【連載】植草一秀の「知られざる真実」

植草一秀【連載】知られざる真実/2024年12月30日 (月) 苛政と酷税に耐え忍ぶ日本国民

植草一秀

日本経済の低迷が続く。

各国のドル表示名目GDPの推移を見ると日本経済の低迷がよく分かる。

1995年の名目GDPを100としたとき、2023年のGDPはどれだけになったか。

米国は358、中国は2416になった。

しかし日本は76。

28年の時が過ぎ去り、GDPは4分の3に縮小した。

一人当たり実質賃金は1996年から2023年までの27年間で16.7%減少した。

このなかで一般会計国税収入は1996年の52.1兆円が2023年の72.1兆円へ20兆円増加した。

とりわけ拡大したのが消費税。

1996年度の消費税収(国税)は6.1兆円だったが2023年度には23.1兆円になった。

20兆円税収が増えたが、そのうち17兆円が消費税の増大である。

一般会計税収は2020年度が60.8兆円。

2023年度は72.1兆円。

この3年間で国税収入は11.3兆円増えた。
国税庁の民間給与実態調査では1年を通じて勤務した給与所得者の51%が年収400万円以下、21%が年収200万円以下である。

10月27日の衆院総選挙で自公は過半数割れに転落。

無所属で当選した裏金議員4名、自民系無所属議員2名を合わせても自公会派は221名にしかならなかった。

衆院過半数は233.

過半数に12名も足りない。

本来は政権を失う局面。

ところが、自公は少数与党で石破内閣を存続させた。

国民民主が自公にすり寄ったのがその原因。

国民民主は「手取りを増やす」と豪語したが、現状では年収600万円の世帯で税負担が1年間で1万円程度しか減らないという結果しか示せていない。

3年間で国税収入は11.3兆円も増えた。

少なくとも10兆円減税が決定されてしかるべきだが、国民民主の意向を取りいれた減税は0.7兆円規模。

お話にならない。

日本国民はどこまでおとなしいのか。

なぜ、消費税率を5%にすることを国民の声としてこだまさせないのか。

選挙期間中は国民民主も「消費税率5%」と叫んでいた。

「維新」も消費税減税を公約に掲げていた。

選挙で野党が国会過半数を確保したのだから、野党が結束して「消費税減税」実現に総力を結集するべきだが、国民民主、維新、立憲民主が消費税減税を一切主張しない。

この消費税減税こそ、財務省が絶対に阻止したい施策である。

国民民主、維新、立憲民主は財務省の協力隊である。

消費税の特徴は所得の少ないすべての国民からむしり取る税金。

この税がいまや最大の税目になっている。

消費税で巨大な税収を獲得すると何を実現できるか。

答えは明白だ。

大企業の税負担と富裕層の税負担を激減させることができる。

実際に1989年度から2023年度までの税収推移を見てみよう。

消費税で509兆円もの金を国民から巻き上げた。

その509兆円を一体何に使ったのか。

同じ期間に法人の税負担は319兆円減った。

同じ期間に個人の所得税・住民税負担は286兆円減った。

消費税の税収のすべてを巨大企業と富裕層の減税に使った。

減税規模は605兆円。

消費税収すべてに、さらに100兆円も上乗せして減税を行った。

これほどむごい政治を実行している国は世界に一つもない。

一般国民を踏みつけにして、大企業と富裕層に「ばらまき財政」を実行している。

それなのに、日本国民は従順にこの悪政に耐え続けるのだろうか。

※なお、この記事は下記からの転載であることをお断りします。
植草一秀の『知られざる真実』2024年12月30日 (月)「苛政と酷税に耐え忍ぶ日本国民」
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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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