メールマガジン第329号（2025年1月21日）：「戦争をする国へ　未来の死者の声を聞け」

　ノーモア沖縄戦　命どぅ宝の会　
メルマガ第３２９号

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（今回のメルマガ）
今回のメルマガは当会の新垣事務局長からの前回からの続きです。着々とすすむ戦争準備と、戦争で命を奪われたご自身の家族への思いを重ね、「戦争は破滅」という文中の思いは、胸をつかれます。ぜひお読みください。
「戦争をする国へ　未来の死者の声を聞け」
前回からの続き

「キーン・ソード」台湾有事の実戦訓練

９月の広島県呉集会を終えて１０月下旬から日米共同統合演習「キーン・ソード」が全国で始まった。北海道から与那国島まで日本列島全体、自衛隊、米軍が最大規模の兵員と兵力を投入し、九州、特に鹿児島、さらに奄美・沖縄で凄まじい軍事演習を強行した。沖縄は本島、宮古、石垣、与那国はおろか久米島、津堅島、伊是名島、出砂島など全域が戦時色に染まった。本土の自衛隊部隊ハイマースを投入、那覇空港(自衛隊那覇基地)、嘉手納弾薬庫で敵攻撃を想定する「滑走路復旧訓練」、嘉手納弾薬庫では「CBRN=化学・生物・放射線・核」対処訓練、オーストラリア軍、カナダ軍も加わって、石破茂首相が提唱する「アジア版NATO=多国籍軍化」を先取りした。
「キーン・ソード」日米演習は、台湾有事に日米が対処する「日米共同作戦計画」の「実戦訓練」と多くの軍事専門家が指摘した。共同通信は今年２月、「日米共同作戦計画が昨年末に完成」、「キーン・エッジ」演習、「キーン・ソード」演習で「完成版になる」と報道している。いわば、台湾有事に向けた日米共同作戦計画の実効性検証のための「実戦訓練」と位置付けられていたのだ

戦争する国づくり」無風の衆院選挙

そのさなかに解散総選挙が行なわれ自公が大敗し、野党第一党の立憲民主党が議席を大幅に増やした。「政治改革」を期待する世論もあるようだが、私は悲観的だ。理由は総選挙で自民党の軍拡路線や、自民党が閣議決定した敵地攻撃能力保有を含む「安保三文書」の是非など「戦争をする国」づくりの賛否が、選挙を通して全く議論にならなかったからだ。「裏金問題」など「政治改革」レベルで立憲を含めた野党も自民党と政策調整し、「軍拡」、対中国の「戦争準備」体制は、国政野党をも巻き込み既定路線として進みかねないのではないか。
１１月２日、那覇で講演した孫崎享氏は、米国メディアが今回の衆院選挙を「政策、路線の議論がなかった」と報じたと述べた。憲法違反が指摘された安保法制、安保三文書の軍事路線が、共産、社民の一部を除いて選挙の政策争点とならずに、無風のまま、立憲など野党を含め、有権者が承認する形となってしまったのではないのか。日本が「戦争をする国」になだれ落ちていくことが危惧されてならないのだ。

「平和の礎」声なき声

私は慰霊の日などに糸満市摩文仁の「平和の礎(いしじ)」を訪ねる。２４万人余、沖縄県民、日本、米英、朝鮮、台湾などの戦死者の名前が刻まれている。名前を刻む膨大な戦死者の、その途方もない数の多さに圧倒される。海側から通路の右側に沖縄県民の礎があり、市町村、私の父母の生地、中城村の墓碑で、うろ覚えの名前を探し、佇む。
通路の左側には本土出身者の墓碑が並ぶ。その数の多さに、「沖縄だけでなく本土の方々も」とその犠牲者の数の多さにうたれる。特に北海道は二列か三列にまたがり、かくも多くがと愕然とする。当然のことながら、本土出身者の各県別の名前は男性の姓名ばかりだ。ごく少数の女性の名前があり、なぜ沖縄の戦地に本土の女性が、といぶかしく想像する。県民の礎は男女、老若が同等に並び、同じ名前が続くと「一家全滅か」と想像する。「第一子」と名前のない人もいる。名前が付けられる前亡くなったのだろう。
本土からの日本兵であった方々のかくも多くの男性の名前。この方たちの故郷には妻子もおられたことだろう。これほど多くの男性が死んだ。そして多くの女性が愛する夫を失った。多くの子どもたちが頼りにする父親を失った。その無念さ。
しかし私は、生き残り、生活に苦しみ、故人をしのんだ家族の方よりも、これほど多くの人が人生のさなかに命を失い、声を失ったことに深く胸をうたれる２４万人余の「声なき声」に圧倒的に胸をうたれる。生きていれば。声にならない「声なき声」、その不在に、胸をうたれ、残念でならないのだ。
私は祖父母がいない。父母方のいずれも戦死したからだ。幼い頃から祖父母がいないことを当たり前に育ってきたが、この年になると、それは不自然で異常なことだと思う。
政治家や官僚が当たり前のように「抑止」や「国防」を口にする。戦争は当たり前ではない。戦争は破滅である。戦争をしてはいけない。無責任な政治家に戦争をさせない。その当たり前を国民は声にしなければならない。
新垣邦雄（当会事務局長）
「二度と沖縄を戦場にさせない」
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宮城（内海）恵美子（独立言論フォーラム理事、ノーモア沖縄戦命どぅ宝の会発起人）

（「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 メールマガジン第322号」から転載）

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