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連載:マトリックス洗脳社会 グローバル企業ディストピア(12)真田信秋
社会・経済政治
・銀河英雄伝説から考える独裁と民主制
銀河英雄伝説もガンダムと同様に、宇宙での人類の戦争や営みを描いた作品であるが、銀河英雄伝説のほうが、人が宇宙に出てから長い年月が経っており、地球という星は、ほとんどの人から忘れ去られた存在になっている。
この作品は、田中芳樹さんが書かれた小説であるが、1988年から一度アニメ化され、ふたたび2018年からもアニメ化され現在も放送中である。私は、小説から入った人間なので、映像作品としては旧作品が好きであり、新しい方は小説の持ち味をほとんど殺しているように見えるため好きではない。旧作品のアニメは、キャラクターデザイン、声優陣の声、クラシック音楽をそのままBGMとして多用した音楽、客観的な物語の描き方など、どれをとっても好ましい。新作はCGの発達などにより、きらびやかな描かれ方がしているのに、まったくダメである。作品の面白さは、映像の新しさではないことが良く分かった。
銀河英雄伝説には二人の英雄が登場する。ひとりはラインハルトという金髪の青年である。銀河帝国の下級貴族の出身ながら、姉が皇帝の寵姫に取られたことをきっかけに、この皇帝に復讐すべく士官学校の門をたたき、みるみるうちに、その才覚で頭角を現し元帥となる。皇帝の死後は、ラインハルト自身が皇帝の地位を得る。もう一人は、自由惑星同盟に生まれ、早くして父を亡くし、仕方なく士官学校に入ったヤンウェンリーである。歴史家になることを夢見ていたが、歴史を学ぶことで得た戦略的思考力を持って、負けない戦を行い、みるみるうちに元帥に上りつめる。ここで人類は二つの政体の優劣の判断に迫られる。
もっとも優れた独裁者による善政か、もっとも愚鈍な大衆が選んだ利己主義極まりない腐敗政治家による衆愚政治か。自由惑星同盟は衆愚政治家によって、愚鈍な戦争に突き進み、国力をどんどん疲弊して帝国に領土を引き渡していく。対して帝国はラインハルトが腐敗貴族たちを一掃し、優秀な人材を積極的に登用し、軍だけではなく行政組織の腐敗も一掃する。
両雄は、バーにリオン会戦の後で会談する。
ヤンウェンリーは、ラインハルトのような優れた独裁者があらわれることは極めて稀なことから民主制が良いのではないかと言い、ラインハルトは、民主制が正しければ、どうして衆愚政治家が大衆の権利をはく奪し、負けると分かっている愚鈍な戦争で多くの命を犠牲にするような政治をするのかとかえす。私たちが置かれている現状も、遠い未来の自由惑星同盟の状態とまったく変わりがない。
私は「日本国独立宣言論 私は独立を宣言する」において、この銀河英雄伝説の話の中から、「少数による多数支配」の話を引用した。どんなに民主制だと言ったところで、結局は少数者が多数を支配していることは変わりない。私たちが、くだらぬ政治家を、くだらぬ選挙で選んでいることは否定できない。私は、むかし安倍晋三に似ていると言ってきた自由惑星同盟の衆愚政治家であるとトリューニヒトは戦争を賛美し、民主制を破壊し、ついには自由惑星同盟そのものを売り渡してしまう。まさに安部、菅、岸田と同じような、見るに堪えない政治家の姿がリアルに描かれていた。
この作品には、もう一つ優れた設定がある。それは、自由惑星同盟と銀河帝国のほかに、フェザーンという商業国家があり、このフェザーンが同盟と帝国の戦争で漁夫の利を得ている存在として描かれている。さらに、このフェザーン自身は、忘れ去られた地球を母体とする地球教という宗教によって作られた国家とされている。これを現代社会に当てはめると、一見、自由と民主主義を掲げる西側陣営がまったく自由でも民主でもなく戦争を各地で起こしていることと一致する。そして、フェザーンとは国際金融資本であると見ることができる。地球教はユダヤ教であり、キリスト教であり、イスラム教であるが、この宗教と国際金融資本をあわせて、「国際カルト」と呼ぶことができる。銀河英雄伝説では、これらの諸勢力を単純化して、上手く描かれていると思う。
ヤンウェンリーは、永久に戦争を続けることが無意味なだけではなく、現実的に不可能なことからも、腐敗貴族を廃して善政を敷いているラインハルトの帝国と、国力が衰え続ける自由惑星同盟が手を結ぶことが最善の策であることを指摘する。しかし、国際金融資本であるフェザーンは、両者を常に争わせ分断統治をしようとする。そして地球教は心の面から、世界を支配しようとする。
物語の終盤で、自由惑星同盟は、腐敗政治の愚かさから、善政を敷いている帝国に完全吸収されるが、ヤンウェンリーの意思を継いだユリアンミンツは、帝国に民主制の実験としての一部、自治権を認めさせることに成功する。
宗教監獄や電磁監獄で、幻想を見せられ常に相争わされ続けてきた人類が、実は争う意味がないことに気づけば、この分断統治の監獄を作っている国際カルトらは行き場を失う。
腐敗しきった帝国の貴族政治を一掃した常勝の天才ラインハルト。軍事的に勝利することや自分が政治の表舞台に立つ事よりも、穏やかな生活を望んだ腐敗の魔術師ヤンウェンリー。しがらみの多い軍にありながらも、ヤンウェンリーは「イレギュラーズ」と揶揄される「ヤンを慕う規格外の人間」を集めて組織を作り、イゼルローン司令官として、独自の地位と安全圏を築く。
ヤンのように、人徳があり魅力を持つリーダー陣が、多くの人を繋ぎ、まとめる。そして、それが国という形を取らなくても、むしろ国という形をとらずに、同じような考えを持った人たちが、その波動で引き合い自然に集まりゆく。独立宣言を行った人間が、同じところに集まる。物理的に集まらなくても、心理的に集まっていれば、それでも良いと私は思う。このような連帯についても、並行して書いている書籍で形にしたい。
ウイルスは存在しない(少なくとも特定されていない)にも関わらず捏造されるウイルス茶番。収穫高が過去最大でも作られる食料危機。資源があるのに作られるエネルギー危機。根拠がないのに煽られる地球温暖化の危機。そのような分断統治と戦争にいざなう幻想マトリックスが本来、存在していないことを見破る力を我々は持つべきなのである。そのことが分かっている真実を知る衝撃に耐えた人、耐える人同士こそが繋がりあうのである。
次回に続く
<連載:マトリックス洗脳社会 グローバル企業ディストピア(真田信秋)は、毎週土曜日に公開します。>
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真田信秋 ニコニコ動画、ニコニコチャンネルを中心に、多事総論チャンネルを展開中。 1977年生まれ、和歌山県田辺市出身。2004年より東京在住。 地方行政機関、民間企業10社以上の幅広い参画歴を持つ。 アマゾンキンドルにて電子書籍も公開している。 コロナ茶番前より医学不要論に習い、2017年10月より薬を一切飲んでいない。 ますます悪化する属国状態を憂え、国民、一人一人が独立宣言を行うことの結果として、国民総意の独立宣言を行う「日本国独立宣言」を唱えている。 独立言論フォーラム一般会員、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)、日本列島100万人プロジェクトの趣旨に賛同するものである。