1月31日のウクライナ情報
国際1月31日分です。
安斎育郎
1月31日のウクライナ報
安斎育郎
❶数日のはずが1ヶ月間足止め、補給乏しく=ウクライナ兵(2025年1月28日)
ロシア側に投降したウクライナ兵は「数日間」と言われ陣地に赴いたが、結局1ヶ月間その場に留まらざるを得なくなったと話した。
https://videon.img.ria.ru/Out/Flv/20250128/2025_01_28_xx1x_llf0h3p5.alg.mp4
https://sputniknews.jp/20250128/1-19539165.html
❷【視点】日本はアジア太平洋地域でのNATOの利益の代理人になる(2025年1月30日)
1月15日、日本はNATO日本代表部を開設した。2018年からこのかた、日本のNATOにおけるミッションを遂行してきたのは在ブリュッセル日本大使館であった。が、今回、代表部の別途開設はNATOとのさらに効果的な協力と、今後の発展と関係の強化に寄与すると、日本外務省はプレスリリースで指摘している。
NATO日本政府代表部の日本大使に任命されたのは伊澤修氏。伊澤氏はタイ、オーストラリア、セネガルの大使を歴任した経験があるほか、外務省時代に防衛省に出向し、防衛書記官 防衛政策局次長を務めており、安全保障問題に詳しい。日本は近年、合同演習を含むさまざまなレベルでNATOとの協力を積極的に拡大してきた。 岸田前首相はNATOサミットに何度も出席している。2023年、東京にNATOの常設事務所を開設する案が浮上したが、合意には至っていなかった。
ロシア科学アカデミー、中国現代アジア研究所、日本調査センターのヴァレリー・キスタノフ所長は、この状況を次のようにコメントしている。
「これは日本が今後の相互関係という点でNATOに積極的に接近し、法的合意基盤を形成し、行動を調整することを示す、まさにその瞬間だ。日本NATO政府代表部の開設の必要性は何が原因か? 故安倍晋三氏の提唱していたヨーロッパ大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分だという概念を体現した結果だと思う。欧州についていえば、ここでの最大の脅威はロシアで、アジア太平洋地域では、隣国の領土を狙う中国ということになっている。NATOはそのドクトリンの中で中国をグローバル安全保障に対する挑戦と呼んでいる。NATOが深い憂慮を呼ぶとしているのは中国とロシア間でますます強まる戦略的協力もそうだ」
キスタノフ氏は、NATOのインド太平洋地域におけるパートナーが初めて示されたのがまさに2024年7月のNATOサミットであったことを指摘している。
「日韓豪ニュージーランドのいわゆるインド太平洋4(IP4)グループは、各国がNATOと合目的対話を行い、協力の姿勢を合意しようとしている。つまり、前述した脅威は合同で抑止するということになる。日本がNATOとのこうした協力から期待するのは、インド太平洋地域において共同で中国抑止の活動を行うことがまず一点と、2点目は、日本がこれによって、露中の抑制ではEUともNATOともG7とも、主たる同盟国である米国とも足並みをそろえていることを強調していることだ」
キスタノフ氏は「日本がNATOに何を提案できるかについては、協力の方向性は多い」として次のように語っている。
「新たな軍事技術もそのひとつだ。日本はすでに英伊とともに、米国のF-35を凌ぐ第6世代戦闘機を製造している。さらに情報交換、諜報、サイバーセキュリティにおける協力はより機密性の高いものになるだろう。日本はまた、インド太平洋地域を航行するNATOの艦船に寄港を提供することもできる。つい先日の中谷元防衛相の英国訪問では、空母クイーン・エリザベス率いる英国海軍部隊が今年、多国間共同演習のために日本沿岸に寄港することが合意された。 2024年7月、日本の航空自衛隊は独西仏の空軍と合同演習を行ったが、3カ国の空軍が同時に日本に駐留したのはこれが初めてのことだった。こうして日本の役割とNATOとのパートナーシップは、常駐の日本政府代表部の開設によって強化される。そして日本は、アジア太平洋地域における同盟の利益の代理人となっていく」
特筆すべきなのは、日本政府代表部が開設された翌日の1月16日に、東京で第18回日・NATO高級事務レベル協議が開催されたことだ。日本代表団の団長を務めたのは外務省の船越 健裕 事務次官、NATO代表団はボリス・ルーゲ事務総長補、政治問題安全保障政策担当が率いた。協議で双方は日本-NATO関係の強化で協力を続けることを確認し、東アジアおよび欧州の地域状況を話し合った。
https://sputniknews.jp/20250130/nato-19543413.html
❸ウクライナ大統領府、動員年齢の引き下げ法案策定を完了(2025年1月24日)
ウクライナ当局は18歳から25歳の国民を徴兵することを許可する法案の策定作業をほぼ完了した。大統領府のパリサ副長官が明かした。
「実際、我々には膨大な動員リソースがあります。これは最前線で特定の問題を解決する上で現時点としては必要以上のものです」
動員にあたって当局は金銭的インセンティブ、訓練の保証、兵士と指揮官間の適切なコミュニケーションの構築を約束し、「公正な契約」であると主張している。
この法案では18歳~25歳の国民に加え、徴兵を猶予された国民や動員を解除された国民も徴兵の対象となる。
ウクライナ外務省のチーヒー報道官は23日、動員年齢のさらなる引き下げについてはトランプ政権と協議すると発言していた。
バイデン前政権はウクライナ軍の人員不足を問題視し、さらなる武器供与には動員の拡大が必要だと指摘していた。
ウクライナは2024年、50万人の動員を目指していたが、これを拒否する国民が相次ぎ、動員できたのはわずか20万人だった。
https://sputniknews.jp/20250124/19524535.html
❹将兵7割が脱走 ウクライナ軍元指揮官が激白(2025年1月28日)
フランスの肝いり支援で創設されたウクライナ軍の第155独立旅団は、仏で訓練を受けた約2400人中1700人の将兵らが脱走した。ロシア側に投降した偵察部隊の指揮官は、「旅団創設はPRのためだった」と話した。
https://twitter.com/i/status/1883916796668911745
https://sputniknews.jp/20250128/7-19536178.html
❺米の対外支援停止「問題」 ウクライナ、代替策協議(2025年1月30日)
キーウ共同】ロシアの侵攻を受けるウクライナの最高会議(議会)人権・情報政策委員会は29日、トランプ米政権が対外支援業務を一時停止したことについて「問題は想像以上に大きい」とし、支援を受ける重要事業を継続するため、欧州諸国と代替策を協議していると声明で発表した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は29日、特に人道支援や安全保障分野の事業への影響を調査するよう指示したと発表した。ベレシチュク副首相兼被占領地域再統合相は28日、交流サイト(SNS)で「米国側と協議する」と訴えた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/654b24ce3d7c9b7a7c8f6eee8819b38c8d4b85aa/images/000
❻米EU外相が電話会談、トランプ政権発足後初 ウクライナ問題など協議(2025年1月29日)
[ブリュッセル 28日 ロイター] – 欧州連合(EU)のカラス外交安全保障上級代表(外相)とルビオ米国務長官は28日、電話会談し、ウクライナ情勢のほか、イランや中国などに絡む問題を巡り協議した。トランプ米政権発足後、初の米・EU外相会談となる。
カラス氏はXへの投稿で「ロシアのウクライナでの戦争、イランの悪影響、中国がもたらす課題など、EUと米国が共通の利益を持つ世界的な問題について討議した」と明らかにした。ルビオ長官との直接会談を楽しみにしているとも述べた。
EU当局者によると、両氏は「ウクライナの公正かつ持続可能な平和に向けて前進するため、ロシアに最大限の圧力をかけ続ける必要がある」という見解で一致。シリアの政権移行についても話し合った。
また、カラス氏は、エネルギー供給の多様化の重要性と並び、欧州が防衛関連の投資を拡大し、より大きな責任を引き受ける用意があることを強調したという。
トランプ大統領は北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対し、国防費の割合を対国内総生産(GDP)で5%に引き上げるよう要求している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/17e4c540b81a1b9dc00c5f32789f286d91846637/images/000
❼ロシアの石油精製所にウクライナのドローン攻撃、炎が夜空を赤く染める 国境から約800キロ(ロイター、2025年1月30日)
ウクライナはロシアの石油や電力施設を標的としたドローン(無人機)攻撃を開始した。当局者やメディアが29日に明らかにした。
ロシア当局とメディアは29日、クストヴォの石油精製所が標的の1つとなったと伝えた。ウクライナ軍も29日、同国のドローンが夜間にクストヴォの石油精製所を攻撃したと発表した。運営会社によるとこの攻撃による死傷者の報告はない。石油精製所はウクライナ国境から約800キロ離れている。
ロイターは映像の撮影場所を確認したが、撮影日時は独自に確認できなかった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5853dd27d6c5093bebea04eb3c7daa136ffae8a7
❽【時事ネタ】ゼ氏のダボス会議発言を分析‼️〜1/25土曜版です(ニキータ伝ロシ
アの手ほどき、2025年1月25日)
https://youtu.be/4xW5at–kjk
https://www.youtube.com/watch?v=4xW5at–kjk
❾ジョン・ミアシャイマー「プーチン平和は私の条件次第でしか実現しない」 (2025年1月30日)
このプレゼンテーションは、ウラジミール・プーチン、ウォロディミル・ゼレンスキー、ドナルド・トランプに焦点を当て、ウクライナとロシアの紛争に関する主要な政治家の発言を比較分析したものです。
議論はプーチンの視点から始まり、ウクライナの交渉に対する彼の立場を強調しています。プーチンは、ゼレンスキーの大統領職は任期が延長されたため非合法であると考えており、拘束力のある合意に署名する権限がないと主張しています。彼は、特にウクライナの NATO 非加盟と非武装化に関して、ウクライナと西側諸国に法的に確固としたコミットメントを求めています。講演者は、ロシアは交渉を法的な罠と見なし、不確実な合意を信頼するよりも軍事的に紛争を解決することを好むと示唆しています。
会話はトランプに移り、戦争終結に関する彼の曖昧な発言を分析します。トランプは具体的な和平計画を提示していませんが、双方を交渉のテーブルに着かせることができると示唆しています。しかし、彼の政権はウクライナへの援助を遅らせていると報じられており、将来の米国の支援について不確実性が生じています。この分析は、トランプ氏が状況の複雑さを完全に理解しているかどうか疑問視し、政権内の多くの人がロシアの弱さについて非現実的な認識を持っていると指摘している。
一方、ゼレンスキー氏は、プーチン氏がトランプ氏の「公正で公平な」レトリックを恐れていると主張している。この分析は、米国が経済制裁と軍事支援の選択肢を使い果たしたことを考えると、プーチン氏がトランプ氏を恐れる理由はないと主張し、この主張を強く否定している。この議論は、ロシアが現在戦場で優勢に立っており、モスクワにとって交渉はそれほど緊急ではないことを強調している。
全体的な結論は、ウクライナの立場が弱まる中、ロシアは交渉よりも戦い続ける可能性が高いということだ。米国の支援が減少すれば、トランプ氏がホワイトハウスにいることでウクライナの衰退が加速する可能性がある。このプレゼンテーションは、ウクライナが窮地に陥り、西側諸国が戦場の力学を変えることができない中で、ロシアの勝利となるが、それは高くつき、「醜い」勝利となることを示唆している。
https://youtu.be/35WbCScleKE
https://www.youtube.com/watch?v=35WbCScleKE
❿ダグ・マグレガー大佐「ウクライナ・ロシア戦争-和平のためのトランプの限られた選択肢」(2025年1月29日)
トランプ大統領の戦略の不確実性
トランプ大統領はウクライナ和平交渉の意向をほのめかしているが、どのような交渉になるかは明確にしていない。
トランプ大統領はウクライナの和平交渉に意欲を示しているが、どのような交渉になるのか明確には示していない。
トランプ大統領のアドバイザーへの批判:
アナリスト、特にダグラス・マグレガー大佐は、トランプ大統領は非現実的あるいは見当違いな助言を与えるアドバイザーに囲まれていると考えている。
これらのアドバイザーは、ロシアやイランなどとの対立を推し進め、不必要な紛争を引き起こす可能性がある。
ロシアについての誤解:
トランプとそのチームはロシアを経済的にも軍事的にも弱体化していると見ていると報じられているが、これは不正確だとマグレガーらは主張している。
ロシア経済と軍事力は依然として強固であり、ウクライナ紛争ではモスクワが決定的な力を持っている。
ゼレンスキーとヨーロッパの力学
ウクライナのゼレンスキー大統領は、強力な安全保障とNATOの関与を要求し続けており、和平が達成されない場合、ロシアの攻勢が拡大することを恐れている。
欧州諸国は、美辞麗句でウクライナを支持するものの、ロシアに対して軍事的に関与する可能性は低い。
歴史的教訓とロシアの回復力
第二次世界大戦との歴史的類似性が引き出され、ロシアが大きな損失から立ち直り、効果的な反攻を開始する能力が強調された。
欧米のアナリストの中には、ロシアの軍事力と回復力を過小評価している者もいる。
経済的・外交的解決策
トランプ大統領のチームは、ロシアを弱体化させるために、世界的な原油価格の引き下げなど、経済的な手段を用いることを提案している。 マクレガーは、これは非現実的であり、アメリカ国内のエネルギー部門にとって有害だと断じる。
より広い意味合い
マクレガーは、米国がウクライナへの関与をエスカレートさせ続けることに警告を発し、トランプは対外介入よりも国内政策を優先すべきだと示唆する。
彼は、ウクライナの運命は最終的にロシアが決めると強調し、米国の関与の即時解除を提唱している。
結論として、ウクライナ紛争に対するトランプのアプローチを批判し、ロシアの立場に関する一般的な誤解に挑戦し、米国の外交政策における現実主義と自制の必要性を強調する。
https://youtu. be/C7td01Q-RCg
https://www.youtube.com/watch?v=C7td01Q-RCg
2025年1月31日 ウクライナ情報pdf →
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1940年、東京生まれ。1944~49年、福島県で疎開生活。東大工学部原子力工学科第1期生。工学博士。東京大学医学部助手、東京医科大学客員助教授を経て、1986年、立命館大学経済学部教授、88年国際関係学部教授。1995年、同大学国際平和ミュージアム館長。2008年より、立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長。現在、立命館大学名誉教授。専門は放射線防護学、平和学。2011年、定年とともに、「安斎科学・平和事務所」(Anzai Science & Peace Office, ASAP)を立ち上げ、以来、2022年4月までに福島原発事故について99回の調査・相談・学習活動。International Network of Museums for Peace(平和のための博物館国相ネットワーク)のジェネラル・コ^ディ ネータを務めた後、現在は、名誉ジェネラル・コーディネータ。日本の「平和のための博物館市民ネットワーク」代表。日本平和学会・理事。ノーモアヒロシマ・ナガサキ記憶遺産を継承する会・副代表。2021年3月11日、福島県双葉郡浪江町の古刹・宝鏡寺境内に第30世住職・早川篤雄氏と連名で「原発悔恨・伝言の碑」を建立するとともに、隣接して、平和博物館「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」を開設。マジックを趣味とし、東大時代は奇術愛好会第3代会長。「国境なき手品師団」(Magicians without Borders)名誉会員。Japan Skeptics(超自然現象を科学的・批判的に究明する会)会長を務め、現在名誉会員。NHK『だます心だまされる心」(全8回)、『日曜美術館』(だまし絵)、日本テレビ『世界一受けたい授業』などに出演。2003年、ベトナム政府より「文化情報事業功労者記章」受章。2011年、「第22回久保医療文化賞」、韓国ノグンリ国際平和財団「第4回人権賞」、2013年、日本平和学会「第4回平和賞」、2021年、ウィーン・ユネスコ・クラブ「地球市民賞」などを受賞。著書は『人はなぜ騙されるのか』(朝日新聞)、『だます心だまされる心』(岩波書店)、『からだのなかの放射能』(合同出版)、『語りつごうヒロシマ・ナガサキ』(新日本出版、全5巻)など100数十点あるが、最近著に『核なき時代を生きる君たちへ━核不拡散条約50年と核兵器禁止条約』(2021年3月1日)、『私の反原発人生と「福島プロジェクト」の足跡』(2021年3月11日)、『戦争と科学者─知的探求心と非人道性の葛藤』(2022年4月1日、いずれも、かもがわ出版)など。