メールマガジン第330号(2025年1月21日):「戦争をする国へ 未来の死者の声を聞け」
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メルマガ第330号
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(今回のメルマガ)
今回のメルマガでは昨年12月5,6日に上海で行われた国際フォーラム「グローバルサウスと世界の現代化」に参加した与那覇さんに参加者の発言や交流で得られた情報やその感想を綴っていただきました。現在ダイナミックに変化を遂げているグローバルサウスの状況、今後の可能性について、示唆に富む内容です。ぜひお読みください。
グローバルサウス学術フォーラムに参加して
今回、機会を得て12月5日、6日の日程で上海で開催された「グローバルサウス学術フォーラム」に参加することができたことは、私にとって幸運な出来事だった。華東師範大学国際コミュニケーション大学院が主催する「グローバルサウスと世界の現代化」をテーマにしたフォーラムに日本本土、沖縄、宮古島など民間平和運動の代表への招待があり、お供できたのである。本土からは、AWC(アジア共同行動)日本連絡会議全国事務局メンバーの迫田英文氏、沖縄から「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」共同代表の具志堅隆松氏、宮古島から「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」共同代表の清水早子氏がそれぞれ10分間の発表をすることになった。
10月に「沖縄・南京をむすぶ会」主催の南京虐殺記念館を訪問する1週間のツアーを終えたばかりだった私にとっては再びの上海であったが、秋晴れだった上海はすっかり冬の寒空に変っていた。華東師範大学の女学生が笑顔で私達を空港に出迎えてくれて、会場となるホテルまでの1時間もかかる車中で英語での会話を楽しむことができた。翌朝からのフォーラムで圧巻だったのは、会場を埋め尽くす300人に達する各国からの出席者とその背後に設置された通訳ブースの数であった。時々通訳としての出番をいただいている私にとって、2人ずつ座るブースが、英語、スペイン語、ポルトガル語、韓国語、フランス語、日本語と、所狭しと並んでいる樣は驚きと興奮に値した。様々な民族衣装も楽しめる各国からの参加者とあいまって、まさにフォーラムへの期待感が高まる光景であった。
その期待が裏切られることはなかった。昨今良く耳にする「グローバルサウス」だが、その基本的姿勢が「西欧列強の帝国主義的な植民地支配の世界をより平等でバランスの取れた世界に変えたい」ことにあるということを感じた発表の数々であった。何より共感できたことは、世界の強者に支配された苦難を体験した弱者としての視点が共通していたことである。今後もそれを貫いていただきたいと思う。私達が参加したフォーラム3は、「新冷戦」「台湾海峡と北東アジア情勢」がキーワードだ。沖縄が戦場になると日米政府が2021年末に発表し、急速に進む要塞化に日々恐怖と危機感が増す沖縄の私達にとって、今、最も身に迫るテーマである。このフォーラムの設定に、中国もその動きを無視出来ない状況にあることがわかる。「中国における①台湾問題の歴史と法的背景を理解し、西側メディアの覇権によって生み出された②歪んだ世論を明らかにし、③形成されつつある「アジアのミ二NATO」の帝国主義的戦争性を明らかにする。」と説明されている。その説明に納得せざるを得ないのは、①日本政府は共に1つの中国を認め(日中共同声明にも明記)台湾を中国領土だと認識しながら、「台湾有事は日本有事」と公言する日本政府 ②ネットを中心に広がった実態や証拠を挙げないままでの中国脅威を国民の大半が信じている日本社会 ③「アジア版NATO」構築を発言する石破首相など、実際に私達の目の前で起こっている事実が背景にあるからだ。そのような日本の姿勢が南西諸島の要塞化を急速に推し進め、平和国家日本から軍事国家日本への転換によって東アジアの危機を増幅させていることをより多くの日本国民が悟らない限り、日本はまたもやかつての侵略戦争と同じ運命を辿りかねない。フォーラム3での迫田英文氏、具志堅隆松氏、清水早子氏、各自の発表はそのような東アジアに差し迫る戦争の危機を聴衆に訴えるに充分な、現地の状況に基づいた力強さと論理力と切々とした平和を求める思いに満ちた発表であった。その他の分科会の発表のなかでは、中国の貧困地域での経済的成功例の発表が何件かあったことが印象深かった。また、日本の学会では目にすることが少ない、ロシアや東欧諸国やアフリカ諸国の代表の方々の発表も各国の社会的、経済的問題やその解決案の提示など興味深いものが多かった。
有難かったことは、私達の要望を受けて、5日の夜8時半から「台湾有事」について話し合う集会が部屋を確保して開催されたことだ。通訳を含め30人余が集まっての討論は熱をおび、11時近くに及んだ。具志堅隆松氏の「自衛隊は米軍も含めミサイルを持って沖縄から出ていってくれと訴えているが、沖縄の人達のなかには、軍隊がなくなると中国が攻めてくるのではと中国脅威を信じる人達がいる。中国トップの方が否定してくれれば説得もできるが」との訴えに応えたのは、上海の「台湾有事問題研究会」の代表の方であった。「日本は中国を侵略した歴史を持つが、中国(漢民族)は一度も日本を攻めたことが無い。中国政府は台湾統一についても平和的統一を望んでおり武力統一は考えていない。まして沖縄を侵略する意志は無い。」と力強く発言して下さったことが心強かった。
大会運営で印象的だったのは、嬉々としてボランティアで働く華東師範大学の男女学生達、若者の姿だった。空港での出迎えから始まって、受付や参加者個々の質問や諸問題など、親切に、学んだ英語や日本語を駆使して対応していた。彼等自身も大会の様々な発表から、また、外国からの参加者から学ぶことは多かっただろう。もう一つ、印象に残ったエピソードとして提供したい話は、沖縄に帰る朝の出来事だ。迎えに来たタクシー運転手は乗客6人と聞いているとして5人しかいない理由が知りたい様子だったが、中国語を話せない私達には言葉が通じない。彼の差し出した通訳アプリを使ったが日本語には応答しない。困ったあげく英語で話すとすぐに中国語に変換されて事なきを得た。日本語は国際的にマイナー言語なのだと認識させられると同時に、日常的に通訳アプリで仕事をする中国のタクシー運転手に感銘した出来事だった。
テレビの日曜討論で自民党政権政治家が「我々西側諸国としては」と繰り返すことを当然視するような日本社会においては、殆どの情報が西欧からの発信で、グローバルサウス諸国の状況や考え方を知る機会は少ない。中国への脅威が煽られ、中国に対する偏見に陥りやすい今だからこそ、日本文化の基礎をもたらした隣国中国への敬意を持って、中国の文化や考え方に触れる機会をもっと増やすべきだと思う。それが、東アジアで日本が生き残る術だと考える。
そのような機会を私達に下さった華東師範大学国際コミュニケーション大学院院長の呂新雨教授、華東師範大学アジアマルクス主義伝播研究所の林哲元所長、日本、沖縄からの招聘にご尽力いただいた台湾労働党副書記長兼国際部部長のツァン・ルーシン先生に心から感謝申し上げたい。また、戦争の危機に怯える沖縄からの声を届けられるようご配慮下さったAWC日本連絡会議全国事務局の皆さま、準備段階からフォーラム終了まで目配り、気配りで常に私達を支えて下さったAWCメンバーの山口由紀子氏にも深く感謝申し上げたい。グローバルサウスのフォーラム参加で得たことをより多くの人達と共有しながら、東アジアの平和構築に向けて努力していくことが、その感謝の意を伝えることになると考えている。
与那覇恵子(当会共同代表)
「二度と沖縄を戦場にさせない」
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(「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 メールマガジン第322号」から転載)
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