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日本のマスコミがほとんど報じない「ニュース」No.15(日中友好ネット)
社会・経済国際構想から27年、ロシアによる阻害によって遅遅として実現しなかった「中吉烏鉄道」が昨年の12月27日、ようやく正式に起工されました。2030年に完成の予定です。
「一帯一路」の重要プロジェクトとして、中国の「新疆」を起点にギルギススタン(吉)、ウズベクスタン(烏)を結び、さらにヨーロッパを繋ぐ、中央アジアを貫通する国際鉄道です。
これまで、中国とヨーロッパを結ぶ陸路では、モンゴルとロシアを経由するいわゆる「中欧班列(北線)」が唯一で、今回の「中吉烏鉄道(南線)」が完成すれば、行程にして約900キロ、時間にして約7~8日間を短縮でき、ロシアを経由することなくアジアとヨーロッパを結ぶ一大(陸路の)動脈になります。
この完成は中国に大きな経済的利益となるばかりでなく、通過する中央アジア各国にとっては、これまで「内陸国」という制限のために、豊富な鉱物資源や農業資源を生かせなかった弊害を克服し、絶大な利益をもたらすことになるでしょう。ギルギスの大統領は:「私たちにとって、この鉄道は空気や水と同じく必要なもの」と表した所以です。
ところで、お気づきの方もおられると思いますが、この「中吉烏鉄道」を例に挙げるまでもなく、中央アジア、東南アジア各地を結ぶ鉄道網を含め、「新疆」が中国と他の地域を結ぶ交通網(鉄道や高速道)の起点、または重要な中継点になっています。「新疆」の発展はこうした「大地図」の要(かなめ)の地と言えます。
「新疆ウイグル人100万人強制収容」、「強制労働」、果ては「ジェネサイド」に至る、アメリカをはじめ、「西側」マスコミを総動員した「新疆ネガティブキャンペーン」は実にこの時期にはじまります。無論これは“偶然の一致”ではありません。当然、アメリカやヨーロッパ旧帝国主義国にとって「新疆」の発展は是が非でも阻止したいものでしょう。CIAやNED(全米民主主義基金会)傘下の「世界ウイグル協会」が提供する“証言者”の「証言」や、過去の「反テロ鎮圧」場面をまるで今起こっているかのように改ざんした映像等など、今だ何一つ信憑性のある証拠を提示できないまま、こうしたデマ/偽情報は今後も拡散され続けることでしょう。
とは言え、ますます発展し、中国社会の間では冗談半ばで中国“第二の首都”とさえ称され、数々の統計数字を見るまでもなく、年間二億人の各国の観光客が訪れる「新疆」の現状を目の前にして、「ネガティブ中国」を“信じたい”一部の人々を除いて、こうした「デマ/偽情報」の寿命もそう長くはないでしょう。
その実、「中吉烏鉄道」の開通は、こうした経済的効果以上に、世界の“勢力図”を塗り替える意味があります。一言で言えば、旧帝国主義(アメリカをはじめとするヨーロッパ各国)の「大航海時代」にはじまる「海権(海洋支配)」に対し、ユーラシア大陸を基盤とする「陸権」の興起を意味します。世界に世紀的「地殻変動」をもたらす一大事とも言えるでしょう。
アジアとヨーロッパの中心に位置する中央アジアは古くからユーラシア大陸の“心臓”と称され、「兵家必奪」の地とされてきました。ロシアやアメリカが莫大な資源を投じてまでアフガニスタンに介入し続けたのもその為です。
2011年から始動したアメリカの「アジア回帰(リバランス)」戦略(*アジア太平洋地域での米軍増強によって、アジアや南中国海における中国の活動を抑え込む狙い)。その後「インド洋」も含めた「印太戦略」に拡大。無論それにはマラッカ海峡を含む海峡封鎖などによる中国の交易海路の遮断も含まれます。因みに、近年、「南中国海」で頻繁に行われる米(+ポチ)軍による「航行の自由」演習や、フイリッピンのマルコスjrを使った一連の軍事挑発(*日本のマスコミでは「中国による挑発」と宣伝されていますが・・)は正にこの戦略に沿ったものです。
「中吉烏鉄道」の開通やASEAN各国を結ぶ(陸路)交通網、更には新規港の開港などは、こうしたアメリカの「海洋覇権」に基づく戦略を将来的に“根底的”から「無力化」にするものと言えます。
2025/1/31 墨面 記
本記事は日中友好ネット「日本のマスコミがほとんど報じない「ニュース」№15 2025/1/31」の転載になります。
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