植草一秀【連載】知られざる真実/2025年1月29日 (水) トランプVSDSと日本
社会・経済1月26日にISF=独立言論フォーラム主催シンポジウムが開催された。
テーマは「トランプ政権と東アジアの危機回避~米中対立の行方~」
https://x.gd/KnBAK
登壇者は
鳩山友紀夫元内閣総理大臣
孫崎享元外務省国際情報局長
川内博史衆議院議員
羽場久美子青山学院大学名誉教授
宮城恵美子元那覇市議
植草一秀
トランプ政権の評価
今後の東アジア情勢
日本が取るべき対応
について活発な論議が行われた。
トランプ政権の評価は定まっていない。
私はトランプ氏が従来の米国大統領とは異なる側面を強調した。
世界支配を目論む巨大資本。
ディープ・ステイトなどの呼称が用いられるが、米国を支配してきたのがグローバルに影響力を持つ巨大資本であることに異論はないだろう。
その中核は軍事資本、金融資本、多国籍企業である。
この巨大資本の基本戦略はOne Worldの構築。
世界一極支配の戦略だ。
自由主義=市場経済を全政界に埋め込むとともに「民営化」の美名の下に各国公的資産を収奪する。
己の価値観を強要し、従わなければ軍事力の行使も辞さない。
ネオコンは現代版の「帝国主義」を実行する。
巨大資本は巨大な利益・富の収奪に苦戦し始めている。
断末魔の叫びを上げる巨大資本が構築するビジネスモデルを
断末魔ビジネスモデル=DBMと名付けた。
DBMの中核になっているのがWPF。
W=War、P=Public、F=Fake。
フェイクビジネス=特殊詐欺ビジネスの狙いは巨大な財政資金の収奪である
かくして巨大資本が標的にしているビジネス領域が〈戦争〉、〈ワクチン〉、〈CO2〉なのである。
米国大統領は巨大資本の支配下に組み込まれる。
大統領選で勝利するのに必要不可欠な条件が巨大な選挙資金の確保。
この過程で大統領候補は巨大資本の支配下に組み込まれる。
バイデンは言うに及ばず、オバマもクリントンも米国を支配する巨大資本支配下の大統領であった。
この点でトランプは稀有の存在。
自前資金を軸に資金を確保し、巨大資本の完全支配下に組み込まれてはいない。
それゆえにDBMのWPFを無条件で認めるスタンスを示さない。
戦争、ワクチン、CO2を無条件で肯定するスタンスを示していない。
私はトランプがウクライナ停戦を実現し、ノーベル平和賞を獲得することを考えていると見る。
しかし、軍事費の急激な削減はトランプの命の問題に直結する。
このことから、トランプは軍事費削減を提示してはいない。
米国の軍事力を強化して、より強固な米国の安全保障体制構築を目指すとしている。
シンポジウムではこの点について賛否が分かれた。
羽場久美子氏はトランプによって和平がもたらされるとは考えにくいことを強調された。
トランプ1.0でトランプは北朝鮮和平を指向した。
しかし、軍産複合体に阻止された。
軍産複合体にとって東アジアの不安定化は生命線である。
東アジアの平和は彼らにとっての悪夢。
しかし、トランプは再度、北朝鮮との和解を目指す可能性があると私は判断する。
トランプ政権の施策には未知の部分が多いが、問われるのは、こうした環境変化の下での日本の対応である。
※なお、この記事は下記からの転載であることをお断りします。
植草一秀の『知られざる真実』2025年1月29日 (水)「トランプVSDSと日本」
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植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050