【連載】植草一秀の「知られざる真実」

植草一秀【連載】知られざる真実/2025年1月16日 (木) 中居氏問題がフジ全体に延焼か

植草一秀

現代政治はメディアコントロールによって成り立っている。

オールドメディア、ニューメディアなどの用語が使われるが、本質は変わらない。

メディアを用いて人心をコントロールする。

これがメディアの目的である。

メディアの有効性を高める際にカギを握るのは資金力。

巨大な資金を投じてメディアを支配すれば人心コントロールは容易になる。

結局は資金力=資本力がものをいう。

インターネットとスマホが普及し、さらにSNSが拡大したことで人心コントロールの主戦場が移行し始めている。

しかし、インターネット、SNS等のニューメディアにおいても影響力に決定的な影響を与えるのは資金力=資本力である点は変わらない。

オールドメディアの影響力は低下しつつあるが、影響力が消えたわけではない。

全国放送で1%の視聴率があればリアルタイムで100万人に情報を伝えることができる。

10%なら1000万人。

この規模のメディアはオールドメディア以外にほとんど存在しない。

したがってオールドメディアの重要性は存続している。

人心をコントロールするための戦術として3Sが用いられた。

セックス、スクリーン、スポーツ。

エロ、芸能、スポーツだ。

この人心コントロール、メディアコントロールの中核に位置してきたのがテレビメディア。

そのテレビメディアのなかで重大な人権侵害が広がっていた。

白井聡氏との共著『沈む日本 4つの大罪』(ビジネス社)


https://x.gd/3proI

でもメディアの問題を取り上げた。

数年来、無法地帯として放置されてきた問題に、ようやくメスが入り始めた。

私はJKTYと表現したが、芸能界の暗部に、ようやく光が当てられ始めた。

ジャニーズ、歌舞伎、宝塚、吉本。

ジャニーズの問題は古くから指摘も告発もあったが、長い間、放置され続けた。

それが、海外の報道機関による問題提起によって流れが変化した。

ジャニーズ事務所に対する圧力は強まったが、徹底的な真相解明と責任処理は行われていない。

中途半端な問題処理でお茶を濁す風土はまだ変わっていない。

歌舞伎の問題も宝塚の問題も吉本の問題も、すべてが中途半端な処理でお茶を濁す状態が続いている。

『沈む日本』でも論じたが、メディアの中核であるテレビ業界の闇はまだ暴かれていない。

タレントの中居正広氏と女性とのトラブル問題が表面化して、新たに浮上しているのがテレビ局の問題だ。

テレビ局は上場企業として活動しており、株主には海外の投資家も含まれる。

中居氏のトラブルについて、「週刊文春」はトラブルの端緒となった会食にフジテレビ社員が関わっていたと伝えたがフジテレビはこれを否定した。

昨年12月27日、公式サイトに

「内容については事実でないことが含まれており、記事中にある食事会に関しても、当該社員は会の設定を含め一切関与しておりません」

と報道を完全否定した。

ところが、「週刊文春」は1月16日発売号に「現役のフジテレビアナウンサー」を仮名で登場させた上で、

「フジテレビの編成幹部A氏に献上された」

との告白を報じた。

フジテレビによる組織的な「上納システム」が存在したことを示唆する報道内容である。

こうしたなかで、フジテレビの親会社である「フジ・メディア・ホールディングス」大株主の米投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」が1月14日に、

「一連の出来事は、企業統治に深刻な欠陥があることを露呈している」

などと指摘し、第三者委員会の設置を求める書簡を送ったことを明らかにした。

問題は中居氏個人の問題からフジテレビ全体の問題に拡大しつつある。

芸能、スポーツから、いよいよメディア本体の闇に光が当てられることになる。

※なお、この記事は下記からの転載であることをお断りします。
植草一秀の『知られざる真実』2025年1月16日 (木)「中居氏問題がフジ全体に延焼か」
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2025/01/post-2ef687.html
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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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