認されたこれらのミンスク協定の下で、ロシア語を話す権利、ロシア語を教える権利、ロシア語で学習する権利、地元の法執行機関(アメリカの州のように)を持つ権利、裁判官や検察官が中央当局によって任命されたときに協議される権利、そしてロシアの近隣地域とのいくつかの円滑な経済的接続を持つ権利、を持つべきでした。それが話の眼目です。フランスのマクロン大統領がコルシカに与えると約束し、まだその実施方法を検討しているものと似ています。

そしてこれらの合意は、ピョートル・ポロシェンコとウラジーミル・ゼレンスキーによってずっと妨害されてきました。ところで、両者とも和平を公約に掲げて大統領に就任しました。そして2人とも嘘をつきました。このミンスク協定が妨害され、ドンバスというごく小さな地域を武力で奪おうとする動きが見られたとき、プーチン大統領が説明したように、私たちは当時、NATOと米国にこのような安全保障の取り決めを提案しましたが、拒否されました。そして、ウクライナとそのスポンサーたちが、このドンバスの一部を武力で奪おうとするプランBを開始したとき、私たちは「特別軍事作戦」を開始したのです。

もし彼らがミンスク合意を履行していれば、ウクライナはクリミアを除けば一体となっていたでしょう。しかし、その時点でも、私たちが作戦を開始した後、ウクライナ側が交渉を提案し、私たちは同意しました。イスタンブールでは、ウクライナの代表団がテーブルの上に書類を置いてこう言いました:「これが私たちが合意する用意のある原則です」。そして私たちはその原則を受け入れました。

カールソン:
ミンスク原則?

ラブロフ:
いいえ。イスタンブール原則です。2022年4月のことでした。

カールソン:
わかりました。

ラブロフ:
その内容はこうです:ウクライナはNATOに加入しないこと。ウクライナへの安全保障は、ロシアも参加し共同で提供される。そして、これらの安全保障はクリミアやウクライナ東部を対象とはしない。それが彼らの提案でした。そして、それは仮調印されました。現在議会のウラジーミル・ゼレンスキー派の議長であるイスタンブールのウクライナ代表団の長は、最近 (数ヶ月前) のインタビューで、これが事実であることを認めました。そして、これらの原則に基づいて、私たちは条約を起草する準備ができていたのです。

しかし、イスタンブールでウクライナの代表団の長だったこの紳士は、ボリス・ジョンソンが訪れ、戦い続けるよう彼らに言ったと語ったのです。それから・・・

カールソン:
しかしボリス・ジョンソンが言ったのは・・・

ラブロフ:
ボリス・ジョンソンは「自分はそんなことは言っていない」と語っています。しかし仮調印した人間は「ボリス・ジョンソンが言ったのだ」と述べています。ブッチャの虐殺があったからこの取り決めを台無しにしたのはプーチン大統領だ、と言う人もいます。

3009-8.jpg
関連記事:Boris Johnson admits Ukraine conflict is a ‘proxy war’

ある意味、彼らは守りに入っています。国連安全保障理事会で、アントニオ・グテーレスと私 (昨年と今年) は国連総会の同じ席に座わりました。私はブチャの問題を提起し、言ったのです。「みなさんがブチャについて今沈黙しているのは奇妙です。BBCが遺体が見つかった街路で情報を発信したとき、大声をあげていたではありませんか。BBCが報道した遺体の名前はわかりますか?」完全な沈黙です。私は安全保障理事会理事国の前でアントニオ・グテーレス個人に話を聞きました。彼は返事をしませんでした。そして、昨年9月の国連総会終了後にニューヨークでおこなった記者会見で、私はすべての特派員に尋ねました。「みなさんはジャーナリストです。調査ジャーナリストではないかもしれませんが、ジャーナリストであれば、通常、真実を知りたいと思います。そして、あらゆる報道機関がロシアを非難したブチャのことは、現在だれの関心事でもなくなっています。政治家しかり、国連職員しかりです。そして今ではジャーナリストでさえも同じです。9月に彼らと話をしたとき、「専門家として、ブチャで遺体が写っている人の名前を調べてみてください」とお願いしました。しかし応答なしです。

この質問に何の答えもないのは、最近亡くなったが、2020年秋にドイツで治療を受けていたアレクセイ・ナヴァルニーの医学的分析結果はどこにあるのか、という質問に対する答えがないのとまったく同じです。ロシア上空飛行中の機内で気分が悪くなり、飛行機は着陸しました。彼はシベリアのロシア人医師によって治療されました。その後、ドイツが彼を連れて行きたいと言ってきました。私たちはすぐに飛行機が来ることを許可しました。ドイツ側は彼を連れてゆきました。24時間も経たない内に、彼はドイツに到着しました。それからドイツ側は、ロシアが彼を毒殺したと言い続けました。そして今、分析の結果、彼は毒殺されたことが確認されたのです。私たちは検査結果を教えてほしいと頼みました。彼らは、「検査結果は化学兵器禁止機関(OPCW)に渡す」と言いました。私たちはOPCWに行きました。ロシアもこの機関に加盟していますし、アレクセイ・ナヴァルニーはロシア市民です。私たちは彼を毒殺したと非難されているのです。ところがOPCWは、ドイツ側は検査結果をロシアに渡すなと言ったというのです。民間病院では何も見つからず、彼が毒殺されたと発表されたのは、彼がドイツ連邦軍病院で治療を受けた後でした。つまり、この秘密はどうやら・・・

カールソン:
どんな風にナヴァルニーは死んだのですか?

ラブロフ:
彼はロシアで服役中に死亡しました。報告によると、彼は時々気分がすぐれませんでした。それが、私たちがドイツ側に尋ね続けたもう一つの理由でした:あなたが見つけた結果を見せてくれませんか? 私たちはドイツ側が見つけたものを見つけられなかったからです。そして、ドイツ側が彼に何をしたのか、私にはわかりません。

カールソン:
ドイツ側が彼に何をしたか、ですか?

ラブロフ:
ええ。なぜなら、ドイツ側は私たちも含めだれにも説明していません。いや、アメリカには説明しているでしょう。それはあり得ることです。

しかし、どんな治療をしたか、何を発見したか、そしてどんな治療法を施したのか、ドイツ側は私たちに何も語りませんでした。

カールソン:
彼はどんな風に死んだと思いますか?

ラブロフ:
私は医者ではありません。しかし、誰が推測するにしても、医師が推測しようとするにしても、情報が必要です。毒を盛られた後、ドイツに運ばれて治療を受けたのであれば、検査結果を秘密にすることは許されません。

私たちはまだ、セルゲイ・スクリパルと彼の娘の運命についても信頼できるものを得ることができていません。その情報は私たちに提供されないのです。この父娘はロシア市民です。私たちには、情報を得るあらゆる権利がありますし、英国が加盟している条約にも加盟しています。

カールソン:
ボリス・ジョンソン元英国首相がイスタンブールでの和平プロセスを止めたのはなぜだと思いますか?誰のためにそんなことをしたのでしょうか?

ラブロフ:
そうですね、彼とは何度か会いましたが、彼が目先の欲望や長期的な戦略に動機づけられていたとしても驚きません。彼の動きはあまり予測がつきません。

カールソン:
しかし、彼はアメリカ政府に代わって行動していたと思いますか、バイデン政権に代って行動していたと思いますか、それとも独自に行動していたと思いますか。

ラブロフ:
分かりません。想像することもやめます。が、アメリカとイギリスがこの「状況」を主導していることは明らかです。

今では、西側各国政府の一部には疲労があることも明らかになってきており、アメリカ人はヨーロッパ人に任せて、もっと重要なことに集中したいと考えているという話が時々出ています。これ以上の想像はやめます。

3009-9.jpg
関連記事:Kremlin indicates why Ukraine conflict will last ‘a little longer’

具体的な流れを見ながら判断することにしましょう。しかし、バイデン政権がトランプ政権にできるだけ悪い遺産を残したい、と考えているのは明らかです。

そして、それはバラク・オバマが1期目のドナルド・トランプにしたことと似ています。2016年、12月も押し詰まった時期に、オバマ大統領はロシアの外交官を追放したのです。家族連れ120名の追放です。これは意図的でした。ワシントンからモスクワへの直行便がない日に出発するよう要求しました。そのため、彼らはすべての荷物を持って、子どもたちを連れて、バスでニューヨークに移動しなければなりませんでした。

そして同時に、オバマ大統領はロシアの外交財産の一部を押収したと発表しました。そして私たちは、このロシアの財産がどのような状態になっているのかを未だに確認できないままです。

カールソン:
その財産とは何だったのですか?

ラブロフ:
外交的なものです。あらゆる条約に反して、彼らは私たちがそれを見に行くことを許可しませんでした。彼らはただ、これらの資産は外交特権の対象とは見なさないと言うだけです。それは一方的な決定であり、いかなる国際法廷によっても立証されたことはありません。

カールソン:
するとバイデン政権はオバマ政権が次のトランプ政権にしたことと同じことをしているとお考えなのですね。

ラブロフ:
(オバマ政権が外交官とその家族を)追放したことと外交資産を押収したエピソードは、トランプ政権との関係開始にあたって明るい基盤を作っていなかったことは確実でした。だから、バイデン政権が今やっていることは同じだと思います。

カールソン:
しかし、今回のトランプ大統領は、ウクライナでの戦争を終わらせるという明確な公約を掲げて当選しました。つまり、彼は公衆の面前に登場するたびにそう言っていました。そう考えると、解決への希望があるように聞こえます。あなたが同意する条件は何ですか?

ラブロフ:
条件については、基本的に私が言及したとおりです。6月14日にプーチン大統領がこの外務省で演説した際、ウクライナ代表団の代表の声明によれば、イスタンブールで合意(ボリス・ジョンソンは拒否)された原則に基づいて交渉する用意があることを改めて強調しました。

重要な原則は、ウクライナがどの陣営にも属さないことです。そして私たちは、ウクライナに集団安全保障を提供している国々の一員となる用意があります。

カールソン:
NATO加盟はだめ?

ラブロフ:
ウクライナのNATOへの加入はだめです。絶対だめです。ウクライナに軍事基地もいけません。ウクライナの地で外国軍が参加する軍事演習もだめです。これはプーチンが繰り返し言ったことです。しかし、もちろん、それは2022年4月のことであり、今ではある程度時間が経過しているので、考慮したり、受け入れなければならない進行中の現実はあるだろうとプーチンは言っています。

3009-10.jpg
関連記事:Trump has three plans for Ukraine—Reuters

進行中の現実は、接触線だけではありません。ドネツク、ルガンスク共和国、ケルソンとザポロージェ地域で住民投票が行われた後のロシア憲法の変更があります。そして、この改訂憲法により、それらの地域は、現在、ロシア連邦の一部となっています。これが現実です。

そしてもちろん、ロシア語やロシアのメディア、ロシアの文化、ウクライナ正教会を禁止する法律を維持するような取り決めは容認できません。なぜなら、それは国連憲章の下でのウクライナの義務に違反しているからです。これについては何かしなければなりません。そして、西側が (このロシア恐怖症的な立法攻撃が2017年に始まって以来) 完全に沈黙してきたという事実、そして今も沈黙しているという事実があります。もちろん私たちは非常に特別な方法でこれに注意を払わなければならないでしょう。

カールソン:
ロシアに対する制裁は条件に入りますか?

ラブロフ:
おそらくロシアでは多くの人がそれを条件にしたいと思っていると思います。しかし、私たちが制裁下で生活すればするほど、自分を信頼し、私たちに非友好的ではなく、経済的利益と政策、特に政治を混同しない「普通の」国と協力するためのメカニズムやプラットフォームを開発する方がよいことを理解するようになってきました。そして、制裁が始まってから多くのことを学びました。

制裁はオバマ大統領の下で始まりました。ドナルド・トランプの第1期政権下でも非常に大きな形で継続されました。そしてバイデン政権下でのこの制裁は、まったく前例のないものでした。

しかし、どんな試練でも殺されないかぎり、人を強くします。この制裁が私たちを殺すことはないでしょう。だから私たちは強くなっているのです。

カールソン:
そしてロシアを東側に追いやることについてです。ワシントンの政策立案者たちが20年前に抱いていたビジョンは、ロシアを西側ブロックに参加させることで、台頭する東側とのバランスを取ろうというものだったと思います。しかし、今はそんな風になっているように思えません。それはまだ可能だと思いますか?

ラブロフ:
可能ではないでしょう。最近、プーチン大統領がバルダイ・クラブで政治家や専門家を前に講演した際、2022年初頭の状況に戻ることはないだろうと述べました。その時、彼は西側と対等になろうとするすべての試みが失敗したことに気づいたのです(自分で気づいたのですが、それだけでないことは明らかです。彼はこのことについて公に話しています)。

3009-11.jpg
関連記事:Bitcoin, Western snobbery, and why East is best:Key takeaways from Putin’s appearance at major Moscow investment forum

それはソ連が崩壊した後に始まりました。「リベラルな世界」、「民主的な世界」、「歴史の終わり」の一部になったという幸福感がありました。しかしすぐに、1990年代にはロシアは、せいぜい下位パートナーとして、あるいはパートナーとしてさえも扱われず、オリガルヒと取り決めをし、資源や資産を購入し、西側が望むように物事を組織できる場所として扱われていることが、ほとんどのロシア人にとって明らかになりました。そしておそらくアメリカは、ロシアは自分たちの懐に入っていると判断したのでしょう。ボリス・エリツィンやビル・クリントン、そしてその仲間たちが、笑い、冗談を言いながら。

しかし、大統領の任期が終了する時期に至って、ボリス・エリツィンはロシアにとってこれは望むことではないと考え始めていました。そしてプーチンを首相に任命し、早々に大統領職を退き、その後の選挙でプーチンを後継者として祝福しました。そしてプーチンは選挙に勝利しました。その経緯を見てもボリス・エリツィンがそう考えていたことは明々白々でした。

しかし、ウラジーミル・プーチンが大統領になると、ボリス・エリツィンは西側との協力に非常に前向きになりました。そして、インタビューや国際的なイベントで話すときに、かなり定期的に、自分の西側との前向きな姿勢を口にしています。

彼がジョージ・ブッシュJrやバラク・オバマと会談したとき、私はその場にいました。ブカレストでのNATO会議の後、2008年にNATO・ロシア首脳会議が開かれ、ジョージア(旧グルジア)とウクライナがNATOに加盟するだろうとの発表がありました。そして、彼らはそれを私たちに納得させようとしました。私たちは質問しました:「どうしてですか?」。昼食会が開かれ、プーチン大統領が「どうしてそうなるのですか?」と質問しました。「いい質問です。これはそうしなければならないというものではないのです。どうしてそんな質問をするのですか?」と彼らは言いました。

さて、NATOへの加盟手続きを始めるには、正式な招待状が必要です。そして、「ウクライナとジョージアはNATOに入ります」というのは掛け声にすぎません。しかし一部の人にはそれが頭を離れなくなったのです。最初はジョージア政権のミハイル・サアカシュヴィリが正気を失い、2008年の南オセチア紛争でロシアの平和維持軍とOSCE(Organization for Security and Co-operation in Europe:欧州安全保障協力機構)の保護の下で自国民に対する戦争を始めたときです。そして、ミヘイル・サアカシュヴィリがこれを開始したという事実は、彼らが開始した欧州連合の調査によって確認され、サアカシュヴィリが開始の命令を出したと結論づけられました。

ウクライナ人にとっては、もう少し時間がかかりました。彼らはこの親欧米ムードを醸成していました。まあ、基本的には欧米寄りは悪くありません。親東側も悪くありません。何が悪いかというと、あれかこれか、我々につくのか、つかなければ敵だ、という選択を国民に強いることです。

ウクライナのクーデターの前に何があったのでしょうか? 2013年、ウクライナのヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領は、欧州連合(EU)との間で、EU向けのウクライナ製品の関税を無効にする、そしてウクライナ向けのEU製品の関税を無効にする協定を結ぶ交渉を行ないました。そしてある時、ヤヌコビッチがロシア側と会談した際、私たちはヤヌコビッチに、「ウクライナは独立国家共同体(CIS)*の自由貿易地域に含まれている」と伝えました。CIS内では加盟国すべてに関税はかからないのです。私たちロシアは世界貿易機関(WTO)と17年間も交渉してきました。その結果、農業やその他多くの分野で保護が実現しました。ウクライナには、EUとの貿易で関税ゼロにすれば、ウクライナとの国境を守らなければならないと説明しました。そうでなければ、関税ゼロの欧州製品は氾濫し、私たちが保護しようとし、ある程度の保護に同意した私たちの産業を傷つけることになります。そして、私たちは欧州連合に提案しました。「ウクライナは私たちの共通の隣人です。ウクライナとの貿易を良くしたいのですね。私たちも同じ気持ちです。ウクライナは欧州とロシアの両方に市場を持ちたいと考えています。3者で車座になり大人のように議論しませんか?」欧州委員会の委員長はポルトガル人のホセ・マヌエル・バローゾでした。彼は、「私たちがウクライナで何をするかはあなたには関係ない」と答えました。
独立国家共同体(CIS)*・・・ソビエト連邦解体を目論み結成された国家連合である。本部はミンスクにある。バルト三国を除く全てのソビエト連邦構成国が「参加」したが、ジョージアが2009年に、ウクライナが2018年に脱退した。また、トルクメニスタンが2005年に「准加盟国」へ転じ距離を置いた。(ウィキペディア)

3009-12.jpg
関連記事:Nuland explains why US didn’t want Ukraine to talk to Russia

そして、ウクライナのヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領は専門家たちを招集しました。欧州連合との国境を開放してもロシアとの間に関税の壁ができるのであまり良くないだろうとの専門家たちの意見でした。そして、御存知のように、彼らは、ロシア市場が影響を受けないようにその後の動きを見てゆく、ということになりました。

そこで彼は2013年11月、すぐにはこの取り決めに署名することはできないと発表し、来年まで延期するようEUに要請しました。それが「マイダン革命」の引き金となり、そのクーデターで即座にヤヌコーヴィチはロシアに亡命し、彼の政権は終結しました。

ここで私が言いたいのは、この二者択一なのです。実際、最初のクーデターは2004年におこなわれ、2回目の選挙の後、同じヴィクトル・ヤヌコーヴィチが大統領に当選しました。西側は大騒ぎになり、ウクライナ憲法裁判所に圧力をかけ、3回目の選挙が必要であるとの判決を下させました。ウクライナ憲法では、選挙は2回しかおこなわない、とされています。しかし、憲法裁判所は西側の圧力を受けて、その時初めて憲法に違反した判決を下しました。そして、親欧米派の候補者が選ばれました。このようなことが起きて世論が沸騰していた当時、欧州の指導者たちは公に、ウクライナの人々は決断しなければならないと言っていました:「君らは我々欧米側につくのか、それともロシア側につくのか?」と。

カールソン:
しかし、それが大国の振る舞いなのです。BRICS対NATO、米国対中国という具合に。ロシアと中国の同盟は永久に続く、とあなたは言っているようですが。

ラブロフ:
まあ、露中は隣人同士です。そして、もちろん、地理はとても重要です。

カールソン:
しかし、ロシアは西欧の隣国でもあります。事実上、ロシアは西欧の一部です。

ラブロフ:
ウクライナを通して西欧はロシアの国境に近づきたいと思っています。

そして、アゾフ海にイギリス海軍の基地を置く計画がほぼ公然と議論されていました。クリミアが目をつけられていました。クリミアにNATOの基地を作ることを夢見ていたのです。

例えば、私たちはフィンランドととても友好的でした。一夜にして、フィンランド人はヒトラーの最高の同盟国であった第二次世界大戦の準備初期の時代に戻ってしまいました。そして、この中立性や友情、一緒にサウナに行ったり、一緒にホッケーをしたりしたことが一晩ですべてが消えてしまいました。だから、これが彼らの心の奥底にあって、中立性が彼らの負担になっていたのかもしれませんし、微妙な関係の取り方が彼らの負担になっていたのかもしれません。わかりません。

カールソン:
フィンランドの人々は「冬戦争」*への怒りが消えていません。それは完全にあり得ることです。
「冬戦争」*・・・第二次世界大戦の勃発から3か月目にあたる1939年11月30日に、ソビエト連邦がフィンランドに侵攻した戦争である。フィンランドはこの侵略に抵抗し、多くの犠牲を出しながらも、独立を守ったが、モスクワ講和条約により領土の一部が割譲された。(ウィキペディア)

ゼレンスキーと交渉できますか? あなたは彼が任期を過ぎたと指摘しました。彼はもはや民主的に選ばれたウクライナの大統領ではありません。では、彼は交渉相手としてふさわしいと思いますか?

ラブロフ:
プーチン大統領はこの問題についても繰り返し取り上げています。(一方)ウラジーミル・ゼレンスキーは、自分はその時の事態に対して大きな影響力を西側にも発揮できることを確信していたので、プーチン政府とのいかなる交渉も禁止する法令に署名しました。

そのエピソードの後の公開イベントで、ウラジーミル・プーチン大統領は、なぜロシアは交渉の準備ができていないのかと尋ねられます。彼は「話は逆です」と言いました。「利益のバランスに基づいて交渉するなら、明日にでも交渉の準備ができています」。しかし、ウラジーミル・ゼレンスキーは交渉を禁止するこの法令に署名をしました。まず、公にその法令を取り消すように言ったらどうですか? それを取り消せば、彼が交渉を望んでいる合図になるでしょう。実際、ウラジーミル・ゼレンスキーがおこなったのは「和平の公式」という用語の発明です。最近、彼はそれを「勝利計画」という言い方に変えました。彼らはその言い方をやめません。彼らは欧州連合の大使と会ったときや別の機会にこんな言い方をします:「我々の条件でなければ如何なる取り決めもあり得ない」と。

3009-13.jpg
関連記事:Zelensky cancels November ‘peace summit’

彼らがこの「和平の公式」に基づいて第2回首脳会談を計画していることはあなたにお話ししました。彼らは、「すでに西側と合意した取り決めの前面にロシア押し出すために我々はロシアを招待する」などと、臆面もなく言い出す始末です。

西側諸国では、「ウクライナ抜きではウクライナについて何も語れない」と言うことがありますが、それは「ロシア抜きではロシアについて何も語れない」ということも同じです。彼らが議論しているのは「ロシアはどんな条件を受け入れなければいけない」で、私たちロシアの立場などお構いなしだからです。

ところで、最近、彼らはすでに暗黙のうちに、「ウクライナ抜きではウクライナについて何も語れない」という概念に違反しています。「頭越し」もあるし、「一方的な指示」もあります。彼らは私たちの立場を知っています。私たちは「裏腹のゲーム」をしてはいません。プーチン大統領が発表したことが、私たちの作戦の目標です。それは公正です。それは国連憲章と完全に一致しています。まず、もろもろの権利の保障:言語の権利、少数民族の権利、国内の少数民族の権利、宗教的権利の保障です。そしてそれはOSCE(Organization for Security and Co-operation in Europe:欧州安全保障協力機構)の原則に完全に沿っています。

欧州安全保障協力機構はまだ生きています。そして、この組織のいくつか首脳会議では、安全保障は不可分でなければならない、誰も他人の安全保障を犠牲にして自分の安全保障を拡大してはならない、そして最も重要なことは、欧州大西洋のいかなる組織も支配権を主張してはならない、と明確に述べました。これは2010年にOSCEによって最後に確認されています。

NATOは正反対のことをしていました。だから私たちの立場には正当性があります。NATOは私たちの敷居の上に立ちはだかってはいけないのです。OSCEは、私たちを傷つけるようなことがあってはならないと合意したのですから。どうか、ロシア人の権利を回復してください。

カールソン:
アメリカの外交政策を決定してきたのは誰だと思いますか? これはアメリカ国内の問題です。誰が一連の決定を下しているのでしょうか?

ラブロフ:
想像はやめます。アントニー・ブリンケンには何年も会っていません。最後はいつだったか? 2年前だと思いますが、G20サミットです。ローマかどこか? 会議の合間でした。私はそこでプーチン大統領を代表していました。彼の秘書が会議中に私のところに来て、アントニーが10分だけ話したいと言っていると告げました。私は会議場を出ました。私たちは握手をしました。彼は緊張緩和の必要性などについて何か言いました。こんなことを暴露してしまって、彼が怒らなければいいのですが。しかし、私たちは部屋にいる多くの人の前で会っていたので、「事態を悪化させたくはありません。アメリカはロシアに戦略的敗北を負わせたいのですか?」と言いました。「いいえ、世界規模の戦略的敗北を負わせようなど考えていません。ウクライナだけの問題です」と彼は言いました。

カールソン:
それ以来ブリンケンとは話をしていないのですか?

ラブロフ:
ええ、していません。

カールソン:
バイデン政権の高官たちとはそれ以降話をしたことはありますか?

ラブロフ:
彼らの経歴に傷がつくといけませんので。

カールソン:
意味のある会話はありましたか?

ラブロフ:
いえ、まったくありません。

国際的なイベントで知り合いの何人かのアメリカ人には「こんにちは」とか、あるいは、一言二言、言葉を交わすことはあります。しかしこちらから積極的な話をすることは皆無です。

アメリカ人と私が話しているのをだれかが見たり、ヨーロッパ人が私と話しているのを見たりすると、それが伝染します。ヨーロッパ人は私を見ると逃げていきます。前回のG20会議では、馬鹿げた光景となりました。大人が、成熟した人間が子供のように振る舞います。子どもっぽいのです。信じられません。

カールソン:
2016年12月、バイデン政権の最後のとき、バイデンは米国とロシアの関係をより困難にしたとおっしゃいましたね。

ラブロフ:
オバマです。バイデンは副大統領でした。

カールソン:
そうでした。すみません。

オバマ政権は、基本的には、次期トランプ政権のために、たくさんの爆弾を残してゆきました。

選挙後のこの1ヶ月間、この地域の国境を接する国々では政治的にさまざまなことが起こっています。ジョージア、ベラルーシ、ルーマニア、そしてもちろん、シリアでは最も劇的な混乱が起きています。

これは、解決をさらに難しくするためにアメリカがやろうとしたことと関わりがあるとお考えですか?

ラブロフ:
率直に言って、目新しいことは何もありません。なぜなら、アメリカは歴史的に、外交政策において、何か問題を起こして、泥水で魚を釣れるか(厄介なことに関れるか)どうかを確認しようとしてきたからです。

3009-14.jpg
関連記事:Tara Reade: Biden leaves behind a legacy of blood and war money

イラクへ侵略、基本的に国家を破滅させたリビアへの冒険的動き。アフガニスタンからは逃げだした。彼らは非常に悪い状態でアフガニスタンを去り、金を凍結し、それを返したがらない。そんな事実にもかかわらず、今、米国が出席可能な「イベント」を組織するために国連を使用して、裏口から戻ろうとしています。

アメリカの外交政策の段取りを分析すればわかるように、これは冒険的な動きなのです。その大半は、ぴったりの言い方をすれば、「パターン(型)」です。問題を起こし、それをどう活用するのかを見定めます。

OSCEがロシアの選挙を監視していたときは、常に非常に否定的でした。ベラルーシやカザフスタンなどの他の国でも同様です。今回、ジョージア(旧グルジア)において、OSCEの監視団は肯定的な報告をしました。そして、それは無視されています。

だから、手続きにお墨付きが必要なときは、選挙結果が気に入ったときにそうするのです。選挙結果が気に入らなければ無視します。

アメリカや他の西側諸国がコソボの一方的な独立宣言を承認したとき、彼らはこれが自決であると言ったようなものです。コソボでは住民投票がおこなわれたわけではなく、一方的な独立宣言でした。ちなみにその後、セルビア人は国際司法裁判所に提訴し、国際司法裁判所は、(通常、国際司法裁判所はあまり具体的な判断を示しませんが)領土の一部が独立を宣言する場合、必ずしも中央当局と合意する必要はないという判決を下しました。

そして数年後クリミアで住民投票がおこなわれた時、多くの国際監視団が招待されました。国際機関からではなくヨーロッパやアジアや旧ソ連諸国の国会議員からです。西側諸国は「これは領土保全の侵害だから受け入れられない」と言いました。

西側諸国がやっていることは食事のメニューを前にしたときの注意深い選択みたいなものですよね。国連憲章はメニューではありません。その全体が尊重されなければならないのです。

カールソン:
アレッポの一部を占領した反体制派に誰が金を払っているのですか?アサド政権は崩壊の危機にあるのでしょうか?あなたの見解では、シリアではいったい何が起きているのですか?

ラブロフ:
この危機が始まったとき、私たちはある取り決めをしていました。私たちはアスタナ・プラットフォーム*(ロシア、トルコ、イラン)を組織しました。私たちは定期的に会合を開いています。年末か来年初めにも、現地の状況を話し合うための会合が計画されています。
アスタナ・プラットフォーム*・・・シリアの反体制勢力のメンバーがアスタナ(カザフスタンの首都)で何度か会合を開いた後に創設された。2023年に活動を停止するまで、同プラットフォームはシリアの政治家ランダ・カシスが代表を務めていた。(ウィキペディア)

その際のルールは、シリア人がお互いに折り合いをつけるのを助け、分離主義者の脅威が強くなるのを防ぐことです。アメリカがシリアの東側でやっているのは、彼らが占有している資源である販売された石油と穀物からの利益を使って、クルド人の分離主義者を手なづけることです。

このアスタナ・プラットフォームは、もし望めば、ロシア、トルコ、イランが必要に応じて動くので便利です。私たちはとても心配しています。アレッポとその周辺の動きに関して、私はトルコとイランの外務大臣と意見を交換しました。私たちは今週会うことにしました。できればドーハでの国際会議の合間に会えたら、と思います。イドリブ地域に関する協定の厳格な実施に戻る必要性について議論したいと思います。というのは、(ロシアとトルコが協定した)イドリブの「非軍事地域」がアレッポを奪取するためにテロリストたちが移動する場所になっているからです。2019年と2020年に到達した取り決めは、トルコの私たち友人たちがイドリブの緊張緩和地帯(「非軍事地域」)の状況を制御し、非テロリストであり、トルコと協力している野党からハヤト・タハリール・アル・シャム (旧ヌスラ) を分離することを規定しています。

3009-15.jpg
関連記事:Kremlin comments on military assistance to Syria

そしてもう一つの取り決めは、ダマスカスからアレッポまでのM5ルートの開通であり、これも今ではテロリストによって完全に奪われています。ですから、ロシア、トルコ、イランの外相会議を、できれば今週の金曜日(12月6日)に開きたいと思います。さらに、この3カ国の軍隊と治安関係者は相互に連絡を取りあっています。

カールソン:
しかし、今あなたがテロリストだと言われたイスラム教集団ですが、彼等を支援しているのはだれですか?

ラブロフ:
いくつか情報はあります。私たちは、すべてのパートナーと、資金調達と武装の経路を断つ方法について話し合いたいと考えています。

世間一般に流布している情報では、アメリカ人やイギリス人の名前が挙げられています。イスラエルはこの状況を悪化させることに関心がある、と言う人もいます。だから、ガザはあまり厳重な監視下に置かれていません。複雑なゲームです。多くの関係者が関わっています。私たちが今週計画している取り組みが、状況を安定させる一助になることを願っています。

カールソン:
ドナルド・トランプについてはどうお考えですか?

ラブロフ:
プーチン大統領との会談の際に何度かお会いしましたし、二国間協議のために訪問した際には、大統領執務室で2度も出迎えていただきました。

ええ、彼はとても強い人だと思います。結果を求める人。何事も先延ばしにするのが嫌いな人。これが私の印象です。彼は議論においてとても友好的です。しかし、これは、一部の人々が彼を提示しようとするように、彼が親ロシアであることを意味するものではありません。トランプ政権下で受けた制裁の額は非常に大きいものでした。

私たちは国民が投票する時にどんな選択も尊重します。私たちはアメリカ人の選択を尊重します。プーチン大統領が言ったように、私たちは現政権との接触をずっとオープンにしてきました。ドナルド・トランプが就任したら、(私たちが次のように考えていることを)理解してほしいと思います。プーチン大統領が言ったように、ボールはアメリカ側にあります。私たちは、経済、貿易、安全保障、何においても、私たちの接触、関係を断つことはありませんでした。

カールソン:
最後の質問ですが、ロシアと米国の間の紛争が激化することを、ご自身の動きがわかっているあなたはどのくらい本気で心配していますか?

ラブロフ:
そうですね、私たちはこの疑問からこのインタビューを始めたのですよね。

カールソン:
私には中心的な疑問に思えます。

ラブロフ:
そうです。ヨーロッパ諸国は互いに、ウラジーミル・ゼレンスキーが取り決めの条件を決めるのではなく、アメリカとロシアが決めることだとささやき合っています。

たとえば二人という少数の人間がすべての人間の関係を決めるようなことはあってはならないと思います。そんなことは絶対あってはなりません。それは私たちのやり方ではありません。

私たちは、国家の主権平等という国連憲章の原則が実際に体現されているBRICSや上海協力機構で支配的なやり方を好みます。

アメリカは国家の主権的平等を尊重することに慣れていません。ウクライナでロシアが勝利することは許されないとアメリカが言うとき、それはルールに基づく世界秩序を損なうことになるからです。そしてルールに基づく世界秩序とは、アメリカによる支配のことなのです。

3009-16.jpg
関連記事:Kremlin tells US it takes two to tango

ところで、NATOは少なくともバイデン政権下では、ユーラシア大陸全体、インド太平洋戦略、南シナ海、東シナ海を視野に入れています。NATOはインフラをそこに移そうとしています。AUKUSは、「カルテット」と呼ばれるインド太平洋4カ国(日本、オーストラリア、ニュージーランド、韓国)を構築しています。アメリカ、韓国、日本は、核兵器を含む軍事同盟を構築しています。NATOのイェンス・ストルテンベルグ前事務総長は昨年、サミットの後、大西洋の安全保障とインド太平洋の安全保障は不可分であると述べました。「領土防衛を超えるという意味ですか?」と問われ、彼はこう答えました。「いや、領土防衛を越えているわけではない。領土を守るためにはわれわれはその地域にいる必要がある、ということだ」と答えました。先制攻撃という要素がますます強くなっています。

私たちは誰とも戦争をしたくありません。そして、先ほど申し上げたように、2022年1月、五つの核保有国は首脳レベルで、互いに対立することを望まず、互いの安全保障上の利益と懸念を尊重すると宣言しました。また、核戦争において勝者はだれもいないので、核戦争はあり得ないとも述べています。

そして、プーチンとバイデンが6月にジュネーブで2021年に会ったとき、同じことがロシアと米国の間で繰り返し語られました。二人は、基本的に、1987年のレーガン=ゴルバチョフの「核戦争をぜったいに起こさない」声明を再度発表したのです。そして、「核戦争をぜったいに起こさない」は、どう考えても、私たちの死活的利益です。米国の死活的利益でもあることを願っています。

私がそう言うのは、少し前にホワイトハウスのコミュニケーション・コーディネーターであるジョン・カービーが、エスカレーションと核兵器使用の可能性についての質問に答えていたからです。彼は言いました。「ああ、いや、私たちは状況の悪化を望んでいません。なぜなら、もし核戦争にでもなれば、ヨーロッパの同盟国が苦しむことになるからです」。ということは、気持ちのレベルとはいえ、アメリカが苦しむことを彼は除外しているのです。そして、これは状況を少し危険にするものです。そうなるかもしれません。こんな考え方が広がれば、無謀な措置が取られることになり、これはやっかいです。

カールソン:
あなたの言に従えば、米国の政策立案者たちは、米国に直接影響を及ぼさない核戦争は可能だと想像しているということですが、あなたは「そんな風にゆくわけがない」と言っているのですね。

ラブロフ:
そのとおりです。しかし、抑止力、核抑止力政策の専門家は、それが非常に危険なゲームであることをよく知っています。限定的な核攻撃の応酬を口にすることは、大惨事を招くことであり、私たちはそれを望んでいません。

※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS(2024年12月22日)「欧米により『テロリスト』が『自由の戦士』へと塗り替えられるなか、トルコ・米国・イスラエルによるシリア分割が進行」―ぺぺ・エスコバル」
http://tmmethod.blog.fc2.com/
からの転載であることをお断りします。
また英文原稿はこちらです⇒Nuclear conflict risk, Ukraine and Syria escalation: READ Lavrov’s interview with Tucker Carlson (FULL VERSION)
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、アメリカ人保守派ジャーナリストと最近の国際問題について議論し、ロシアの立場を説明した。
出典:RT   2024年12月5日
https://www.rt.com/news/608798-russia-lavrov-interview-carlson/

寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

ご支援ください。

ISFは市民による独立メディアです。広告に頼らずにすべて市民からの寄付金によって運営されています。皆さまからのご支援をよろしくお願いします!

Most Popular

Recommend

Recommend Movie

columnist

執筆者

一覧へ