【連載】植草一秀の「知られざる真実」

植草一秀【連載】知られざる真実/2025年1月 3日 (金) 2025年金融市場が始動

植草一秀

日本で正月三が日は休日だが世界は異なる。

元旦は休日だが1月2日から業務が行われている。

金融市場が開き、金融変動が観測されている。

日本でも先物市場では1月3日に休日取引が行われている。

2023年から2024年にかけて日本株価は急騰した。

私は23年年初に『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社)を上梓。

表紙帯に「日経平均3万6000円突破も!」と明記した。

2023年の大発会=1月4日の日経平均株価安値は2万5661円。

日経平均株価3万6000円を信じる者は皆無に近かった。

しかし、日経平均株価は2024年1月15日に3万6000円に到達。

「3万6000円突破」がちょうど1年後に実現した。

2024年初に上梓した『資本主義の断末魔』(ビジネス)

表紙帯に「2024年、日経平均ついに史上最高値を更新か!」と明記した。

2024年、日経平均株価は史上最高値を更新。

7月11日に4万2426円の史上最高値を記録した。

「卯跳ねる、辰巳天井」と言われる。

23年は卯年、24年辰、25年巳の年回りである。

2025年は油断のならない年になる。

2024年7月末から8月にかけて日本株価は歴史的暴落を演じた。

7月11日に4万2426円の史上最高値を記録した日経平均株価が8月5日に3万1156円の安値を付けた。

3週間で1万1270円、26.6%の大暴落を演じた。

金融市場では「バブル崩壊」との声も聞かれた。

「日本株価はげ下落トレンドに転じた」

「日本株価は簡単に価格を回復しない」

との声がこだました。

株価暴落の契機が日銀による金利引き上げ措置だったから、STOCK VOICEという株式市場専門チャンネルで日銀に対する激しい私憤をぶつける「自称専門家」も観察された。

『金利・為替・株価特報』

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では、暴落さなかの8月7日に執筆した8月13日号タイトルを

「日銀政策修正への揺さぶり投機に冷静対処必要」

とし、

「一気に27%株価急落が生じたため、株価が戻る局面で戻り売りに押されることが考えられるが、ファンダメンタルズの急変がなければ、緩やかに株価が反発する可能性が高いと考えられる。」

と記述した。

第9節【投資戦略】タイトルを

「相場下落はチャンスの創出」

とし、

「日銀の柔軟政策対応で事態好転可能性は高まりつつある。逆張り発想基軸に。」

と記述した。

日経平均株価は順調に値を戻し、10月には4万円の大台を回復した。

日経平均株価が暴落し続けないと判断した最大の根拠は、日本株価が指標から判断して「割高」であるとは判定できないことにあった。

株価の代表的な指標に「PER=株価収益率」がある。

株価が一株利益の何倍であるかを示す指標。

日経平均株価の2024年末値は3万9894円。

今期予想利益基準でPERは16.1倍。

PERの逆数は株式益利回り。

一株利益が株価の何%であるかを示す。

利回りは6.2%。

また、今期利益は3%増益が予想されている。

10年国債利回り1%と比較して株式利回りは圧倒的に高い。

このことは日本株価が割高ではないことを示している。

しかし、2025年にはいくつかの懸念材料がある。

米国株式市場と中国株式市場の動向である。

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ぜひご高覧賜りたい。

※なお、この記事は下記からの転載であることをお断りします。
植草一秀の『知られざる真実』2025年1月 3日 (金)「2025年金融市場が始動」
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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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