1月4日のウクライナ情報
国際1月4日日分です。
安斎育郎
1月4日のウクライナ情報 安斎育郎
❶ウクライナの頑固さが欧州を凍らせる?ロシアがガス供給を停止、ガスプロムが発表…|
2025年の最初の戦い?(2025年1月1日)
ロシアは、2025年1月1日の早朝に重要な輸送協定が失効したことを受け、ウクライナを通過する同国最古の欧州向け天然ガスパイプラインの運行を停止した。協定の更新ができなかったことは、この地域のエネルギー動向に大きな変化をもたらす。モスクワによる2022年のウクライナへの全面侵攻はすでに、ロシア産天然ガスへの依存を減らす欧州の動きを加速させており、キエフはこれを戦略的勝利として広く歓迎している。
https://youtu.be/MVgtJIYLsFU
https://www.youtube.com/watch?v=MVgtJIYLsFU
❷ロシアとウクライナ、大規模な捕虜交換を実施(2025年1月1日)
ウクライナは大規模な捕虜交換の一環として、150人のロシア軍兵士を解放したと、モスクワの国防省が月曜日にテレグラムで発表した。
キエフは同数の兵士を受け取った、と同省は付け加えた。
交換取引はアラブ首長国連邦が仲介したと同省は述べた。
同省によれば、解放されたロシア兵は全員、最初にベラルーシに移送され、そこで必要な医療的・心理的支援を受け、親族や愛する人と連絡を取る機会を与えられたという。
同省によれば、解放された兵士たちはさらなる治療とリハビリのためにロシアに移送される予定だという。
このような交換は、10月に両国がそれぞれ95人の兵士を交換して以来初めてである。
この交換もUAEが仲介した。
11月にもモスクワとキエフは戦死した兵士の遺体を交換し、ウクライナは563体、ロシアは37体を受け取った。
その後、ウクライナのゼレンスキーは、この交換を確認したが、200人近いウクライナ人が返還されたと主張した。
「ロシアの捕虜からウクライナ国民が戻ってくることは、我々一人ひとりにとっていつもとても良いニュースだ。私たちのチームは189人のウクライナ人を帰国させることができました」と彼はテレグラムに書いた。
モスクワは以前、キエフが兵士の拘束からの帰還に消極的だと非難していた。
12月上旬、ロシアの人権オンブズマン、タチアナ・モスカルコワは、ウクライナ当局が捕虜交換の検討を拒否したとする、拘束されている軍人のリストを公表した。
「ゼレンスキーは捕虜となった630人のウクライナ人を必要としていない。彼は彼らを見捨てたのです」と外務省のマリア・ザハロワ報道官は当時の発表についてコメントした。
12月中旬、ハンガリーのオルバン首相は、モスクワとキエフの間で大規模な捕虜交換を仲介することを提案した
後にオルバン首相は、ウクライナはオルバン首相の提案を拒否したと述べた。
ゼレンスキーの補佐官は、オルバンをロシアのプーチン大統領の「お節介なメッセンジャー」と呼び、平和のために働いているはずの「誰も」そのような人たちを必要としていないと付け加えた。
クレムリンのペスコフ報道官は、ロシアはオルバンの提案を受け入れる用意があり、ハンガリー大使館にいくつかの関連した提案を持ち込んだと述べた。
https://x.com/Tamama0306/status/1874099388790038809?s=09
❸「恐れる必要はない」:ゼレンスキー大統領、オルバーン氏とフィツォ氏にロシアとの戦いに加わるよう懇願!(TN World,2025年1月1日)
ゼレンスキー大統領が新年にロシアを倒すと誓ったことは、2025年に向けて反抗的な雰囲気を醸成し、モスクワの侵略に対してウクライナ国民と同盟国を結集させるものとなった。一方、プーチン大統領の演説は、ロシア国民に、現在進行中の課題の中で団結と進歩を保証し、将来に対する彼らのビジョンの鮮明な対比を浮き彫りにした。
❹プーチン大統領とトランプ大統領、ウクライナ戦争、NATOの将来、ロシアと米国の関係をめぐって対立 | 2024年のベスト | 米国ニュース(2025年1月1日)
ドナルド・トランプ氏が米国大統領として2度目の任期でホワイトハウスに戻る中、トランプ氏と次期ロシア大統領ウラジミール・プーチン氏がロシア・ウクライナ戦争、米ロ関係、NATOなどについて語る最も興味深い瞬間をいくつか見てみよう。
https://youtu.be/DXupeBbPvX0
https://www.youtube.com/live/DXupeBbPvX0
❺特別軍事作戦 1月1日の概要 露国防省(2025年1月1日)
ロシア国防省は、特別軍事作戦の進捗状況に関する日報を発表した。スプートニクが最も重要な項目をまとめた。
●ウクライナ軍は過去24時間でクルスク方面において兵士480人以上、装甲車9両を失った。
●ロシア軍の「セーベル」(北方面)部隊は、ハリコフ方面でウクライナ軍の自動車1台や152mm榴弾砲「D-20」1門を破壊した。同部隊の活動地域でウクライナ軍は最大45人の兵士を失った。
●ロシア軍の「ザーパド」(西方面)部隊は、敵の戦車1両、ピックアップトラック3台、仏製の155mm自走榴弾砲「カエサル」、122mm 自走榴弾砲「グヴォズジーカ」、米国製の105mm榴弾砲「M119」、英国製の105mm榴弾砲「M119」を破壊した。 同部隊の活動地域でウクライナ軍は最大330人の兵士を失った。
●ロシア軍の「ツェントル」(中央方面)部隊は、戦車2両、英国製の装甲兵員輸送車「スパルタン」、米国製の装甲兵員輸送車「M113」、自動車3台を破壊した。同部隊の活動地域でウクライナ軍は最大235人の兵士を失った。
●ロシア軍の「ボストーク」(東方面)部隊の活動地域で、ウクライナ軍は兵士150人を失った。
●ロシア軍の「ドニエプル」部隊の活動地域で、ウクライナ軍は最大40人の兵士を失った。
●ロシアの防空システムは、米国製のロケット砲システム「ハイマース」及び多連装ロケットシステム「ウラガン」から発射された7発、飛行機型ドローン66機を撃墜した。
https://sputniknews.jp/20250101/11-19467293.html
❻ウクライナ紛争に関する交渉の開始は米国次第=ラブロフ外相(2024年12月28日)
もし米国が実際にウクライナ紛争に終止符を打ちたいのであれば、ウクライナへの武器供与を停止し、ウクライナ政府に交渉プロセスの再開を要求するはずだ。ロシアのラブロフ外相がスプートニクのインタビューで述べた。
「今のところ、私たちが目にしていることから判断すると、ウクライナと西側諸国は、小休止を取り、その間にウクライナ軍の軍事力を強化するために、ある種の停戦の可能性について議論し始めた。そ
してその後、ロシアに『戦略的敗北』を与える努力を再開するのだ。もちろん、これは行き止まりの道だ。これにはいかなる疑いの余地もない」
https://x.com/sputnik_jp/status/1873222359680991406
❼ロシア、ウクライナ経由のガス輸送を停止(2025年1月1日)
ロシアのガスプロムは、ウクライナ企業ナフトガスとの5年間の契約満了のため、モスクワ時間午前8時にウクライナを通過するガス輸送を停止した。
キエフはロシアのガス輸送の停止を確認した。ウクライナのドイツ・ガルシチェンコ・エネルギー大臣は、「これは歴史的な出来事だ。ロシアは市場を失い、経済的損失を被るだろう」と述べた。この動きは「国家安全保障のため」に行われたと声明は述べた。
キエフは以前、交通契約延長に関する交渉を拒否していた。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、2025年初めまでに新たな協定を締結することは不可能だと述べた。
ロシアからウクライナを通るガスパイプラインはスロバキア領土に入っているが、スロバキアはロシアからのガス供給の継続を望んでおり、ウクライナに協定の延長を要求していた。スロバキアのロベルト・フィコ首相は、ウクライナによるロシア・ガスの輸送停止によるEUの損失は年間600億~700億ユーロと見積もった。フィコ氏は公開書簡でEU指導部に演説し、ガス輸送を拒否したウクライナとウラジミール・ゼレンスキー大統領の決定を批判した。同氏によれば、EUの損失はロシアの損失とは比較にならないものであり、同氏の推定額は20億ユーロだという。
https://x.com/Z58633894/status/1874372622504648872?s=09
❽ロシアが日本と韓国の攻撃対象リストを作成 戦争想定した機密資料で明らかに 英メディアが報道(FNNライムオンライン、2025年1月1日)
ロシアが日本や韓国との戦争を想定して攻撃対象のリストを作成していたと、イギリスメディアが報じました。
イギリスの経済紙「フィナンシャル・タイムズ」が2024年12月31日に掲載した記事によりますと、リストは2014年までにロシア軍が将校の訓練用に作成した機密資料の中で確認されたもので、ロシアがNATO(北大西洋条約機構)との戦争が拡大した事態を想定しているものだということです。
リストに書かれていた160の攻撃対象は、日韓の82カ所の軍事施設をはじめ、茨城県の東海村の原子力関連施設や道路や橋などを含む、民間のインフラも含まれているということです。
資料には、北海道の奥尻島にあるレーダー基地の詳細な情報が写真とともに記されていたほか、島が地図上で爆発するシミュレーション映像もあったということです。
また、ロシアの爆撃機が2014年に日本と韓国の防空能力を試すために両国周辺を飛行し、対応した日韓の戦闘機などの詳細についての報告もあったとしています。
フィナンシャル・タイムズは、資料の内容は「現在もロシア軍の戦略に関連しているとみられる」と伝えています。
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/
❾ロシア・ウクライナ戦争の影響で、ウクライナ経由のガス供給が停止…欧州全体が深刻なガス不足に直面(2025年1月2日)
ウクライナ経由のロシア産ガス供給が1日(現地時間)から途絶える。戦争中のロシアとウクライナ間で締結されていた、欧州向け天然ガス供給のパイプライン輸送契約が、2024年12月31日で終了するためだ。
ウクライナ戦争が3年近く続く中でも、ガスパイプラインは稼働を続けていたが、ウクライナが契約延長を拒否したことで運用が停止される。欧州連合(EU)は厳冬期に、全体のガス供給の約5%を失うこととなった。
ガスの短期的な価格上昇は不可避
ウクライナ経由のロシア産ガス供給停止は予想されていたものの、欧州は暖房用ガス需要が増加する厳冬期に、ガス供給の打撃に直面することとなった。少なくとも短期的な価格上昇は避けられない見通しだ。
英紙のフィナンシャル・タイムズ(FT)は、BNPパリバ(BNP Paribas)の先任商品戦略アナリスト、アルド・スパニエル氏の言葉を引用し、「供給減少がガス価格に織り込まれていると考えられるが、当初の急激な価格上昇は避けられない」と指摘した。
ロシアがウクライナのパイプラインを通じて欧州にガスを供給する契約は、2019年末に更新された。両国のガス会社は、10年契約の期限切れ前日に更新に合意した。当時、EU執行委員会はガス供給契約を積極的に支持していた。しかし、2022年2月にロシアがウクライナに全面侵攻して以降、状況は一変した。
EU執行委員会は加盟国に、ロシアの化石燃料依存度を下げるための代替策を模索するよう勧告した。親ロシア的な政権下にあったハンガリーとスロバキアはこの動きに抵抗し、契約更新を積極的に推進した。この2か国のうち、特にスロバキアは契約満了に対する準備が不十分だったため、今回最も大きな打撃を被ることになった。
ロシア、ウクライナ双方に打撃
ウクライナ政府は、数か月前から契約更新を行わない意向を明確にしていた。ロシアが欧州へのガス販売で得た資金で、戦争を継続することを阻止したいと表明していた。
ベルギー・ブリュッセルのシンクタンク「ブリューゲル」によれば、ロシアが代替ルートを見つけられなければ、契約終了による損失は650億ドル(約10兆2,150億円)に達する見込みだ。
ウクライナも多大な財政的損失を被ることになる。パイプライン使用料で、年間約10億ドル(約1,571億円)を稼いでいたが、これを放棄せざるを得なくなる。戦時下で資金繰りに苦しむウクライナにとって、これは大きな痛手となる。
さらにウクライナは、これまでロシアの攻撃を免れていた、広大なガスパイプラインインフラへの被害も覚悟しなければならない。ウクライナのパイプラインを使用しなくなったロシア軍が、このインフラに対して大規模な攻撃を仕掛ける可能性が高い。こうなればウクライナは、戦争終結後もすぐにパイプラインの運用が再開できず、莫大な復旧費用を負担することになる。
欧州への影響
ガスパイプラインの遮断により、代替手段がないスロバキアは深刻な打撃を受けることになった。スロバキアはガス供給遮断への報復措置として、ウクライナへの電力供給を停止することを決定した。モ
ルドバも先月中旬、ロシアからのガス供給の不確定性を理由に国家非常事態を宣言した。
他の欧州諸国も影響を受けているが、スロバキアほどの深刻さではない。ハンガリーはトルコとルーマニア経由でロシア産ガスを調達している。オーストリアは液化天然ガス(LNG)輸入などの代替策を選択した。
LNG価格の上昇
欧州諸国がLNGに注目し始めたことで、アジア諸国との供給確保競争が激化している。EUはLNG価格の上昇に苦しむものの、ロシアの天然ガスなしでも生き残れることを強調してきた。
しかし、専門家らはこれが長期的な解決策にはなり得ないと指摘している。あるベテラン仲介業者は、欧州企業が高騰したガス価格のため、生産を縮小せざるを得なくなり、最終的には安価なロシア産天然ガスの輸入に回帰するだろうと予測した。彼はLNGが本質的に天然ガスより高価であることを強調した。
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/
❿2025年ウクライナの平和は?トランプとプーチンの交渉中にバイデンはゼレンスキー追加支援【及川幸久】(2025年1月1日)
https://youtu.be/bZ7pDRV7R6k
2025年1月4日 ウクライナ情報pdfは → こちら
1940年、東京生まれ。1944~49年、福島県で疎開生活。東大工学部原子力工学科第1期生。工学博士。東京大学医学部助手、東京医科大学客員助教授を経て、1986年、立命館大学経済学部教授、88年国際関係学部教授。1995年、同大学国際平和ミュージアム館長。2008年より、立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長。現在、立命館大学名誉教授。専門は放射線防護学、平和学。2011年、定年とともに、「安斎科学・平和事務所」(Anzai Science & Peace Office, ASAP)を立ち上げ、以来、2022年4月までに福島原発事故について99回の調査・相談・学習活動。International Network of Museums for Peace(平和のための博物館国相ネットワーク)のジェネラル・コ^ディ ネータを務めた後、現在は、名誉ジェネラル・コーディネータ。日本の「平和のための博物館市民ネットワーク」代表。日本平和学会・理事。ノーモアヒロシマ・ナガサキ記憶遺産を継承する会・副代表。2021年3月11日、福島県双葉郡浪江町の古刹・宝鏡寺境内に第30世住職・早川篤雄氏と連名で「原発悔恨・伝言の碑」を建立するとともに、隣接して、平和博物館「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」を開設。マジックを趣味とし、東大時代は奇術愛好会第3代会長。「国境なき手品師団」(Magicians without Borders)名誉会員。Japan Skeptics(超自然現象を科学的・批判的に究明する会)会長を務め、現在名誉会員。NHK『だます心だまされる心」(全8回)、『日曜美術館』(だまし絵)、日本テレビ『世界一受けたい授業』などに出演。2003年、ベトナム政府より「文化情報事業功労者記章」受章。2011年、「第22回久保医療文化賞」、韓国ノグンリ国際平和財団「第4回人権賞」、2013年、日本平和学会「第4回平和賞」、2021年、ウィーン・ユネスコ・クラブ「地球市民賞」などを受賞。著書は『人はなぜ騙されるのか』(朝日新聞)、『だます心だまされる心』(岩波書店)、『からだのなかの放射能』(合同出版)、『語りつごうヒロシマ・ナガサキ』(新日本出版、全5巻)など100数十点あるが、最近著に『核なき時代を生きる君たちへ━核不拡散条約50年と核兵器禁止条約』(2021年3月1日)、『私の反原発人生と「福島プロジェクト」の足跡』(2021年3月11日)、『戦争と科学者─知的探求心と非人道性の葛藤』(2022年4月1日、いずれも、かもがわ出版)など。