1月1日のウクライナ情報
国際1月1日日分です。
安斎育郎
1月1日のウクライナ情報 安斎育郎
❶ラブロフ露外相がスプートニクからの取材に今年を総括 主な発言(2024 年 12月 29 日)
・ロシアは、中・短距離ミサイルの陸上配備に関して、ロシアが一方的に課していたモラトリアムを放
棄せざるを得なくなるだろう。今日これは事実上、不可能だからだ。
・高専米国と NATO は、ロシアに対して新たなミサイルの脅威を作り出せば、軍事技術的対抗措置
という形での決定的な反撃を受ける。
・ロシアは戦略核戦力の再武装の中で新 START 条約に明記された制限を明確に守っている。
・ロシアは、米国が反ロシア路線を停止するまで、米国とのいかなる軍備管理交渉にも応じない。
・ロシアは、ウクライナ情勢の解決に向けた交渉に応じる用意がある。だがそれは危機の根本原因を
取り除くことを目的とし、「現場 」の実情を考慮したものでなければならない。
・米国政権はウクライナ交渉を開始させるハンドルを全て握っている。紛争停止を提案したければ、
武器輸出を止めるはずだ。
・ウクライナでの停戦の可能性についてウクライナと西側諸国が議論しているのは、宇軍のポテンシ
ャル拡大のための休息が必要だからだ。だが、これは袋小路に至る道である。
・ロシアには、シリアの新当局が国内のロシア軍基地に関する協定を改定したことは通知されておら
ず、この点に関してシリアからの照会もなかった。
・ロシアのイランとの戦略的パートナーシップ条約は調印の準備が整っており、シリア情勢に照らし
た修正は一切必要ない。
・ロシアとイランの間の新条約には、両国の安全保障と防衛協力へのコミットメントが明記される。
https://sputniknews.jp/20241229/19460516.html
❷ロシアのハイブリッド攻撃警告 ウクライナ大統領府長官(KYODO, 2024 年12 月 30 日)
【キーウ共同】ウクライナのイエルマーク大統領府長官は 29 日、ロシアが従来の軍事力だけでなく、
インフラへの妨害工作など「ハイブリッド攻撃」を拡大させ、北大西洋条約機構(NATO)諸国の国境付
近でも挑発行為に出る恐れがあると警告した。
25 日に NATO 加盟国のフィンランドとエストニアを結ぶ海底ケーブルが損傷した。ロシアが欧
米に科された制裁を逃れるために使っている「影の船団」が関与した疑いがあるとみられている。
イエルマーク氏は「影の船団がロシアの唯一の脅威ではない」として、ロシアに軍事協力する北朝
鮮やイランの脅威についても懸念を表明した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/084ffa2486ffe122692eb90e03ac9fe6c8ad4b22
❸電力停止でスロバキアを非難 ウクライナ大統領、「脅迫」(2024 年12 月29日)
【キーウ共同】ロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は 28 日、親ロシア的な立場
で知られるスロバキアのフィツォ首相がウクライナへの電力供給を停止すると「脅迫」したと非難した。
ロシアのプーチン大統領の命令でフィツォ氏が「第 2 のエネルギー戦線」を開こうとしていると X(旧ツイッター)で主張した。
ゼレンスキー氏は、ロシア産ガスの自国経由での欧州向け輸送を年内限りで停止すると表明し、ス
ロバキアなどは延長を求めている。欧州メディアによると、フィツォ氏は 27 日、ガス輸送を停止すれ
ば報復としてウクライナへの電力供給を止めると述べた。
スロバキアは欧州連合(EU)加盟国。ゼレンスキー氏は 28 日の演説で、スロバキア経由で EU か
らウクライナに輸入される電力は総量の 19%を占めると説明。この問題に関し「他の EU 諸国や EU
欧州委員会とも協力している」と述べ、フィツォ氏をけん制した。
フィツォ氏は 22 日にモスクワでプーチン氏と会談し、ガス供給問題を協議していた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/59992cdd127717166d3926c3f341710ceedaab20/images/000
❹ロシア、モルドバへのガス停止 新年から、大規模停電も(KYODO, 2024 年12 月 29 日)
【モスクワ共同】ロシア政府系天然ガス企業ガスプロムは 28 日、旧ソ連構成国でウクライナの隣国
モルドバへのガス供給を来年 1 月 1 日から停止すると発表した。タス通信などが報じた。供給停止に
より、火力発電所の燃料不足に伴う大規模停電が起きる可能性が指摘されている。
ガスプロムは供給停止の理由として、モルドバ側が支払い義務を定期的に履行しない重大な契約
違反を指摘。親欧米政権のモルドバ側は、ロシア側が主張する約 7 億 900 万ドル(約 1100 億円)
の債務は存在しないと主張している。
ロイター通信によると、ロシアはモルドバに年間 20 億立方 m のガスを供給。しかし主要輸送ル
ートとなってきたウクライナ経由は、ロシアとウクライナのガス通過契約が今月 31 日に期限切れを迎
える。ガスプロムはモルドバ側に対し、代替ルートで供給する前に債務を支払うよう求めている。
モルドバで親欧米の立場のレチャン首相はロシアがエネルギーを政治的武器として利用している
とガスプロムの決定を非難した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/920cf6a240716b7966642ef7d900155d050e4573
❺デルガチでイギリス軍将校が爆破され粉々にされる┃ロシアがダチェンスコエを
完全制圧(2024年 12 月 28 日)
ウクライナ軍と NATO 軍の状況は、戦闘接触線全体にわたって急速に悪化し続けている。ロシア軍
は過去 5 日間で前線の主要地域すべてで大きな成果を上げたと報告されている。ロシア連邦国防省
もこの事実を公式に確認した。特に、数時間前、ロシア国防省は、ハリコフ地域とドネツク人民共和国
の戦略的に重要な 2 つの集落の解放を公式に発表した…………
❻激怒する NATO: ロシアのフラットノズルエンジンを搭載した最新の Su-57Mが戦場に投入され、F-16 を撃墜(2024年12月28日)
2024 年 12 月 26 日、全世界がカザフスタンの都市「アクタウ」でのアゼルバイジャン航空の旅客
機の墜落について議論していたとき、ロシアのレーダーと追跡装置はウクライナ南部上空で敵の空対
空ミサイルの発射を検知した。後に、これらのミサイルはウクライナ空軍の 12 機の戦闘機によって発
射されたことが判明した。これらの戦闘機の中には、アメリカの F-16 戦闘機も数機含まれていたこ
とが確実にわかっている。…..
https://youtu.be/ZWSaTluDE7c
❼ロシアのハイブリッド攻撃警告 ウクライナ大統領府長官(共同通信、2024年12月29日)
【キーウ共同】ウクライナのイエルマーク大統領府長官は 29 日、ロシアが従来の軍事力だけでなく、
インフラへの妨害工作など「ハイブリッド攻撃」を拡大させ、北大西洋条約機構(NATO)諸国の国境付
近でも挑発行為に出る恐れがあると警告した。
25 日に NATO 加盟国のフィンランドとエストニアを結ぶ海底ケーブルが損傷した。ロシアが欧
米に科された制裁を逃れるために使っている「影の船団」が関与した疑いがあるとみられている。
イエルマーク氏は「影の船団がロシアの唯一の脅威ではない」として、ロシアに軍事協力する北朝
鮮やイランの脅威についても懸念を表明した。
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/“>https://www.msn.com/ja-jp/news/world/
❽ロシア、最後のウクライナ経由ガス供給 輸送契約は年末で終了(2024年12月31日)
[30日 ロイター] – ロシアは30日、ロシア産ガス輸送協定の期限が残りわずかとなる中、ウクライナ経由のガスを欧州に輸送した。ロシアとウクライナの間で結ばれている5年間のガス輸送契約は、年末に期限が切れる。これにより、ロシアは欧州のガス市場における支配力をほぼ完全に失う形となる
とみられる。
ロシアは半世紀をかけて欧州ガス市場でのシェアを築き上げ、ピーク時には35%に達した。2022
年のウクライナ侵攻以降、ノルウェー、米国、カタールなどにシェアを奪われ、EUのロシア産ガスへの依存は低減した。
ウクライナのシュミハリ首相は16日、同協定について、来年以降延長されないと言明。これに対し、
ロシアのプーチン大統領は26日、新たな協定に署名する時間は今年残されていないと述べ、協定の
延長を拒否したウクライナを批判した。
https://www.msn.com/ja-jp/money/markets/
❾スロバキア、ウクライナへの対抗措置検討 ロシア産ガス供給停止なら
[プラハ 27日 ロイター] – スロバキアのフィツォ首相は27日、フェイスブックに投稿したビデオメッセージで、ウクライナがスロバキアへのロシア産ガス供給を想定通り停止した場合には、来年1月1日から電力供給支援を停止するなど、ウクライナに対抗措置を取ることを検討する方針を示した。
スロバキアは、ウクライナ経由のロシア産ガス供給を来年も確保したい考えだ。しかし、ウクライナ
は、今月末に期限を迎えるロシアとのガス輸送契約の更新を拒否している。
スロバキアは、代替輸送ルートを利用すればコストが大幅に増え、同国の輸送事業にも打撃となり、
5億ユーロの損失を被ることになるとしている。
フィツォ氏は「来年1月1日以降、(ガス輸送の)状況を見極め、ウクライナへの対抗措置の可能性を
検討する」と述べた。
https://www.msn.com/ja-jp/money/markets/
❿ジョージアでロシア寄り政党支持の新大統領就任…前大統領は「議会選で不正」と主張、首都で抗議デモも(2024年12月29日)
ロイター通信によると、旧ソ連構成国ジョージアで29日、ロシアに融和的な与党「ジョージアの夢」
が支持する保守系のミハイル・カベラシビリ氏(53)が新大統領に就任した。欧米がジョージアをロシ
アとの戦争に巻き込もうとしていると主張するなど反欧米的な姿勢で知られ、29日の就任式後、
「(国家の)発展に必要なのは平和だ」と述べた。
サロメ・ズラビシビリ前大統領(72)は与党が勝利した10月の議会選で不正があったと主張し、退
任を拒否していたが、29日に官邸を退去した。カベラシビリ氏を正統な大統領と認めず、政治活動を
続ける意向を示した。首都トビリシでは29日、新大統領就任に抗議する大規模なデモが行われた。拘
束者も出ている模様だ。
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/
〈関連情報〉
旧ソヴィエト連邦のジョージアで 29 日、親ロ派与党「ジョージアの夢」の支援を受ける元プロサッカ
ー選手のミハイル・カヴェラシヴィリ氏(53)が新大統領に就任した。首都トビリシでは多くの市民が
議した。
今年 10 月の総選挙で勝利した「ジョージアの夢」は、欧州連合(EU)加盟申請を停止。これに多く
の市民が反対し、政情は不安定になっている。
サロメ・ズラビシヴィリ前大統領は 29 日、退任を拒否。「正当な大統領は自分だけ」だと主張した。
ズラビシヴィリ氏は大統領官邸の前に集まった群衆を前に、自分は官邸を離れるものの、新大統領
に正当性はないと批判した。
「この建物に象徴性があったのは、正当な大統領がここにいた間だけだ」と、ズラビシヴィリ氏は述
べた。
カヴェラシヴィリ氏は、大統領官邸の近くにある議会議事堂で宣誓就任式に臨んだ。家族のほか、イ
ラクリ・コバヒゼ首相が出席した。
就任した新大統領は、ジョージアの「伝統、価値観、国民としてのアイデンティティー、家族や信仰の
神聖さ」をたたえた。
「ジョージア国民にとって常に、平和が主な目標と重要な価値の一つだった。国土と伝統を守るた
めに苦闘を繰り返したこの国の歴史が、そのことをはっきりと示している」と、新大統領は述べた。
ジョージア政界の主要野党 4 党はカヴェラシヴィリ氏を大統領として認めず、議会をボイコットして
いる。
「ジョージアの夢」の元議員だったカヴェラシヴィリ氏は今月、議会の投票で大統領に選ばれた。ほ
かに候補者はなく、ズラビシヴィリ前大統領はこの経緯を「茶番」と呼んでいる。
「ジョージアの夢」は近年、権威主義的な傾向を強めている。報道機関、外国から資金援助を受ける
非政府団体、性的少数者コミュニティーを抑圧するロシア式の法律を次々と成立させている。
ロシアが 2022 年 2 月にウクライナ全面侵攻を開始した際には、西側諸国の制裁に参加せず、西
側を「世界戦争党」と嘲笑した。
他方、ジョージア国民の圧倒的多数は EU 加盟を支持している。ジョージア憲法には EU 加盟が国
の目標として明記されている。
しかし今年 11 月に「ジョージアの夢」は、EU 加盟の取り組みを 2028 年まで延期すると発表。こ
れに反発した国民らが数日にわたり、首都トビリシなど各地で抗議デモを繰り広げ、一部で機動隊が
催涙スプレーや水を放つなどした。
28 日には大統領就任式に先立ち、ジョージアと EU の旗を手にした人たちが首都で集まり、数キ
ロにもなる人間の鎖を作った。
参加者の一人は AP 通信に対して、「この小さい国をなんとかしてロシア帝国の爪から引きはがす
ため、家族全員とこうして道に立っている」と話した。
アメリカ政府は 27 日、「ジョージアの夢」を創設し、ジョージアの最高実力者と目されている大富豪
ビジナ・イワニシヴィリ元首相を制裁対象に指定すると発表した。
ジョージアは議会制民主主義の国で、大統領が国家元首。首相は議会の議長を務める。
ズラビシヴィリ氏が 2018 年に大統領となった際には、「ジョージアの夢」の支援を受けていたもの
の、同党が過半数を得た今年 10 月の議会選挙について「ロシアの特別工作」と非難し、議事堂前で
EU 加盟を求めるデモ隊に同調した。
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/
⓫ロシア、来年初からモルドバ向けガス供給停止 深刻な電力不足懸念(ロイター、2024年12月30日)
[モスクワ/キシナウ 28日 ロイター] – ロシア政府系天然ガス企業ガスプロムは28日、モルドバ
に対するガス供給を来年1月1日から停止すると発表した。未払い債務の存在を理由に挙げており、モ
ルドバは深刻な電力不足に陥ることになる。
ガスプロムは、モルドバへのガス供給契約破棄も含めたいかなる手段を行使する権利を留保すると
強気の姿勢だ。
ロシアはモルドバに年間約20億立方メートルのガスを供給。ウクライナを経由し、モルドバから事
実上分離独立した「沿ドニエストル共和国」の火力発電所を通じて電力としてモルドバに送られてき
た。
ウクライナ経由のガス供給はモルドバとロシアの通過契約が年末で期限を迎え、スロバキアやオー
ストリア、ハンガリー、イタリアなども影響を受けるが、モルドバの打撃が最も大きい。
モルドバで親欧米の立場を取るレチャン首相は、ロシアがエネルギーを政治的武器として利用して
いると非難。一方ロシア側はモルドバには7億0900万ドルの債務があると主張し、ガスプロムは代替ルートで供給する前にこの債務を支払うよう求めている。
ガス供給が止まれば、モルドバと沿ドニエストル共和国では大規模な停電が発生する恐れが出てい
る。
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/
2025年1月1日 ウクライナ情報pdfは → こちら
1940年、東京生まれ。1944~49年、福島県で疎開生活。東大工学部原子力工学科第1期生。工学博士。東京大学医学部助手、東京医科大学客員助教授を経て、1986年、立命館大学経済学部教授、88年国際関係学部教授。1995年、同大学国際平和ミュージアム館長。2008年より、立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長。現在、立命館大学名誉教授。専門は放射線防護学、平和学。2011年、定年とともに、「安斎科学・平和事務所」(Anzai Science & Peace Office, ASAP)を立ち上げ、以来、2022年4月までに福島原発事故について99回の調査・相談・学習活動。International Network of Museums for Peace(平和のための博物館国相ネットワーク)のジェネラル・コ^ディ ネータを務めた後、現在は、名誉ジェネラル・コーディネータ。日本の「平和のための博物館市民ネットワーク」代表。日本平和学会・理事。ノーモアヒロシマ・ナガサキ記憶遺産を継承する会・副代表。2021年3月11日、福島県双葉郡浪江町の古刹・宝鏡寺境内に第30世住職・早川篤雄氏と連名で「原発悔恨・伝言の碑」を建立するとともに、隣接して、平和博物館「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」を開設。マジックを趣味とし、東大時代は奇術愛好会第3代会長。「国境なき手品師団」(Magicians without Borders)名誉会員。Japan Skeptics(超自然現象を科学的・批判的に究明する会)会長を務め、現在名誉会員。NHK『だます心だまされる心」(全8回)、『日曜美術館』(だまし絵)、日本テレビ『世界一受けたい授業』などに出演。2003年、ベトナム政府より「文化情報事業功労者記章」受章。2011年、「第22回久保医療文化賞」、韓国ノグンリ国際平和財団「第4回人権賞」、2013年、日本平和学会「第4回平和賞」、2021年、ウィーン・ユネスコ・クラブ「地球市民賞」などを受賞。著書は『人はなぜ騙されるのか』(朝日新聞)、『だます心だまされる心』(岩波書店)、『からだのなかの放射能』(合同出版)、『語りつごうヒロシマ・ナガサキ』(新日本出版、全5巻)など100数十点あるが、最近著に『核なき時代を生きる君たちへ━核不拡散条約50年と核兵器禁止条約』(2021年3月1日)、『私の反原発人生と「福島プロジェクト」の足跡』(2021年3月11日)、『戦争と科学者─知的探求心と非人道性の葛藤』(2022年4月1日、いずれも、かもがわ出版)など。