【連載】真田信秋の多事争論

連載:マトリックス洗脳社会 グローバル企業ディストピア(7)真田信秋

真田信秋

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・ソードアートオンライン・アリシゼーションが描くシュミレーション監獄

ソードアートオンラインは、いくつかのシリーズが公開されている人気アニメである。物語として、まとまっているのはソードアートオンラインの最初の作品と、次のシリーズ2作目である。ソードアートオンラインは、主人公がナーブギアと呼ばれるヘッドセットのような機械を頭に装着することで、オンラインゲームの中に入り冒険をするという物語である。

シリーズ1作目では、ナーブギアを装着してソードアートオンラインに参加したゲームプレイヤーたちは、ナーブギアを外すことができなくなり、オンラインゲームの世界の中にとらわれの身となる設定である。そして、もしオンラインゲームの世界で死んでしまえば、ナーブギアが脳を焼き切るという仕掛けを開発者の茅場晶彦が組み上げていた。

最後は、主人公の桐ヶ谷和人がオンラインゲームに隠れて参加していた開発者の茅場をゲームの中で倒すことで、ゲームプレイヤーたちはゲームから生還することができた。為政者は、現在、テレビ、新聞、SNSなどを活用してプロパガンダ攻撃をかつてなく仕掛けているが、ナーブギアのようなヘッドセットを使えば、さらなる強力な刷り込みが可能であろう。

ニュースをヘッドセットで伝えることも可能であるし、恐怖と不安をあおる映像コンテンツやゲームをヘッドセットで無償提供することも可能である。むかし私がオーストラリアのケアンズにワーキングホリデービザで滞在していた際の終盤あたりで、ホームステイではなく不動産会社から貸し物件を借りて住んでいたことがある。そこはいくつかの部屋があって、各部屋は完全に貸し切りなのだが、キッチンは共同で利用するスタイルのレンタル物件だった。当初私ひとりで全て使えていたのだが、とある日、豪州人が同じ共有スペースを共同利用する賃借人として新たにやってきた。特に賃貸人からの事前の連絡がなく、そうなったので少し驚いたが共同生活に大きな問題はなかった。

ひとつ気になったのは、その丸刈りの大柄な青年は、家に帰ると、すぐに射撃ゲームに集中して長時間のめりこんでいた。そして、夜小さな物音にも過剰に反応していた。そのゲームでは常時、狙われている感覚が刷り込まれ、そして即座に敵を見つけたら射撃しなければならない精神状態となる。そんなゲームに長時間没頭していると、精神的におかしくなることは容易に想像できる。本当の戦場にいった兵隊が精神を壊し、帰国後も長く患うのと同じ症状がでることもあるだろう。このように、ヘッドセットではないゲームですらも、人々の精神に影響を与える。今のテレビが人々の精神に影響を与えているのと同じだ。これが、没入感の強いヘッドセットが普及するとどうなるか考えると末恐ろしい。より人々は為政者のプロパガンダに支配されるようになるだろう。

これだけでも、十分に本書で取り上げるに値する話であるが、ここで私が取り上げたいのは、ソードアートオンライン・アリシゼーションという作品である。作品としては、描き方が嫌いな作品であったが、思考実験という点では参考になる作品だった。それまでのソードアートオンライン作品では、ゲーム世界に登場するゲームプレイヤー以外のキャラクターであるモンスター等はNPCと言われ、基本的に感情を持たない設定になっていた。

アリシゼーションは、これと異なり、自衛隊の作戦として、NPCの人工知能がどのように育っていくかという実験がアンダーワールドと呼ばれる仮想世界で行われている。NPCたちは人間が設定した仮想世界で、決められたプログラムの中でタブーを犯さぬように思考するように設定されているが、稀に決められたプログラムを超えて思考、行動する個体があらわれる。

このタブーを超えて思考することができたNPCは、タブーには根拠がないことを見抜き、思考の枠が崩れ去る時に大きな衝撃をうけて覚醒する。このアリシゼーションで描かれたアンダーワールドという仮想世界と、我々が生きているこの物理世界は、実は同じなのではないだろうか。

アリシゼーションの仮想世界と同様に、私たちの物理世界(認知・幻想世界)にもタブーが存在し、そのタブーの枠を超えて思考することは極端に制限されている。枠を超えた発言をすると、陰謀論というレッテルを貼られるのだ。そして動画は消され、発言はなかったことにされる。また、アリシゼーションの世界と同様に、事前に設計(プログラム)されている思考の枠を超えて、自分の意思で、考えられるようになる目覚めた個体の出現は極めて稀なのも同じである。

私たちの物理世界が、アリシゼーションの世界と同様にプログラムされた仮想世界ではないかということである。

宗教監獄、洗脳監獄として設計されている世界を私たちは生きている。この監獄を抜け出るためには、タブーを超えた思考ができるようになる必要があるが、そのためには、アンダーワールドのNPCと同じように、真実を知った時に感じる大きな衝撃に耐える必要がある。私の提唱する独立宣言は、このタブーをやぶるための意思決定であり、為政者がプログラミングした世界の枠を超えて生きる決意である。

 

 

次回に続く

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真田信秋 真田信秋

真田信秋 ニコニコ動画、ニコニコチャンネルを中心に、多事総論チャンネルを展開中。 1977年生まれ、和歌山県田辺市出身。2004年より東京在住。 地方行政機関、民間企業10社以上の幅広い参画歴を持つ。 アマゾンキンドルにて電子書籍も公開している。 コロナ茶番前より医学不要論に習い、2017年10月より薬を一切飲んでいない。 ますます悪化する属国状態を憂え、国民、一人一人が独立宣言を行うことの結果として、国民総意の独立宣言を行う「日本国独立宣言」を唱えている。 独立言論フォーラム一般会員、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)、日本列島100万人プロジェクトの趣旨に賛同するものである。

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