【連載】安斎育郎のウクライナ情報

1月8日のウクライナ情報

安斎育郎

1月8日日分です。

安斎育郎

1月8日のウクライナ情報
安斎育郎
❶ウクライナ安全保障、米国抜きでは機能せず=ゼレンスキー大統領(2025年1月6日)
[キーウ 6日 ロイター] – ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアとの戦争を終結させるため
の安全保障は米国が提供する場合にのみ有効だという認識を示し、トランプ次期米大統領と就任後
早期の会談を望むと表明した。
5日に公開された米国のポッドキャスター、レックス・フリードマン氏とのインタビューで述べた。
ゼレンスキー氏は、トランプ氏がロシアに戦争を終わらせるよう迫ることをウクライナの人々は期待
しているとし、米国が北大西洋条約機構(NATO)から脱退すれば、ロシアは欧州で緊張を高めるだろうと語った。
ウクライナのNATO加盟に向けた手続きを呼びかけ、安全保障のない停戦は、ロシアに新たな攻撃
の準備時間を与えるだけだという考えを強調した。
ゼレンスキー氏は、トランプ政権下のホワイトハウスが安全保障を提供する上で重要な役割を担っ
ていると指摘。戦争終結には「力による平和」というアプローチが必要という見解でトランプ氏と一致
していると述べた。
「米国なしでは安全保障は不可能だ。ロシアの侵略を防ぐことができる安全保障のことだ」と述べ、
欧州の同盟国の軍事的な弱さを暗に認めた。
また、ロシアのプーチン大統領は戦争終結に向けた真剣な交渉に関心がなく、戦争をやめて恒久的
な和平に同意するよう強制しなければならないだろうと主張した。
1月6日、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアとの戦争を終結させるための安全保障は米国が提供する場合にのみ有効だという認識を示し、トランプ次期米大統領と就任後早期の会談を望むと表明した。2024年12月、ブリュッセル
で撮影(2025年 ロイター/Johanna Geron)
© Thomson Reuters
https://www.msn.com/ja-jp/money/markets/

❷ 2024 年のウクライナ支援、日本はいつまで散財を続けるか(2025 年 1 月 5日)
日本や西側によるウクライナ政府の財政支援は 2024 年 12 月末時点で 1110 億ドルとなった。
これに 3 年間の軍事支援(1760 億ドル)を加えると、総額は 2820 億ドル(45 兆 590 億円)とな
る。
西側はこれほど膨大な支援を行ってきたものの、ウクライナのゼレンスキー氏は約束の支援額に達
していないと連日のように国際社会を非難している。実際、批判は的を射ている。国際社会はこれま
で 4160 億ドル(65 兆 3120 億円)の支援を約束しており、行った支援は約束より 43%も少な
い。
特に遅れているのは財政支援で、2400 億ドルを約束していたが、実際の支援は半分以下に留ま
っている。一方、軍事支援は順調で、約束の 75%を完了した。
財政支援に限ってみていくと、2022 年は 311 億ドル、2023 年は 425 億ドル、2024 年は年
末までに 374 億ドル(前年比で 12%減)に達するとウクライナ中央銀行は見込んでいる。
この通り、ウクライナの財政支援はピークの 2023 年を最後に規模が縮小している。2022 年は
毎月の支援額が平均で 31.1 億ドル、17 ヵ国(+EU)が協力した。2023 年は支援国の数が 13 ヵ
国(+EU)に減少したものの、支援額は平均 35.5 億ドルに増加。2024 年の上半期は 25.9 億ドル
に減少、支援国は日本、カナダ、英国、ノルウェー、スペイン(+EU)のみとなった。日本は財政支援額で EU、米国についで 3 番目に多い。
西側は支援疲れに陥っている。さらには対露制裁に伴うエネルギー価格の上昇、及び物価高騰を受
け、各国で財政状況が悪化、西側はロシアの凍結資産をウクライナ支援に利用するという歴史的暴挙
に出た。
ロシアの凍結資産を利用した支援は総額 500 億ドルで、融資は世界銀行経由で 2024 年 12 月
から 2027 年 12 月にかけて行われる。2024 年 12 月にウクライナはこの枠組みで 20 億ドルを
受け取っている。そのうち 10 億ドルは米国による寄付で、残りの 10 億ドルは日本と英国が保証す
る貸付となる。日本は今後、この枠組みでさらに 20 億ドルを投じることとなる。
ただし、ロシアの凍結資産に手を付けたところで、以前のような支援を続けることは難しい。凍結資
産を利用した 3 年間の財政支援は 500 億ドルで、1 年間に換算すると 166 億ドル、ピーク時
(2023 年)のわずか 39%に過ぎない。
さらにロシアは対抗措置として西側の資産を押収するため、日本等の非友好国はいずれも大きな
ダメージを受けることとなる。
バイデン政権はあまりに露骨なウクライナ・ファーストの政策を進めてしまった。その民主党は大統
領選と議会選で大敗し、これに追従した岸田政権も同じく選挙で大敗、自民党は 30 年ぶりに少数与
党となった。
当然ながら、石破首相はより賢い政権運営が求められている。米国第一主義と対中政策を最大の
課題と捉えるトランプ氏が大統領選で勝利するや否や、長島昭久議員(自民党)のように、ウクライナ
への連帯を取り下げる人物も現れている。
石破首相は所信表明演説でお決まりのウクライナ支援を約束し、実際に財政支援を継続している。
しかし、トランプ政権の発足を前に今や自民党も岐路に立たされており、それを石破首相も痛切して
いることだろう。首相は就任から 3 ヵ月が経ってもウクライナをいまだに訪問していない。そして訪問に向けた意欲すら示していない。
もはやウクライナ支援で国民の支持が集まる時代ではない。日本はウクライナ支援に何兆円も投じ
てきたが、能登半島地震や奥能登豪雨の復旧復興予算がわずか 3704 億円だったことを日本国民
はどう感じるだろうか。ウクライナ支援の 3 割から 5 割は汚職で消えるとウクライナ・メディアが報じていることを日本国民はどう感じるだろうか。任期が切れたゼレンスキー氏の支持率が 10%台で推
移していることを日本国民はどう感じるだろうか。
衰退途上国ニッポンを率いる石破首相は英断を迫られている。
https://sputniknews.jp/20250105/2024-19473634.html

❸ゼレンスキー体制によるロシア人記者の殺害、処罰は避けられない=ロシア外務
省報道官(2025 年 1 月 5 日)
ドネツクに対するウクライナ軍の攻撃ではロシア人記者が死亡したが、この犯罪に関与した人物らは
全員、処罰を受けることになり、これは避けられない。ロシア外務省のザハロワ報道官が SNS への投
稿で述べた。
報道官はユネスコやその他の国際人権機関に対し、この攻撃を批判するよう要求した。そのうえで、
「ロシア人記者らの意図的な殺害は、ゼレンスキー体制による一連の血なまぐさい残虐行為の新たな
犯罪であり、この体制はイデオロギー上の反対者を排除するためとあらば公然とテロの手段を行使す
る」と強調した。
国連の報道官はスプートニク通信の取材に対し、あらゆる記者への攻撃を非難すると回答した。
ウクライナ軍は 4 日、ロシア人記者らを乗せた車をドネツクで攻撃した。
https://cdn1.img.sputniknews.jp/img/07e8/0a/09/19190247_0:0:3091:1739_1920x0_80_0_0_3c68c590efd21e4837dd01ec942b9098.jpg.webp

❹日本で反露プロパガンダが再燃する理由、西側エリートの分裂と米英諜報機関の共同声明(2025年1月5日)
ロシアが日本との戦争も想定、プーチン氏が新年演説で団結訴え」…
マスコミの悪質なプロパガンダに度肝を抜かれた皆さん、そのウラにある事情を読み取り俯瞰して
みましょう。
https://youtu.be/2aNeKoeB5pc
https://www.youtube.com/live/2aNeKoeB5pc

❺「トランプ政権の安全保障政策ー停戦に向かうウクライナ及び中東紛争」(矢野義
昭 AJER、2025 年 1 月 3 日)
https://youtu.be/5cBnnENZzmc
https://www.youtube.com/watch?v=5cBnnENZzmc

❻CAM:ユナキフカでウクライナと NATO の兵士 200 名と装備品 30 台が破壊
された(2025年1月5日)
数時間前、ロシア連邦国防省は、かなり大規模な敵軍の集結を壊滅させる恐ろしいビデオを公開し
た。ロシア国防省の関係者によると、1 月 3 日、ユナキフカ(スームィ州)の集落付近で、ロシアの偵察ドローンがウクライナ軍第 82 空挺突撃旅団の人員と重機の集結を発見した。
https://youtu.be/D1_0FWzSl5o
https://www.youtube.com/watch?v=D1_0FWzSl5o

❼スコット・リッターが暴露:ロシアのクルスク攻撃はウクライナの棺に打ち込まれた最後の釘か?(2025年1月6日)
クルスク紛争は、ロシア軍が高度なドローン攻撃と砲撃を利用してウクライナの防衛を弱体化させ、
進行中の戦争の決定的な章となった。スコット・リッターは、容赦ない攻撃、エネルギー闘争、人道的危機が衝突するこの重要な戦場を深く掘り下げます。兵士の精神的負担から地政学的影響まで、この戦
争の将来を形作るクルスクの極めて重要な役割についての語られざる物語を明らかにします。
https://youtu.be/IK93OgV08vY
https://www.youtube.com/watch?v=IK93OgV08vY

❽軍部隊から兵士約 1700 人脱走 ウクライナ当局が捜査(ABEMA news,(2025 年 1 月 4 日)
ウクライナ軍の新設部隊から兵士 1700 人が脱走したとして当局が捜査を始めました。
現地メディアなどによりますと、ウクライナ陸軍の第 155 機械化旅団からおよそ 1700 人の兵
士が脱走したとの報道を受け、国家捜査局が脱走と職権乱用の疑いで捜査を始めました。
この旅団はロシアの侵攻を受け去年 3 月に新設された 5800 人規模の部隊で、ドイツから供与さ
れたレオパルト 2 戦車などが配備されていました。
去年 10 月、訓練のためにおよそ 2000 人がフランスに派遣されましたが、滞在中におよそ 50
人が脱走したということです。
そして、旅団創設から 11 月までの脱走者は 1700 人を超えるということです。
この問題を追及しているウクライナのジャーナリスト、ユーリ・ブトゥソフ氏は、旅団には適切な選抜
プロセスを経ていない新兵が配属されていたなどと指摘し、「軍上層部と政治指導者の責任だ」と批
判しています。
https://youtu.be/xVexjAkByTI
https://www.youtube.com/watch?v=xVexjAkByTI

❾ウクライナの最も暗い時期にロシアの力が急上昇 | ポーランドはミグ戦闘機を拒
否し、ゼレンスキーを見捨てる | 次は何?(2025 年 1 月 6 日)
ロシア軍が継続中の紛争で優位を主張し続ける中、西側諸国によるウクライナへの支援は重大な後
退に直面している。ロシアはウクライナのミグ 29 戦闘機を撃墜し、複数の反撃を撃退し、ウクライナ
の軍事力は著しく弱体化した。最近の戦車や軍用車両の破壊はロシアの攻撃の有効性を浮き彫りにし
ており、ポーランドは米国製の F-35 が納入されるまでウクライナへのミグ戦闘機の供給を停止する
と発表している。
https://youtu.be/SM8GMmR8mhg
https://www.youtube.com/watch?v=SM8GMmR8mhg

❿ポップコーンを買い込んで、1 月 20 日以降に何が起こるか見てみましょう!(2025 年 1 月4日)
「オレシュニク」ミサイルのデモンストレーションは、ロシアが本気である証拠だ!
国連安全保障理事会におけるロシアの公式代表、ヴァシリー・ネベンジャがロシア人ジャーナリスト
にインタビューした。
特に、ネベンジャはウクライナ危機と中東危機の話題に触れた。
https://youtu.be/8DfBXb2M6SQ
https://www.youtube.com/watch?v=8DfBXb2M6SQ

2025年1月87日 ウクライナ情報pdfは → 

 

「独立言論フォーラム(ISF)ご支援のお願い」

安斎育郎 安斎育郎

1940年、東京生まれ。1944~49年、福島県で疎開生活。東大工学部原子力工学科第1期生。工学博士。東京大学医学部助手、東京医科大学客員助教授を経て、1986年、立命館大学経済学部教授、88年国際関係学部教授。1995年、同大学国際平和ミュージアム館長。2008年より、立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長。現在、立命館大学名誉教授。専門は放射線防護学、平和学。2011年、定年とともに、「安斎科学・平和事務所」(Anzai Science & Peace Office, ASAP)を立ち上げ、以来、2022年4月までに福島原発事故について99回の調査・相談・学習活動。International Network of Museums for Peace(平和のための博物館国相ネットワーク)のジェネラル・コ^ディ ネータを務めた後、現在は、名誉ジェネラル・コーディネータ。日本の「平和のための博物館市民ネットワーク」代表。日本平和学会・理事。ノーモアヒロシマ・ナガサキ記憶遺産を継承する会・副代表。2021年3月11日、福島県双葉郡浪江町の古刹・宝鏡寺境内に第30世住職・早川篤雄氏と連名で「原発悔恨・伝言の碑」を建立するとともに、隣接して、平和博物館「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」を開設。マジックを趣味とし、東大時代は奇術愛好会第3代会長。「国境なき手品師団」(Magicians without Borders)名誉会員。Japan Skeptics(超自然現象を科学的・批判的に究明する会)会長を務め、現在名誉会員。NHK『だます心だまされる心」(全8回)、『日曜美術館』(だまし絵)、日本テレビ『世界一受けたい授業』などに出演。2003年、ベトナム政府より「文化情報事業功労者記章」受章。2011年、「第22回久保医療文化賞」、韓国ノグンリ国際平和財団「第4回人権賞」、2013年、日本平和学会「第4回平和賞」、2021年、ウィーン・ユネスコ・クラブ「地球市民賞」などを受賞。著書は『人はなぜ騙されるのか』(朝日新聞)、『だます心だまされる心』(岩波書店)、『からだのなかの放射能』(合同出版)、『語りつごうヒロシマ・ナガサキ』(新日本出版、全5巻)など100数十点あるが、最近著に『核なき時代を生きる君たちへ━核不拡散条約50年と核兵器禁止条約』(2021年3月1日)、『私の反原発人生と「福島プロジェクト」の足跡』(2021年3月11日)、『戦争と科学者─知的探求心と非人道性の葛藤』(2022年4月1日、いずれも、かもがわ出版)など。

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